いぬぶし秀一の激辛活動日誌

2006年09月22日(金) 一般質問全文

改革110番の犬伏秀一でございます。
この会派名にしてから、区民からの要望、苦情などが激増し、いかにお役人の意識と、そのサービスを受ける側との意識には隔たりがあるかを痛感いたしました。

 そのような問題意識の中、まず、23区一部清掃事務組合が東京ガスと合弁で10月に設立予定の、新会社についておうかがいいたします。23区と、清掃一部事務組合は、平成19年度から廃プラスチックを可燃ゴミとして収集焼却し、そのための新会社を東京ガスと合弁で設立すると発表いたしました。これは、一昨年、東京都廃棄物等減量審議会が出した答申を受けてのものですが、その答申後、環境省の中央環境審議会は次のように環境大臣に意見具申をし、これが今日の国の基本方針となっているのです。

廃プラスチック類についてはまず発生抑制を、次に再利用を促進し、なお残るものについて、直接埋め立てを行わず、熱回収を行うことが適当

 先進的市長として有名な、中田宏横浜市長は、8月に行われた自治体学会において、廃プラスチックのリサイクルなどを行った結果、10年間でゴミの排出量を30%減らすG30計画をたった1年で達成したこと、その結果焼却工場2つを廃止し、1100億円の建設費を削減できたことを発表されました。
住民を啓発し、分別、リサイクルをすすめ、ゴミの発生抑制をし、工場建設費や運営費の財政負担を抑制し、あわせて環境負荷をも軽減することは、いまや日本全国の自治体の、共通したミッションであろうと思います。が、23区は、時代に逆行する行動をおこそうとしております。
 
 清掃一部事務組合の資料によれば、52基ある焼却炉の一日あたりゴミの実際焼却量は8300トン余りであり、その焼却可能能力は13000トン。とすると、毎日5000トン近い余剰能力があり、単純計算をすると、52基のうち、18基は不用となってしまうのです。定期点検などで、予備が必要であったとしても、10基以上は廃止できることは、あきらかではないでしょうか。であるにもかかわらず、ここ数年2つの焼却工場を建設し、さらに、葛飾、世田谷の建設をすすめるのは、いったいどのような理由なのでしょうか。お示しください。
 
 本来、23区清掃一部事務組合は、ゴミの削減に努め、清掃工場の削減、維持管理費の減額に努めるべきミッションを持っているにもかかわらず、組織の保身、増大、天下り先の新規確保につとめるという「木っ端役人根性」は、区民納税者が到底認められるものではありません。焼却炉メーカーのため、職員の職場確保のために、莫大な税金が投入されているのだとしたら、到底看過できないのであります。
先ほど申しました中央環境審議会は、今月12日、事業者が区市町村にリサイクル資金を提供する仕組みを創設するにあたり、区市町村の次期分別収集計画策定を、1年前倒しする環境省令改正を了承いたしました。このことと前後し、新宿区、江戸川区が来年度から廃プラスチックの分別収集を開始することを決定し、葛飾区も前向きに検討中であるようです。
 
 なぜ、大田区は時代に逆行する、廃プラスチック焼却に強い賛意を示し続けるのでしょうか。理由をお教えください。また、廃プラスチックの可燃ゴミ化による、区民のゴミ削減への意識低下をどのように考えられるのでしょうか。新宿区、江戸川区などの取り組み、さらには、中央環境審議会の答申をどのように受け止められるのでしょうか。
 
 新会社の代表取締役社長には、西野善雄区長の就任が確実視されております。後世に憂いを残すことのない、東京都役人と、清掃退職職員、焼却炉メーカー、東京ガスのための新会社作りではない、区民の目線で、再度検討されることを強く望むものであります。

 
 次に、身障者自立支援法に関係して質問をいたします。多くの障害者、家族、関係者の心配と不安のもと、障害者自立支援法が施行されました。福祉サービスや公費負担医療制度を利用する料金が、所得を基準にした応能負担方式から、利用したサ−ビス量に応じた応益負担方式に切り替わり、さらには、食費や、施設入所者の日用品費などは「在宅者」との均衡を理由に全額自己負担へ変更されました。これにより、障害者や家族の負担は大幅に増額され、反面、民間施設への支給が減額するという「自立支援」ならぬ「自立阻害法」となってしまいました。
 
 昨年、食費について区立と同様の支援をして欲しい、との陳情が出された、区内社会福祉法人の経営する施設の法施行後の収入を示した資料があります。法施行前の昨年4月5月2ケ月間で、公費で支払われた金額は、1299万円余り、利用者負担は14400円でした。施行後の本年4月、5月は、公費から934万円余り、利用者負担は100万円。合計で、施行前に比べて、公費負担が358万円減額され、利用者負担が99万円増額、結果、施設に入る金額は、2ケ月で258万円も減ってしまったのです。率にして20%の減収です。身障者自立支援法の施行により、利用者負担は10倍になり、施設への収入が20%減というのは、あまりにも、この制度の設計図がズサンであったかを物語っております。

 昨日、区長は答弁で「施設の責任で、創意工夫を‥」と述べられました。施設の最も大きな支出は人件費です。とすれば、止む無く経営上、人件費削減をはかることになり、そのことは、間違いなく利用者へのサービス低下を生み出します。このように、本制度は、国のいいかげんな設計図に基づいた建物であります。であるとすれば、自治体において耐震診断をし、補強工事をしなければ、崩壊の危険があります。
本制度の問題点を例示しますので、大田区同時の補強策についてお考えをお示しください。

自立支援:定率負担を導入し「金銭負担」というハードルで利用を抑制しようとしている。自立が困難な障害者ほど、負担が多くなるという構図である。
訓練給付:訓練効果が見込めない人を除外することになる。
自立支援、補装具:新たな所得制限を設け、利用を制限している。
施設:報酬が日割り払いになり、施設の運営が困難になる。

 地方分権の時代、国の制度を粛々と実施する「出先機関」の時代は終わりを告げ、東京都のお役人に、お伺いする習性をやめる時期がまいりました。近年中に、介護保険と身障者自立支援法は合流するとも言われております。そのような国の動きに対し、高齢者や障害者のより身近な自治体として、都や23区の横並びではない、大田区独自の負担軽減、施設補助を検討されるよう強く求めます。

 
 最後に、教育問題について、質問をします。
過日、東京都教育委員会は、公立学校の部活動を正規の教育活動であると、やっと認定をいたしました。ところが、その指導者たる教員については、相変わらず、教員の自主的ボランテイアに委ねられているのです。休日や夏休みに部活動で出勤しても、代休も、休日出勤手当も支給されません。つまり、志ある教員が損をし「労働者」に徹している教員は、のんびり休日を過ごされている現実があります。結果、生徒指導に熱心な教員に荷重が多くのしかかってしまいます。このような、部活動指導の教員に、区独自でなんらかの費用弁償的な支給ができないものでしょうか、おうかがいいたします。

 先日、東急線の車内で、区立中学校で部活動を熱心に指導されていた50歳代の男性教員にお会いしました。お話によると、これ以上教員を続けられないと、早期退職されたそうです。その理由は、毎日毎日、教員の無力をあざ笑うように挑発してくる生徒指導にいやけがさした、とのことです。指導力不足と、この教員を攻めるわけにはまいりません。多くの教員が、生徒の暴力や問題行動に手を出せない現状に悩んでいるのです。そして、このような教員の及び腰な態度は、真剣に勉強をしようとする生徒達へも、教員や大人への不信感として波及してまいります。

 今、区立中学の多くが荒れています。その根源は、家庭にあります。親として大人としての尊厳、権威の喪失が大きな原因であろうと思われます。子どもと友達のように接することが、いい親であり、教員だ、と錯覚していることが問題です。大人は、親は、教員は、おまえらとは違う、というある種の権威が教育には求められています。「あなたらしけらばいい」という、無責任な教育が蔓延した結果です。悩める親や教員を強力に支援する、学校とは別組織が求められているではないでしょうか。大田区立学校の多くに、助けを求めている生徒が、教員がいます。そのことから目をそらして、青少年対策と称した諸行事をいくら主催しても効果はありません。荒れた学校対策の具体的取り組みにつきおうかがいいたします。

 元三重県知事の北川正恭氏は、「経営」の「経」の字は、建物の設計図だ。「営」は、その設計図に基づいて、工事を行うことである。今までの自治体は、設計図である「経」の部分を、すべて国に委ね、その設計図に基づいて「営」の部分だけを担ってきた。これからは、それではダメだ。こんな街にしたいと「経」の部分である設計図も自ら作るべきだ。と述べています。大田区が、独自に国の制度を補完する施策を示し、東京都の内部団体だったトラウマから解放された時「大田区民でよかった」との声がわきおこるでしょう。そんな日が一日も早く訪れるであろうことを祈り、私の質問を終わります。




 < 過去  INDEX  未来 >


いぬぶし秀一 [MAIL] [HOMEPAGE]
 
↑今日の日記は気に入りましたか?
My追加