今年も早や、8月になった。まことに月日の経つのは早いものである。 そして今年の8月は、オリンピックのある月である。
もう少し経つと、メディアはオリンピック一色に染まるのだろう。 今回のオリンピックで私が個人的に気になるのは、陸上トラック競技で ある。末續慎吾がはたして男子100mでどこまでいけるのか、そして 室伏広司は、念願の金メダルを手にすることができるのか。
あとは、最終予選を見に行った事もあり、サッカーもやはり気になる。 イタリア、ガーナなど、各大陸優勝の実力を持つグループの中で、 はたして彼らがどんな活躍をするのか、楽しみである。
そして、野球。 はたして今回、ドリームチームとしてプロ野球選手のみで構成された 長嶋ジャパンは、金メダルを手にすることはできるのか。
先週末の7/31に、長嶋監督のアテネ同行断念が報じられ、8/2に長嶋 一茂の報道会見があり、正式に長嶋監督が直接指揮をすることが見送ら れた。
これは、一応リハビリをかじったものとしては、妥当な判断であると 思う。 オリンピックの会場であるアテネは気温40℃の炎天下であり、そこに 脳梗塞片麻痺患者を2時間以上もさらしておくのは、普通に考えれば 難しいことだろう。
いくらこまめに水分補給をはかったとしても、実は真夏の炎天下という のは、脳梗塞の発症率も高く、片麻痺患者の再発率の高い環境なのだ。
ついでにそんな環境で切ったはったの真剣勝負の指揮などをしたら、 感情失禁とまではいかなくても、相当テンションがあがり、結果高血圧 もしくは、筋肉強直の可能性など、片麻痺の回復にとってはよくない ことだらけである。 だから今回の決定は、賢明な判断だったと思う。
でも、今回のアテネ五輪の野球競技では、アメリカ、韓国などの強力 チームがいないことで、キューバともに金メダルの最有力候補として 日本も挙げられているが、不安要素がまったくないわけでもない。
一つには、日本との環境の違いである。 日本のプロ集団は、今まで海外で戦った経験が実はほとんどない。
今までの五輪大会に出場した経験のある選手ってどのくらいいるん だろう?現役プロ野球選手でも、古田をはじめとして、松中、井口、 仁志、小久保あたりが五輪に出ていたのは覚えているけど、今回の メンバーで含まれるのは、前回シドニー大会に出場した松坂、中村ノリ くらいなんじゃないのかな。
サッカーの場合でも、開催国と同じような環境で戦ったことがあるか どうかでパフォーマンスが異なるのに、いきなり現地に行って、体調 管理ははたして大丈夫なんだろうか? 食べ物が違えば、水も違うのである。
アテネ最終予選の場合は、日本の政治力もあってか、日本で開催する ことに成功し、その結果日本代表は順調に結果を残すことには成功 した。でも秋口のシーズンオフ直後と、真夏のアウェイでは、その 環境は大きく異なると思うのである。
もう一つは、ストライクゾーンの違い、そして公式球の違いである。 国際ルールでは、メジャーなどと同じく、どうやらストライクゾーン は、日本のそれよりボール2個分くらい外に広いらしい。
イチローを除くメジャー進出した日本人野手が一番戸惑ったのは、 そのボールの質と、ストライクゾーンの違いだったような気がする。 イチローが平気だったのは、その2年前にメジャーのキャンプに参加 して、その後メジャー入りに向けて調整していたからだという話も ある。
そう考えると、甘い球を投げてくれそうなところはともかく、決勝戦 でキューバとあたった場合には、環境の違い、体調も考えると、打線の 方は相当苦労しそうな気もするのである。
そして最後、現場で指揮をとるのが結局中畑に決まったこと。 いや、中畑が悪いというのではない。 でも、かつてのフランスW杯の時の岡田監督と同様に、国際試合経験の ほとんどない監督で、はたして名采配は期待できるんだろうか。
サッカーの場合は、試合が始まってしまえば、選手たちの自主性に 任せる事も多いと思うが、野球の場合は、監督の采配によって試合が 左右される事が多いと思うのだ。
その時に今まで監督経験のほとんどなく、そして国際試合経験のない コーチングスタッフで首脳陣を固めてしまうのは、ちょっとまずくない のかな。 せめてアドバイザーか、ヘッドコーチにアマチュアで国際試合経験があり、キューバとの対戦経験が豊富な人にサポートを頼んだ方がよかったんじゃないかな、と思うんだけど。
そして、一番の問題は、長嶋ジャパンの美名のもとに、そういう問題に ついて何も指摘しない日本のメディアにもあるのかもしれない。 ま、そんな心配しなくても、キューバ、台湾以外は大したことないん だからメダルは固いと思っているのかもしれないけれど。
でも、前回惜しくも金メダルを逃したソフトボールの宇津木ジャパンは 多分もっと用意周到に準備をしていると思うんだけどなあ。 私の心配が杞憂に終わってくれることを祈るのみである。 せっかく行くなら選手たちにうれしい結果をとってほしいと思うしね。
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