パラダイムチェンジ

2006年07月29日(土) 日本サッカーは、コンテンツを超えられるか

ということで、今まで「コンテンツ」について自分なりに考えてきた。
今までの話をまとめると、私の感じる「コンテンツ」という言葉は、
商品価値のあるもの、だけど消費されてしまうもの、というニュアン
スが強いと思う。
そしてそこには、大手広告代理店が仕掛けるメディアミックスと
いったものが見え隠れする。

でね、そもそも私が「コンテンツ」という事について考えるきっかけに
なったのは、今回のW杯サッカーだった。

今回のW杯、日本は惜しくも予選で敗退してしまった。
まあ、もちろんそこには実力の差もあったのかもしれないけれど、
今回のW杯で一番印象的だったのは、サポーターというか、自国の
チームを応援する国民の熱狂度の違いである。

今回のW杯は、ヨーロッパで行われたこともあって、会場でも4年前の
日韓大会に比べて熱い応援が繰り広げられていたし、会場の外でも、
たびたびサポーター同士のいざこざがあったらしい。

今回、スカパーに入っていたことあり、またうちのTVは2画面に分割
できるので、一方では試合を見て、もう一方では、スカパーの、
サッカー解説者やファンが試合を見ながら映像なしで実況中継だけを
延々と続けるというシュールな番組を時々見ていた。

なんでそんな番組を見ていたかというと、セルジオ越後をはじめと
するサッカー解説者の雑談が意外に面白かったからである。
サッカーの試合自体は録画していることが多かったので、その後また
試合だけを見直したし。

で、そのサッカー実況中継番組で、すげえな、と思ったのは、そこに
いる出演者の出身国の試合である。もうね、阿鼻叫喚というか、番組
であることを抜きにして、大音量で応援しているんだよね。

まあ向こうの人がラテン系の人が多いのは抜きにしても、日本代表の
応援の時とは、やっぱりその温度みたいなものが違うなあ、と思った
し、また、日本代表が本当に強くなるのには、私たちも応援の温度が
上がっていかないとならないんじゃないのかな、という気もしたので
ある。


で、今回の日本代表に対するメディアの扱い方、というのも改めて
見直したときに、でもまだ日本代表や、日本サッカーって「コンテン
ツ」の域を脱していないような気がしたのである。

今、日本代表チームに対して、各メディアが熱狂的に報じているのっ
て、やっぱりそれが視聴率を稼いでくれる「おいしいコンテンツ」に
過ぎないからなんじゃないのかな、という気がするのだ。

今回、第2戦のクロアチア戦の後のインタビューで、ジーコ監督が
日本のTV局の都合で、(日本の放送時間に合わせて)現地時間で昼間の
熱い時間帯に試合を行なった事が敗因の一つだ、という発言をし、
注目を集めたことがあった。

その後、日本代表の試合が現地時間15時、日本時間で22時に決まった
背景には、日本の広告代理店、電通の意向があったのではないか、と
いうことも一部で報じられた。

実際に、どの国がどの時間帯に試合を行うかについては、開催国ドイ
ツやヨーロッパでの人気度、注目度も関係して、サッカー強豪国が
現地のゴールデンタイムに試合を行なうマッチメークが行われた結果
日本の試合が昼間に押しやられた、という見方もあるらしいので、
真偽のほどはわからない。

まあでも、放送する側は、深夜1時、4時の試合よりは午後10時の試合
になって得したり、ほっとした一面もあるのかもしれない。

ただね、今回の一連のW杯における日本代表の各メディアの取り上げ
方だけでなく、たとえば、W杯直前の合同合宿をわざわざ福島のJビ
レッジで行い、それをメディアやファンに公開した分、全体に調整の
遅れが目立ったあたりを考えても、今回の日本サッカー協会自体が、
日本代表を「コンテンツ」だと思っていたんじゃないのかな、という
気がするのだ。

大手広告代理店や、マスメディアはただ単に過ぎ去ればいいのかも
しれないけれど、日本サッカー協会が、今のサッカー人気を盛り上げ
価値を上昇させようと思っているあまりに、本当にしなければならな
い事を読み違えてしまったような気がするのだ。

できれば、今度のオシムジャパン以降では、日本サッカー協会も
サッカーバブルにするのではなく、長期にわたった日本サッカーの
強化策を考えてほしいなあ、と思う。

確かに、これから先も、W杯、日本代表人気に比べて、Jリーグの人気
は、さえないのかもしれないけれど、でもその一方で、国民が注目す
るW杯も3回目を迎えることで、その見方も段々と成熟してきたり、
サッカー人気も定着してきているんじゃないのかな。

それは確かにヨーロッパや、南米の本場と比べたらまだまだ物足りな
いかもしれないけれど、日本という国の中で、サッカーという魅力的
な競技に対する人気が段々と定着していくにしたがって、日本サッカ
ーも、もっと強くなっていくような気もするし。

少なくとも、日本代表やW杯について、ワイドショーでいちいちルー
ルから始めて解説しなきゃいけない間は、日本サッカーはまだ、コン
テンツの域からは脱していないのかもしれないけれど。


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harry [MAIL] [HOMEPAGE]

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