いぬぶし秀一の激辛活動日誌

2007年06月04日(月) 月刊武道6月号随筆「ハイと言えない大人たち」

 財団法人日本武道館発行の「月刊武道」に、私の以下の随筆が掲載された。 

 私は、十歳で父と死別し、独力で進学するため、十五歳で自衛隊生徒として航空自衛隊に入隊した。朝八時に国旗掲揚、午後五時に国旗降下。さらには、名前を呼ばれたり、命令を受けたら大声で「ハイ」と答える訓練を4年間受けてきた。そのせいか、いまでも声は大きいし、国旗や国歌には人一倍想いが深いと自他共に認める。
議員に初当選して以来、区内の式典等に来賓で招待されることが多くなった。ところが、来賓紹介で自分の名前を呼ばれながら「ハイ」と返事をする来賓がなんと少ないことか。区立学校の入学式、卒業式でもそうだ。ほとんどの来賓が返事をせずに会釈をする。私はというと、これでもか、と大きな声で「ハイ」と返事をすることにしている。子供達は、この当たり前だが、誰もやらない行為に苦笑をする。
 先日、ある幼稚園の卒園式での光景には笑ってしまった。近隣小学校の校長が来賓として挨拶をされた。その中で彼は、挨拶の大切さ、返事の大切さを訴えたのだが、ご本人からは名前を呼ばれても「ハイ」はなかった。全員の挨拶が終わった後、再度、来賓の名前が呼ばれたが、この時も「ハイ」の声は校長の口からは、ついに出なかった。これでは、子供達が挨拶をするようになる訳がない。
 私は、議員になって以来、区立学校の問題教員の排除や、職員の規則破りの悪習の是正に努めてきた。その結果「教員の天敵」「職員の天敵」という名誉ある称号を頂いたが、問題教員や、問題が多い学校には、この挨拶と「ハイ」という言葉が少ない、という法則を発見したのだ。挨拶をしないから問題が起きるのか、問題があるから挨拶をしないのか。私は、自信を持って前者だと断言する。
 我が国には、「形入法」という教育方法が古来から存在する。まずは、形から入って次第に精神性を高めようというものだ。武道は正にこの典型であろう。その意味から、問題校、問題児、問題教員の解決の糸口は、挨拶と「ハイ」という返事にあるのではないかと思う。問題がおきてから挨拶をさせるのではなく、予防のためにも教員、学校、家庭が一丸となって挨拶と「ハイ」を実践することが肝要である。
 また、もう一つ見逃せないことは、最近の権威を否定する風潮である。天皇家の歴史を否定するが如き皇室典範改悪論議。国旗や国歌を認めない教員。校長や教育委員会の指示に従わない教員。家庭にあっては父親の権威を否定する母親等、今日の社会問題の多くは、この権威の否定から派生しているとも言えよう。社会学は、権威なき組織は必ず崩壊する、と教えている。
 このように考えると、荒廃した今日の日本を立て直す基本は、天皇家や国旗、国歌等の権威を尊び、家庭や学校においては、挨拶と「ハイ」の徹底した実践に努めることである。美しい国の基本は、「美しい挨拶」である。


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