2004年01月09日(金) |
老人保健施設と、周辺住民反対運動 |
高齢者の介護に関係する施設としては、在宅介護支援センター、老人保健施設(老健という)、特別養護老人ホーム(特養)、介護型老人ホームなどがあるが、比較的軽度(要介護度1〜3)の方が入所する、老健施設が大田区には1軒しかない。
そこで、区内にある元国営企業の社宅跡地に、地元の医療法人が老健の開設を計画した。土地の取得にあたっては、住民の一部が「公園にしてほしい」と、議会や、区に要望を出し、要請運動が始まった。
ところが、土地の所有権が医療法人に移ると、「公園に‥」の運動は沈静化し、周辺住民の「老人保健施設反対」運動が開始された。老健は「臭いからいやだ」と涙声で訴えた隣接地の女性。「こんな大きな建物はダメだ」等、法律や、論理的説明がつかない感情論からスタートした反対運動は、関与している医療コンサルの対応不手際もあって、とどまるところを知らない底なし沼に突入した。
再三の話し合いの末、年末になって、医療法人側の譲歩もあって、20%程度の住民が同意をした。
反対の内容は、というと、概ね次のようなものだ。
一番は、大きすぎるというもの。建蔽率70%(角地すみきりのボーナス10%含む)、容積率200%の建築基準法は完全にクリアしているが、住民の訴えは『法律に合致していれば、どんなものを建ててもいい訳ではない』と。
しかし、認可する所管庁である、東京都福祉局、融資を実行する、医療福祉事業団は、100ベットを最低の基準としており、この土地(約500坪)であれば、これ以下の縮小には、譲歩はできないようだ。
北側の住民の日照に配慮(建築基準法は楽にクリアしているのだが‥)して、一部半地下にして南側にドライエリア(半地下の日照を確保するスペース)を作れば、南側から「こちら側に寄りすぎ」と文句を言われる。駐車場が少ない、との指摘から縦列駐車場を作れば「縦列では現実的ではない」と。3階建ての計画を、日照のため一階あたりの面積を少なくして4階にすれば、4階の面積を減らせ、と。
通常のマンション建設の相隣調整であれば、とっくに業者側が「最終通告」をして、強引に建設着工になるケースだが、国、東京都、区の補助金がからんでいるので、行政も住民の声を無視できない。さらには、反対運動の事務方に、予定地東側に住んでいる、東京都の公務員がいるから、余計ややっこしい。
さてさて、公共の福祉と、地元住民の受忍限度。誰が、どうジャッジしたらいいのやら‥
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