2006年11月27日(月) |
ユウケンカイシャクケンの無い人に聞いちゃダメ! |
お役人やそれに類する人々の特徴に、お役所言葉がある。そして、それを巧みに都合よく使って保身する技は見事ですらある。
本日のお話の舞台は、大田区議会事務局と全国市議会議長会事務局である。
議会の自室にいると、前の席の他会派の女性幹事長さんが、なにやら調べている。どうしたのか訊ねると、昨日の日記に書いた「区政調査費の収支報告書に領収書の写しを添付する」という、極めてあたり前の条例改正案の提案者に、同じ会派のある議員が名を連ねられない、というのだ。この条例案は、私も共同提案者であるので、気になる話だ。事情は以下のようなもの。
この会派のもう一名の議員さんは、この条例案を提案する第4回定例会に都合で出席できない。とすると、共同提案者にはなれない、と区議会事務局に言われたのだ、という。エッ、そんなことないだろう。議員の議案提出権は最も重要な権利のひとつで、出欠に関係なく、議員であれば誰もが普遍的に持っているものだ、と思っていた。
さっそく、手許にあった「議会運営コンサルタント」なる書籍を見る。な〜んだ。私の言ったとおりじゃん。議員の議案提出は未応召、欠席を含み誰でもできる、とある。さっそく、彼女にそのページを示して事務局にも「おかしいだろ」と迫った。
すると、議会事務局職員の回答は以下のとおり。
欠席議員の議案提案については諸説あるが、その本の意見は「少数派」である。全国市議会議長会に確認したところ、やはり欠席議員には提案権はない、と回答があった。従って、我々は「大勢」の意見をお示しした。議会運営委員会でも、この「大勢」について説明するが「少数意見」であるその本のことは、他の議員に対し、提案議員が説明して欲しい。
ほっほう!そうきた。では、一番法律に近いところに聞けばいいだろう。さっそく、総務省自治行政局行政課に電話をした。以下、総務省の回答である。
地方自治法第112条2において、議員の議案提案は定数の1/12と定めれており、法はそれだけである。出席しているか否かは求めていない。
総務省は、出欠に関係ない、と言っているよ、と区議会事務局に教えるも、よりどころの市議会議長会の「大勢」を否定しない。その後の議会運営委員会では、お役人の説明が常に「正しい」と信じているであろう委員らからは、区議会事務局の見解を支持する発言が出たらしいが、かの幹事長から「総務省見解」が出され、結論は保留となった。
それなら「大勢」の見解を示す、市議会議長会とやらに聞いてみようではないか、と電話をした。法制というセクションの男性職員は私の問い合わせに「議員からの直接の質問には答えない。区議会事務局をとおしてくれ。」と。ふざけるな!市議会議長会は「お役人」のための組織ではないだろう。何を言っている!と、激怒すると「主幹」と名乗る上司が渋々電話に出て感動的な言葉をかえしてきた。
私:「議会運営コンサルタント」の筆者は、元自治省総務課長補佐で、おたくの事務局次長も勤めている。その人が言っているのに否定する理由はなんだ。
法制主幹:解釈は人により異なる。その方が、我が事務局にいた時は、そう言っていたのだろう。我々には、ユウケンカイシャクケンがないので、一般論をお答えしているだけで、最終的にはユウケンカイシャクケンを持っている総務省に聞いてくれ。
なんじゃい、その言葉は?有権解釈権と書くのだそうだ。ようするに、法律を解釈する権限がない、ということだ。え、では、今まで区議会事務局が、よりどころにしていた市議会議長会事務局「見解」は、なんだったのだろう。最初から、総務省に聞けばいいのにネ。
またまた、区議会事務局へその旨ご報告。市議会議長会さんは「ユウケンカイシャクケン」がないから、総務省に聞いてくれ、だって。ついでに、総務省の担当課と電話をお教えした。
ところが、総務省さんったら、区議会事務局からの問い合わせには「各政党を通してくれ」と言っているそうな。嗚呼、これじゃ、仕事に時間がかかるわけだ。
だいたい、なんで市議会議長会に特別区が入らなきゃいけないんだろう。会費だけ取られて、ユウケンカイシャクケンもないんじゃ‥
そして、お役所や議会というところは、ひょっとしたら、議論をなるべくしないよう、面倒なことはしないように「機能」する場なのかもしれない。そろそろ、そんなシャンシャンの時代が終わったことを、気付かないとね。
ところで、本題の領収書添付の件は皆さんどうするんだろう?こんなに話題になっているのに、まさか「継続審査」じゃないだろうな。お金の出入りにユウケンカイシャクケンのある国税庁にでも問い合わせたらどうだろう。
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