いぬぶし秀一の激辛活動日誌

2004年09月16日(木) 救急車には乗れません!介護ヘルパー@大田区

 お役所には、ウソのような本当の話が多くある。つまらない落語より笑える話も多い。その『落語』を真剣に語るお役人を見るにつけ悲しくなってしまう。

 今日の『落語』は、介護保険のヘルパーさんについてだ。区内医療機関の事務長さんの申し出により、介護保険課長にインタビユした。まずは、通院介助。これは、ケアプランに基づき、通院の際ヘルパーさんが同行するものだが、なんと、院内移動は『基本的には医療機関スタッフが対応する(介護保険課文書)』そうだ。

 車イスの高齢者を、区内の大学病院で『医療機関スタッフ』が院内移動させているだろうか。また『単なる待ち時間には訪問介護を算定しないこと(介護保険課文書)』とある。つまり、医者まで送り届けたら、その後は『おばあちゃん、この後は自費になるよ』と言って、順番を待て、というのだ。なんとも非現実的ではないか。まあ、実際、区にあがる請求書はデジタルデーターなので『実態は補足できない(介護保険課談)』そうだから、介護事業者の『良識』で対応しているのだろうが…

 さらに『落語』なのは、救急車だ。介護中の高齢者の容態が急変し救急車を呼ぶことは想定されることだ。ところが、救急車に同乗して医療機関まで行くことは介護保険では算定されない。つまり、自費でもらうか、ヘルパーさんの好意しかないというのだ。

 ちょっと、その姿を想像してみて欲しい。高齢者が意識不明になり、ヘルパーさんが救急車を呼ぶ。独居のため、家族はいない。医療機関に事情を説明できるのはヘルパーさんだけである。そこで会社に連絡したところ『大田区から厳しく指導されているから、自費である旨、確認しろ』との指示。

 そこでヘルパーさんは、救急隊員の静止も無視して意識不明の高齢者に『おじいちゃん!ここから自費なんだけど、お金持ってる?ねえ、おじいちゃん…!』と叫ぶ。まったく信じられない光景だが、お役所的には正しい行為なのだ。

 大田区独自の解釈かと思えば、東京都福祉保険局も同様のQ&Aを出している。制度が先に出来てしまった介護保険、こんな矛盾も補正していかなければ国民の支持は得られまい。


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