2005年12月06日(火) |
あたりまえのことが出来ない国、社会 |
随分前に、カトキチの社長でもあり、当時観音寺市長も務めていらした、加藤義和氏とパーテイで1時間近く懇談させて頂いたことがある。あまりに有名人のためか、参加者が遠慮して近づかなかったので、シメタとばかり独占した。
私「どのようにすれば、政治家をしながら、企業経営と両立できるんですか?」 加藤氏「簡単ですよ。知行合一です。皆、どうすればいいか知っている。しかし、実行する人は少ない。実行すれば100億ぐらいの会社は簡単につくれます。」
中国陽明学の言葉であると知ったのは、相当たってからだった。行商の身から、カトキチを上場企業にまで作り上げた氏の言葉だけに、重みがあった。さらに驚いたのは、その翌年の年賀状まで頂いたことだ。さすが実践家である。知行合一、当たり前のこと、知っていることと行動を一致させること。わかっていてもなかなか出来ないのが人である。
私が常に実行している実践例、それは「ハイ」という返事である。入学式、卒業式、その他来賓として紹介を受けたら、すかさず「ハイ」と返事をするのだ。これは、小学校以来、名前を呼ばれたら返事を‥と教えて頂いたことだ。
ところが、ほとんどの来賓は返事をしないので「ハイ」と大きな声で返事をすると、会場から笑いが出る。まったくおかしなことだ。
先日は、その「あたり前」の行動をされて感動されたことがあった。それは、取引先の小さな商店主さんからの一通のメールだった。
「毎度ありがとうございます。貴店よりの入金を確認致しました。今後とも宜しくお願い致します」とあった。
私は、毎月末には、経営者として数十件の支払いを振り込みで行うのが常である。当たりまえのように振り込んでいたが、今まで「入金ありがとう」とメールや手紙が来た会社は、今回を含めて2回である。振り込まない(いえ、金がなくて振りる込めない)と、振り込め、という督促はよく来るが‥
この商店とは、10月から取引を始めたので、振込みは今回が初めてだ。さらには、先月末の支払い金額は、数十件の振込先でも最も少ない額だった。であるのに、この「あたりまえ」のメールには感動した。
社会がデジタル化し、ネットバンキングか一般化し、給料も振り込み、支払いも振込み。お金に対する感謝や、価値観がいささかおかしくなっているのかもしれない。
朝起きたら「おはよう」と挨拶をし、呼ばれたら「ハイ」と返事をする。何かして頂いたら「ありがとう」と言う。まったく、あたりまえのことが出来なくなった、最近のこの国は心配だ。
今月からは、当社も「ありがとう」を連発することにしよう。
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