いぬぶし秀一の激辛活動日誌

2006年11月21日(火) 現場がわかってねえな〜財政審のセンセイ方よ

 財政制度等審議会の建議(意見書)があきらかになったが、その中で気にいらないものが2点ある。聖域なき歳出削減には賛意を表するが、金がないから国庫負担を減らす、という政策は愚策である。

1. 失業給付(雇用保険)の国庫負担を廃止する方向

  失業給付の増加の原因のひとつに「雇用保険があるから失業状態を維持する」という現状がある。6ケ月働いて自己都合で退職し、失業給付を申請すると90日の待機期間経過後、年齢や条件に応じて90日〜365日の失業給付が受けられる。この間は、月1回「就業の意思がある」ことを示しに、ハローワークに出頭する必要があるが、それ以外の間は、雇用保険に入らない、または、入れない事業所で働いて我慢する。失業給付が始まると、アルバイトと失業給付の「ダブルインカム」。たまたま、良い条件の再就職先が見つかれば「再就職手当金」をもらって、又、6ケ月雇用保険に入り、同じ繰り返し。実は、フリーターの間で、こんな就職システムが出来上がっているのだ。勿論、これは違法であるが、あまりに多い失業給付に調査は追いつかないのが現状だ。

2. 生活保護家庭の母子加算を廃止する

  一般母子家庭との不公平感があるので廃止する、という。これも雇用保険と同じだ。本当に母親が働けない母子家庭を支援することは必要であるが、現状の不公平感はそうではない。「就業の意思があり」ながら、働けない(働く場がない)母子生活保護家庭に母子加算をし支援するのが、本来の趣旨だ。が、子ども二人に母の母子家庭、この母子加算を含めると月額26万円を超える扶助費が支給される。週40時間労働に換算すると、時間給1300円を超える。人間は弱いものだ。「意思はあるが、働く場がない」と言い張っていれば、働かずして時給1300円が入るとしたら、はたして、時給1000円で働きに出るだろうか。これが、真面目に働き生活保護を受けない母子家庭との不公平感なのだ。真に必要な母子家庭との不公平感ではない。

 1.も2.も、生活困窮者を救う制度としてあるもので、よいものである。ただ、それが、制度本来の使われ方をしていないことが問題であって、制度をやめてしまうのは、まったく暴論である。

 介護保険が、あまりの過剰給付を事業者が提供するものだから、介護度を変更せざるを得なくなった構図と似ている。政府がすべきは、いずれの制度も、「本来の趣旨」通りに使われるよう仕組みを変えることであって、制度を全廃することではない。

 2時間程度の審議会で1回20200円の報酬をもらっている財政審の委員センセイ(定員30名現員29名)には、わかんねえだろうな!頼むよ安倍総理!


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