いぬぶし秀一の激辛活動日誌

2003年12月19日(金) 区民より上司の命、ある区関係団体の場合

 お役所の中にいると、日記ネタには本当にことかかない。「えっ、うそ〜」というよな非常識に、毎日出会うのだから、おもしろいし、あきれる。お役人は「また、インターネットに書かれるぞ」と怪訝そうな顔をするが、ここに書いていることは、公開して差しさわりのないことだけ、である。つまり、もっと、もっと、書けないネタがあるのだ。まあ、指摘した段階で、改善していただければ、「胸のうち」にしまっているつもりだ。

 さて、今日は久しぶりに、お役人(正確には、区関係団体職員)に怒鳴りつけてしまった。以下、事件の概要である。

 区内のA社は、区関係団体(以下Cと書く)に仕事を依頼し、その費用60万円が支払えず、滞納していた。社長Bさんは、いつか払うといい、1万円、5000円と、払って、やっと40万を切ったが、払ったり、払わなかったりで、連絡も途絶えがち。そこで、Cは少額訴訟で決着をつけようとA社に通告をした。困ったBさんは、私に相談に来られた。

 私の解決策は、1.必ず払う旨の、法人と社長個人連名の念書 2.銀行口座から、毎月1万円の自動送金(自動振り替えではない)の手続をして、その控えを提出、というものだ。いくら不況とはいえ、Bさんの対応は不誠実であろう。そこで、この2点を実行するのなら、Cに話してあげます、ということにした。Cとて、裁判が本旨ではないはず。回収にメドがつけば、との思いがあった。

 その旨、今週の月曜日に、Cの次長に話すと「では、金曜日までに、処理していただければ訴訟なしません」との回答を得た。Bさんには、必ず上記を実行するよう指示した。そして、今日、金曜日、心配なので、Cの次長に電話で確認を取ると、念書はあるが、銀行の書類が怪しい、というのだ。早速、Bさんに聞くと「銀行の郵送用申込書で、郵送したので、今日は着いていないだろう」という。これも、いささかウソ臭いが、絶対大丈夫、との、Bさんの言葉を信じ、次長に来週まで待ってくれるよう頼み、彼も承諾してくれた。これが、午前11時の話。

 ところがだ、午後5時近くに、この次長から携帯に電話で「郵送だと、確認に時間が、かかるので、やはり、裁判所に行きます」とのこと。これには怒った!「なめんなよ!さっき、いいと言っただろう。であれば、銀行が開いている時間に、電話くれれば処理できるものを、こんな時間にダメだとはなんだ。上司を出せ。」突如ヤクザに豹変したチンピラ区議にたまげて上司が電話に出る。曰く「ああ、それは私の指示です。月曜日に当団体の会長が来るので、説明がつきません。裁判所に出しても、後で取り下げが出来ますから」と。

 嗚呼!区の管理職を定年になり、この団体Cの責任者になった彼にとって「正しい判断」なのだ。この大田区関係団体Cの未収金を回収するという本来の仕事より、会長さんへの説明と、裁判で判決が出て「回収不能金」となれば、事務手続上、処理が早い、そう判断されたのだろう。その金も、「税金」。でも、人の金。

 そして、次長も、午前中に、私に「いいですよ」と言ってしまったことなど、上司には報告せず、この上司の命令を、私に伝達する、という、「正しい仕事」を実行したまでなのだ。役所とは、かようなものである。

 誤解しないで頂きたいのは、払うべき金を払わないBさんを正当化するつもりは毛頭ない。ましてや、郵送センターなどと言わず、支店窓口で手続をすればよかったのだ。経営者に求められるのは「即行、即止」である。このように現実から逃避していては、会社の再建はおぼつかないだろう。

 そのことはそれとして、今日の問題は、一度「待ちます」と答えたことに対して、まったく釈明もせず、上司の言葉に従ってしまう次長さん、そして、回収より手続を重んじる、お役所体質である。

 結果は、上司さんが、渋々待つことを了承してくれた。いやいや、快諾してくれた。ありがとう!


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