2005年03月30日(水) |
社会保険事務所は街金か?危うく不渡り… |
昨日は、区内のある中小企業A社の事務責任者さんからのご相談で、社会保険事務所に同行した。社会保険事務所は、厚生労働省の所管だから、区議の出る場所ではないのだろうが、国会議員事務所に頼むよりは行ってしまったほうが早い。
事務所の担当課長への聴取と、事務責任者からの訴えを総合すると、「事件」の概要は以下のとおりである。
A社は、昨年5月、従業員の社会保険料(年金を含む)3ケ月分約350万円を滞納していた。融資が月内に出るので待って欲しい、と懇願するA社の要望に、社会保険事務所担当官は「では、まわしませんから、小切手を担保に預からせて欲しい」と、5月31日付け小切手を要求。
A社は、5月25日に延滞額全額を納付した。ところが、社保担当官は、そのことに気づかず、5月30日午後3時以降に「小切手をまわす」と電話で通告のうえ、取立てにまわした。A社は抗議して、小切手は「依願返却」の手続を取られたが、5月31日午後2時まで、A社の当座預金(小切手用の口座)は閉鎖され、月末の決済の多大な支障が出た。
ところが、このドジを踏んだ担当官は、後日謝罪どころか、依願返却をしてくれ、との届出書類に捺印をして、銀行へ払った返却手数料1050円を払え、との書面を送って来たのだ。
これに腹を立てたA社は、徹底抗戦で「納付拒否」を開始したところ、最近になって差し押さえ予告通知が送られてきた。これが、事実関係である。流石、お役人、たいしたものである。
このまま放置すれば、社会保険事務所は国税徴収法に基づき、A社の預金口座やら不動産を、いとも簡単に差し押さえるだろう。それは、A社にとっては良い選択ではない。また、今後「納付拒否」を続けたとしても、ドジ担当官や、その上司である課長のボーナスが減ったり、人事上、不利益になることは制度上あり得ない。
社会保険事務所の立場、また、日ごろ、特別区税などの「時効」に文句を言っている私の区議の立場からも、「納付拒否」は、問題である。
そこで、課長に部下のドジについて謝罪し、今後、二度とこのようなことがないよう指導監督する旨、A社事務責任者に頭を下げて欲しいと事前に伝えたところ、了承していただいた。
約束した時間に出向くと、課長は、率直に事実関係を述べ(一部誤認があり訂正を要求したが)、な、なんと!謝罪をされたのだ。これは、極めてマレである。区役所でも、管理職が部下のミスにつき、「素直に詫びる」ケースは、まずない、と言っていい。相当の時間「いかに自分の部下は職務に忠実か」を講釈したうえで、「いささか解釈の相違があったようで…」などと言葉を濁して、詫びてるんだか、言い訳しているのだか、お茶を濁す、というのが、公務員たる管理職に要求される素養でもある。
その意味からも、この実直そうな課長さんの態度は、エライ!A社も、年度内に「納付拒否」全額の納付を約束してくれた。
どうか、全国の公金徴収担当者の皆さん!「心の通った徴収事務を」お願いしたい。あんたらと違って、中小企業は必死に納付してるんだからネ。
(なお、本件はA社のご承諾を頂き公開した。)
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