2008年10月14日(火) |
平成19年度決算 賛成(?)討論 |
改革110番は、ただいま上程されました第68号議案平成19年度大田区一般会計歳入歳出決算および第69号から72号にいたる各特別会計歳入歳出決算を認定することに賛成をいたします。この際、いささか気になる点につき意見を申し述べたいと思います。 本決算は、20年間続いた旧西野政権後、初めての決算であります。予算を作り決算をまとめた管理職のすべてが管理職昇任以降、西野前区長以外の首長のもとで仕事をしたことのない、という極めて稀有な決算でもありました。 そのせいか、松原新区長が民間出身を標榜するには、いささか斬新さにかける点は否めないのであります。ただ、この点は行政の継続性と、地方自治体の、国、都道府県の予算配分による中央集権的支出、さらには人件費などの義務的支出の多さの結果であり止むを得ないものと思われます。今後の予算への取り組みのなかで、ぜひとも、新たな松原区長らしさをアピ−ルできるよう望むものであります。 さて、今定例会における代表質問や決算特別委員会において私が問題にしたことは「はたして、今、誰が大田区政の舵を取っているのか」、という点でありました。イージス艦あたごの事故では、艦長が熟睡していたことが問題とされました。危険海域においては、トップたる艦長自らが操舵の指揮を取れ、というのが大方の意見でありました。では、わが大田区ではどうでしょうか。大田区職員さんのインタ−ネット掲示板における発言を集約すると概ね次のように語られています。 『区の方針は、もっぱら森総務担当部長が作り、区長に進言。遠藤経営管理部長は、それを庁内に伝達する役柄。両副区長は様々な外圧から区長を守る係り』というふうにであります。 まあ、所詮落書きのようなものですが、私が接触する多くの一般職の方々も同様な認識をお持ちです。勿論そのようなことはない、区長が下命をし、戦略会議、庁議などでコンセンサスを得て、両副区長の指示のもと両部長をはじめとする部長級が課長に下ろし、実際に事業が進捗しているのでありましょう。ただ、一般職や一部区民までが、今の区政の舵取り役について疑問を持っている現状は、看過できないものであります。 私の「加藤代表監査委員に対し、区長の指示で副区長、両部長が辞任強要した事実はあるか」との質問には、代表質問で区長は「ない」と答弁。副区長も「ない」と答えられましたが、当のご本人から強要の事実が答弁されると、副区長は「ご意向を伺ったまで」と、答え「言葉尻をとらえないで欲しい」と答弁されました。つまり事実はあったのでありましょう。 社会福祉法人池上長寿園の田崎理事長に対する同様の辞任強要については、同様に副区長は「今後につきお考えをうかがった」そうであります。そして、区長は「私は知りません!」とはっきりと答えられました。ところが、田崎理事長は「両副区長、両部長から区長の指示と言われた」と述べられております。 これは大変なことであります。つまり、議会同意を必要とする特別職人事や関係団体の人事につき、区長が知らない間に、副区長や部長が「ご意向を伺う」ふりをして辞任を迫るとしたら僭越きわまりないことです。さらに、そのことを区長がご存知ないとしたら、これまた大問題。反対に、ご存知だとして議会に知らない、と答弁したとしたら偽証であるし、議会軽視でもあります。どちらにしても大問題なのです。 もし、区長のご答弁通りだとすると、やはり区職員のウワサどおり、大田区政は松原区長ではなく、部長や副区長が意思決定をし、勝手に行動し、後から区長が追認をしていることになってしまいます。 これでは、国だけでなく、地方自治体も「お役人主導」であることを示したことになってしまいます。特別職の選任は首長の専決事項であります。お役人の意見を聞くのはよいとしても、お役人に主導させているように見える現在のあり方は問題です。 松原区長は、民間出身を標榜され選挙戦を戦われましたが、これには疑義がございます。国会議員の公設秘書、これは国家公務員であります。区議、都議、これは特別職の地方公務員であります。すなわち、松原区長は決して民間出身ではないのですが、そんなことはこの際問題ではありません。問題は、松原区長が組織の中で仕事をされたことがないという点であります。 組織で仕事をした経験を持たないと、組織を機能的に使うことが苦手になることが間々ございます。青島都知事など好例でしょう。石原都知事も同様ですが、彼はカリスマ性でお役人組織を使っているように映りますが、実際には「都庁」という組織を使いきれていないと見えるのです。 いささか厳しい言い方を申し上げましたが、どうか風聞言われるような、お役人に使われる首長にはどうかならないでいただきたい。誰がなんと答弁しようが、最後は区長の責任であります。「知らない」などの発言ではなく、正々堂々と「私が言いました」「私の指示です」とお答えいただきたいのです。そのことが、責任ある首長、威厳ある首長として、大田区の多くの有権者が選んだ区長としての誇りでもありましょう。 一昨日、ある区内の有力者とお話をしておりましたら、「今の区長とは話しづらい。何を話しても傍らに秘書がメモを取っている。」と嘆いておられました。勿論、人にはそれぞれの手法があります。松原区長のやり方でよいと思います。が、しかし、最近の状況はどうしても気になって仕方ないのであります。 今、まさに平成21年度予算策定の最中であります。どうか、松原区長には、お役人にコントロ−ルされることなく、また、議会出身の首長として、真の二元代表制を具現していただくよう望み、私の賛成討論といたします。
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