2004年09月23日(木) |
幼稚園廃園問題に見る区民と議員の関係 |
今、区議会でのエポックは、区立幼稚園の廃園問題である。所管のこども文教委員会は、傍聴席が委員会室だけでは足りず、本会議場の傍聴席に音声だけ中継する、という盛況ぶりである。幼稚園保護者の関心の高さがうかがえる。
この問題の賛否の論点は、どうも絶対すりあわないような気がする。
反対派:区立幼稚園はとっても良い環境なので、是非残してください。 4億円の削減といいますけれど、もっと無駄使いしているところがあるじ ゃないですか。 うちの孫の幼稚園をなくさないで。 ほかの区では、廃止していない所もあるあるじゃないですか。 あるものを潰すのは、もったいない。 区民の意見を聞かず横暴だ。
この手の『感情論』で反対運動を展開しても、多くの賛同を得られるとは思えない。なぜなら、いずれも、廃園を再検討する合理的理由とは思えないからだ。いや、区立幼稚園とはかかわりのない、一般区民(納税者)からは『エゴ』と映るかもしれない。
さて、本件をめぐっては区議会議員の有り様も注目すべきだろう。自民は、当初より推進派だったし、早期に決着したかったのだろうが、我々を含む、17名の議員連名で『議論を尽くそう』との要望書が出たので、鈴木章浩こども文教委員長(自民)は、委員会運営に苦労されたことだろう。結果、委員長の協力もあって、今までに比べると、資料提出、委員会回数など改善されたと思う。
公明は、当初、会派内でも賛否が分かれていたようで、どうなることかと見ていたが、賛成でまとまった。私立幼稚園(類似施設を含む)のうち宗教法人立幼稚園が19園、他に学校法人立ながら、そのバックボーンが神社や寺、教会である幼稚園を含めると、半数近くが宗教関係の幼稚園となる。すると、支持母体である創価学会員にとって、区立幼稚園の存在は重要だろう。しかし、ここを調整しまとまったのは、評価に値すると思う。
その結果だろうか。10月から区立保育園全園で、公明党が主張していた『緊急一時保育』が始まる。政策を実現してこそ、政党であり、会派であるとすれば、同党は国政でも区政でも、悔しいがあっぱれである。
さてさて、共産党を除く残りの議員は、多くが揺れている。とくに、地元の区立幼稚園がなくなると、一切の幼稚園がなくなる地区選出の区議さん。また、子育て中のお母さん区議。
反対派の『感情論』の部分に共鳴できる、これらの議員さんたちは、悩んでいる。税金の公平な使途見直し、という大義、さらには、大田区全体の保育園で幼児教育をしようという提案には反対できない。しかし、地元の町会長や支持者が、廃園に反対している。さあ、どうしよう、ということだ。
きれいごとを言うようだが、区民の意見を何からなにまで代弁すべきが、議員ではない、と思っている。場合によっては、支持者や地元の『エゴ』と対立して、自ら議員としての良識を貫く必要もあるだろう。
でないと、議員の主体性が益々薄くなり、盆踊りや新年会の『挨拶係り』に成り下がってしまう。 この問題に『賛成』すると『区民の声に耳を貸さない』との記載が、どこぞのHPにあったが、それこそ大きな間違いだ。だと思うなら、次の区議会議員選挙で『声を聞く』と思う候補者を大量に当選させればいい。それが、間接民主主義の仕組みだ。
それぞれが、大田区民65万人の幸福と、税の公平な支出、そして、14000人の幼児の教育環境整備のため、議論し、よりよい方向になるよう期待したい。
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