人妻の裏心 『皮肉な幸せ 27』 限りなくゼロに近い希望 - 2005年07月23日(土) この子を産むと決断してからは、アタシはこの子を夫の子だと 信じて毎日を過ごすように心がけた。 アタシのお腹が大きくなるにしたがって 夫の優しさも正比例するかのように増していく。 けれど、その優しさが増すにしたがって、アタシの判断は 間違っていたんじゃないのかと不安が募ったこともあったが 数ヵ月後アタシは男の子を無事に出産した。 夫は毎日、仕事が終わると病院に来てくれた。 と、夫が言うたびにアタシの心臓は激しく鼓動した。 いったいこの子はどんな風に成長していくのだろう? 血液型がAB型でありさえすれば、どんな子に成長して いこうと不安はないのだけれど・・・。 退院の日、赤ちゃんの採血がされた。 母子手帳に書かれた血液型は・・・ よりにもよって「RH(+)A型」だった。 一番可能性が低い血液型。 アタシは溜息をつきながら、母子手帳を閉じた・・・。 ただ、その中で赤いスタンプで押されていた文字だけが アタシの最後の希望のようにみえた。 『新生児の血液型は100%の確実さがないから 1年後位に再検してください。』 -
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