2008年11月25日(火) |
世にも不思議な大田区の入札2件 |
お役人の頭は、時として我々常人の常識をはるかに超越した「独自の常識」を作り出す。例えば、大田区の女性学校職員の多くが、60歳の定年まで大型連休の中日や、長期休暇の週末前後には必ず生理が来て、生理休暇を取得する、なんてことは普通の常識ではあり得ない。が、区職員課では「適正な取得」と判断する。
入札についても同様だ。お役所の入札には「最安値不動の原則」又は「チャンピオン不動の原則」という不文律が存在する。つまり、何回入札を繰り返そうが、本来落札する予定業者は、必ず1番安く、2番手以下は順位が入れ替わることを指す。さらには、お役所の予定価格の95%以上で落札する率が極めて高いのに、お役人は「入札は適正に行われた」と、世間常識を超越した見解を示されるのだ。
さて、本日再入札が行われた、区立のある中学校の工事の入札も、とても不思議な構図だった。11月7日10時から、それぞれ3社で構成される8共同企業体(JV)で入札を行う予定だったが、そのうちの一つのJVの構成員企業B社から「辞退」の申し出があった。
このJVは、この入札のチャンピオンではなかったが「適正な入札」で、なんとかこの仕事を取りたい、と思ったJVの代表企業A社は、価格の情報が「チャンピオンC社」に漏えいすることを防ぐため、当日の朝まで、入札価格をB社に教えていなかったのだ。ところが、そもそも「チャンピオン」ではないと思っていたB社は、これを知ってあわてた。
ムラの掟を破ったら、大田区で仕事がしにくくなる。どうしたもんか。そこで「辞退」の申し出となったらしい。ところが、不思議!不思議!大田区は、この申し出があったにもかかわらず、なぜか入札開始を16時に変更して、予定通り入札を行ったのだ。
結果は、A社のJVが最安値17億7千7百90万円で落札した。「チャンピオンC社」は、2番手の19億4千5百万円だった。ところが、契約の段階になってもB社は頑なにハンコをつかない。
そこで、やっと大田区は「再入札」を決定。ただし、同様の内容では格好がつかないので、若干の追加工事を足して本日入札を行った。当然8社のうち、契約しなかったA社グル−プは呼ばれない。(入札資格停止処分)
残った7JVのうち、なんと5JVが「辞退」。結局チャンピオンC社のJVと、もうひとつのJVが入札に参加した。(参加JVが複数ないと、入札が行えない)結果は、C社のJVが19億3千900万円で落札したのだ。
ここで不可解なのは、なぜ「辞退」があったのに、敢えて入札を強行したのか、という点だ。経理管財課長は「適法」と主張するが、うがった見方をすれば、「ムラの掟やぶり」を、あえてあぶり出し「資格停止」にするために、強行した、と読めないだろうか。不思議だ〜
もう1件。これも区立中学校の入札だ。エレベ−タ−設置とバリアフリ−化「事前」工事の入札が、8月18日に行われ、9社が応札。区の工事でお馴染みの企業が1417万円で落札し、10月3日(金)までの工程で工事が行われた。
そして、週末をはさんだ10月7日(火)に、なんと、同じ会社と大田区は「エレベ−タ−設置およびバリアフリ−化その他工事」として5969万97750円で入札を行わず「随時契約」を締結している。
その理由として次のように「お役人」作成の起案書には記されている。(契約当日に起案するというのも奇異だが‥)
上記の業者は、事前工事を入札で落札請け負っており、当校の構造及び設備に精通し、現場を十分把握している。本件工事は、事前工事と作業範囲が重複するため、別業者による工事となると施工上の責任の所在が不明確になる。(中略)本件を競争に付することは区に有利とは思われない。
う〜ん??「事前工事」と銘打っているのだから「本工事」が発生するのは想定内だったろう。「事前工事」と「本工事」を同じ業者が請け負ったほうが責任の所在や工期の点でもよいのは素人でも良くわかる。であれば、なぜ、両方あわせて最初から一括で「入札」にしなかったのだろか??????この会社のナイスガイの社長さんには、個人的には好感を持っているので、とても気になる話だ。
ましてや、入札額は1417万5千円。本工事の「随意契約額」は5960万円余り。不思議なことが、お役所では頻発するものだ。
|