2006年11月30日(木) |
大田区敗訴か?障害者支援費訴訟 |
昨日の議場は普段といささか雰囲気が違っていた。議場の入り口には普段いない職員が2名立っている。そして、14時前、なにやら理事者席にメモがまわる。総務課、保健福祉部関係者が離席する、などである。
実は、昨日の13時10分より、大田区を被告とした障害者移動介護支援費の訴訟の判決があったのだ。原告側の裁判記録がネット上で公開されており、その記録だけで判断すると、裁判所の被告大田区に対する心証は悪い。大昔に法学を学んだ浅知恵からも「区敗訴」の気配を感じていた。
事案は以下のようなものだ。
区内在住の全身性障害者Aさん(54)は、平成15年4月〜平成16年3月の1年間、月124時間(1日4時間)が必要として移動介護支援費を大田区から受け取っていた。
ところが、平成15年7月1日の助役決定「移動介護要綱」により、区は移動介護の上限を月32時間に設定した。そこで、Aさんに支給される支援費も92時間減額されることになり、Aさんは、裁判所に提訴した。
区は裁判所による主張で、健常者の社会参加も土日に集中しており、週8時間程度である。したがって、8時間X4週=32時間が適当、としていた。具体的な支給内容をみていないので断言はできないが、健常者であれば、会社が終わって平日飲みにもいくだろうし、必ずしも土日ではない。また、身障者の場合は、リハビリの意味を含めて外出することが、健常者以上に必要ではないかとも思った。
さて、そこで肝心の判決である。
根拠となる身体障害者福祉法がすでに廃止されているので訴えは不適法。
上限設定は、行政の裁量権を逸脱しており違法。上限設定で支援費が1/3から1/4程度に激減することになり処分も違法。
根拠法が廃止されたので、訴えそのものが出来ない、というものの、処分は違法だった、ということは「被告 大田区」の実質的敗訴と言えるだろう。
今後は、勝った負けたの議論ではなく、より現場感覚の福祉政策実現を望みたい。
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