いぬぶし秀一の激辛活動日誌

2007年12月25日(火) 行政の限界と地域の環境維持

 大田区のゴミ屋敷、議員になりたてのころ「なんとかして欲しい」との陳情で現地を視察して以来、ここの住人である老女と親しくなった。何かと言うと電話がかかってくる。

 私の住んでいる地域からは車で30分近くかかる、大田区のはずれからはずれだが、頼まれごとを受けているうちに、信頼関係が出来て、いつか心を開きゴミ解消につながるに違いない、と思ったのだ。

 しかし、それは甘かった。彼女のほうが一枚も二枚も上手だった。私や区職員の好意を好き放題に使っていた。行政も「善意の弱者」に強権で対抗することはしないし、出来ない。様々な職員が、この弱者のために税金で活動していた。

 もう何年も前に、大田区西糀谷に違法に屋上にプレハブを建てた住人がおり、区は行政代執行で撤去することを決めた。ところが、どこぞから圧力がかかったのか「ご本人が自主的に撤去するというので、代執行は見送りました」と、それから数年。いまでも、この違法のプレハブには夜になると電気がともっている。(区は、ライフラインははずしたと言っているが‥)違法な悪人が、「撤去する」と言った途端、扱いが善人になる好例だ。

 このように、善意(そうは思えないが)を装う区民には、区役所や行政は弱い。ゴミ屋敷の隣人たちにしてみれば、20年も続く「犯罪行為」である。なぜ、このような行為を行う人間の人権が尊重され、隣人たちの生活権、環境権は保障されないのか。

 ところが、このゴミ屋敷問題、今年中にケリをつけたいと思っていた矢先、この家の住人が遠方に入院することになった。そこで、主不在のお屋敷のゴミ撤去につき、大田区役所の各所管部課にあたったが、いずれも「私有地にあるものは、たとえゴミであっても手は出せない」とのこと。では、防火上の理由から消防に撤去命令を出してもらえないだろうか、と消防団の星、荒木秀樹議員に相談した。

 荒木議員は、さっそく消防署の担当者に連絡を取ってくれたが、一般論として難しいようだ。であれば、いっそうのこと、ゴミを焼いてしまいたいとまで思った。最後の頼みは、この土地建物の所有者である、ゴミ屋敷住人の義弟である。

 法務局で土地の謄本を取り、さまざまな情報を駆使し、やっと隣県にいる妹さん(義弟はすでに他界)を探しあてた。郊外の新興住宅地にある分譲マンションに、彼女は住んでいたが、今は空き家。個人情報だからと、連絡先を教え渋る管理組合の職員に懇願して、彼女に電話を入れてもらったが「皆さんにとってはゴミでも、姉にとっては大切なもの。本人の了承を得てくれ」と。

 それが出来ないから困っているんだがな〜。残るは、脱法承知で誰かが、撤去するかしかないのか‥いや、きっと神は居るに違いない。新年には、きっときれいな街が戻っているだろう。

 年が明けたら、一人病院で越年した彼女の見舞いにでも行ってくるか‥



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