2009年07月17日(金) |
なんとも呑気な借地契約「大森北1丁目開発 |
お役人の金銭感覚、それも税金の使い道や歳入(収入)確保の甘さについては、例示に事欠かない。ただし、そんな彼らも、懐が自分のもんいなると、突如「民間感覚」となるから不思議だ。日本全国のお役人(公務員)が、公金について、自分の懐と同じ感覚で扱ってくれれば、財政は健全化するに違いない。 その意味では、官公労(国家公務員の労組)や自治労(地方公務員)さらには、日教組(教員)などの組合から組織内候補を擁する民主党が、公務員改革など絶対に出来ないだろう。
さて、本日は再三「如何わしい」と指摘している大森北1丁目開発を所管する、開発・観光対策特別委員会が開催された。恒例の「所管事務報告」の後、議員の質問が始まる。いつの間にか慣れてしまった景色だが、本来は変だ。
役人は執行機関、こちらは議決(決定)機関であるはずだ。ところが、所管事務報告は、「決定した事項」を報告し、それにつき、議員が「言い訳」のように質問をする。やはりおかしい。そこで、私の質問の冒頭、こう述べた。
「議会改革」がテ−マの勉強会で、先進的自治体の市長さんや、議会事務局長は次のように述べている。
能力のある議会は、理事者(役人)と議論する。能力のない議会は、理事者に質問をする、と。
はたして、大田区議会はどちらか?能力があるかどうかは、有権者の判断に任せるとして、実態は明らかに後者である。一部の先輩議員には、この形式(質問すること)が議会だと思っている方がいるのは情けない。
大森北1丁目開発とは、NTTが所有していた大森の商店街に面する土地を、少し離れた区有地とオマケに区内のいくつかの土地、さらには現金をつけて交換した。
そして、その土地を民間事業者(丸紅)に、50年間(!)貸付けて、その一部を区が借りて、特別出張所や図書館にする、という一時はやったPFIの手法を使った開発である。
問題は、その様々な決定の不透明性だった。区民には勿論、議決機関の議会にすら、いまだにその「全容」は明らかにされていないというざまである。さらに、民間における借地権取引に比較して、なんとも「優しい」条件には驚くばかりである。以下、その優しさを「知れる範囲」でお知らせする。
地代:(土地面積2,559平米、約775坪) 平成21年7月1日から平成71年6月30日までの50年間 「工事完了日」までの間→月額1,250,000円(坪1611円) 「工事完了日」以降→月額5,566,000円(坪7,177円) 保証金: 平成21年7月1日→52,500,000円 「本施設竣工日(完成)」→157,500,000円(坪257,915円)
なぜ、工事中は地代を安くするのか?との私の質問に、担当課長は「工事中は、テナントが入っていないので、事業者の収入がないから」と、答えた!保証金も同様である。総額2億円の保証金を、1/4だけ契約時にもらって、残りは平成23年3月まで待ってあげる、という、なんとも優しい地主さんである。
民間で、例えば店舗を借りるとしよう。内装を施したり、什器を搬入するために、1ケ月はかかる。では、1ケ月は収入がないから家賃は8割減額しましょう、保証金は開店日でいいですよ、なんていう大家さんはいない。
さらに、さらに驚きは、以下のやりとりである。
私:大田区が事業者から借りる家賃はいくらか? 都市開発課長:まだ決まっていない。 私:ップロポ−ザルの際、想定家賃も決めないでシュイレ−ションしていたのか? 課長:それは出ていた。しかし、まだ面積など確定していないので金額は出していない。 私:想定していた家賃を教えて欲しい。 課長:民間のテナントよりは安い。区の支払う家賃を公表すると、事業者のテナント募集に影響が出るので公開できない。 私’課長!勘違いするな。ここは議会だ。議決決定機関だ。あなたたちは、執行機関。いわば、取締役会だ。民間の会社で、新しいプロジョクトの数字を、たかだか担当課長が、取締役会に開示しなかったら、間違いなく左遷だろう。それとも、何か隠さなければいけないことがあるのか?
すると、与党会派でありながら、この開発の不透明さを指摘している同僚議員から「何言ってるんだ。過去に公開してるじゃないか」とのヤジが飛んだ。 そして、彼は、私の質問終了後、その数字(想定賃料)の書かれた資料を見せてくれた。
誰が儲かる?誰の為の、開発計画だろう?嗚呼、痴呆議会よ!
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