2004年07月29日(木) |
<不良>のための文章術 |
昔、ライターという職業にあこがれた。
自分のお気に入りの雑誌に、自分の書いた記事が、たとえ無署名の 安い原稿料であったとしても、載ることにあこがれていた時代がある。 ま、こういう日記サイトに駄文を書いているのも、その延長なのかも しれない。
今回紹介する本、 「<不良>のための文章術」は、文章を書いてお金を もらう人のための実践的な指南書である。 著者は、「インタビュー術」の永江朗。プロのライターである。
題名に「不良のための」とあるのは、この本が美しい日本語を書くため の本ではなく、お金を稼ぐための特殊な文章は決して良品ではない、と いう著者の考えによる。
この本の面白いところは、実際にサンプルとなる文章を永江朗自身の 方法論で、お金を稼げる文章にするために「加工」する過程をみせて くれていることだ。
それは本の紹介文にはじまり、グルメ、街歩き取材、そして署名の入っ たコラム・エッセイにいたるまで、ライター業として関わる文章を網羅 している。
そして、金になるかならないかの分水嶺は、書き手が主体か、それとも 読者が主体なのかだと語る。 永江はこう書く。
プロの文章は読者のためにあります。読者ができないことを書き手が 代行し、読者に満足を与える文章です。ただし、これは読者に媚びへ つらい、おもねり、すり寄り、慰撫する文章を書けという意味ではあ りません。読者を苛立たせ、不快にし、立腹させる文章もプロの文章 です。
その事を実際の作業としてみせてくれるので、読むほうとしては思わず 納得させられるのである。
また、この本は実際にライターになってお金を稼ぐかどうかに関わらず 読み手にとって読みやすい文章とはどういうものか、ということをプロ の視点で教えてくれる。
曰く、 まずは結論が大事である。
言葉はやさしく、原則はひらがな(漢字が多いと読みにくいので、 ひらがなに直せるところは直す)
必要のない言葉は削る
文章はできるだけ短く、長い文章は解体する
体言止めの多用は避ける(これはたしか同じくライターの金子達仁も どこかで書いていた)
などなど、 今からでもすぐに実践できそうなテクニックが多いのだ。 事実、この本を読んで以来、引用したテクニックはなるべく意識して 使っている。
でもこうやって、日記という形でも文章を書いていると、読む人に 伝わる文章を書くのって大変だなあ、と痛感してしまう。 だから実際に文章でお金を稼げるようになるのってもっと大変なんだ ろうなあ、ということを考えさせてくれる、いい本だと思う。
と、いうことで今回の文章は、この本の中のテクニックをちょっとだけ 意識して書いてみた。
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