いぬぶし秀一の激辛活動日誌

2006年01月11日(水) 老人保健施設入所は大変だ!

 区内に住む男性から相談があった。90歳代の親を妻が面倒みているが、80歳代の母も入院して、妻の肉体的精神的限界がきた。なんとかならないか、というものだった。特別養護老人ホーム(特養)入所を希望されているが、大田区の場合は、2月と8月の2回受け付けて、ポイント制で優先者から入所する。1000人近い方々がお待ちで、現実的ではない。

 そこで、老人保健施設(老健)をおすすめした。「特養があく」ということは、入所者が亡くなった、ということを意味するが、老健の場合は、3ケ月で退所しなければいけないので、可能性は高い。

 知り合いの老健をご紹介して、面談に同席させて頂いた。実際の介護の現場では、どのような情報を必要として、どう判断するのかを知りたかったからだ。

 支援相談員という肩書きをお持ちの方が、約1時間、身体の状況、食事、家の状況、認知症の程度などを書類に書き込んでいく。今までは、ほとんど公的な介護支援を知らず、奥様の介護に委ねられていた在宅介護の状況をうかがった。この奥様の献身的介護には本当に頭が下がる思いだ。早く、一時の休息をと相談員の言葉を聞く。

 ところが、医師の人間ドックに近い診断書の提出、その後の受け入れ判定会議など、1ケ月近くを要するらしい。さらに問題は、差額ベットがかからない部屋への入所が難しいという現実だ。

 差額ベットがないと、月額12万円程度、差額ベットだと18万円程度追加になり、30万円の自己負担が必要だ。これは昨年10月改正された法律により、食事代が全額自己負担になった影響が大きい。

 サラリーマン世帯であるこの方も、数年後には定年である。30万円の負担は厳しいだろう。「父の入所がいつまで、と限られているなら30万円でも払えますが、ずっと続くとなると無理です。」と。

 「限られている‥」ということは、亡くなることだ。ずっと生きて欲しいと思う息子としての気持ち、でも経済的な問題が重くのしかかる。一体、介護保険とは、年金制度とはなんなんだろう、と複雑な思いで施設を後にした。


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