今日、治療した患者さんに聞いた話だと、昨日だか一昨日の突風は 黄砂ではなく、TV映像でバグダッドあたりを吹き荒れていた、あの 砂嵐なのだとか。本当なのかな。本当だったらビックリである。
さて、そんな話も聞けた3月28日は、まさに日記のネタになりそうな 出来事がわんさかあった日だった。 プロ野球開幕、サッカー日本代表戦、そして予告まで書いたドラマ、 IWGP放送日。
ただし、今回取り上げるネタはそのいずれでもない、映画「シカゴ」。 何のことはない、試写会を見事に引き当てた友達のご相伴に預かる事 ができたからである。 ちなみに見たのは銀座、ヤマハホール。
さて「シカゴ」 。ついこの間行われたアカデミー賞で、作品賞、助演 女優賞など、見事6部門を制覇した今話題?の映画。 一言でいうとすれば、お洒落で、むちゃくちゃカッコイイ映画だった。
映画を見る前は、ミュージカル映画ぁ?しかも役者がキャサリンゼタ ジョーンズはともかくとして、レニーゼルウィガーとリチャードギア? それって一体どうなのよ?と、期待と不安が入り混じっていたんだけ ど、オープニングナンバーが流れ出したら、そんな不安は吹き飛んで しまったのである。
なんか一本の映画、というよりは一本のちゃんとしたミュージカルを 見た気分だった。 とりあえず、台詞の途中でいきなり歌い出したらやだなあ、なんて思 ってたんだけどそんなことはなく、ミュージカルシーンに入っていく 時のカットインが、無茶苦茶カッコイイ。
イメージとしてはそれこそ劇場の観客席で、登場人物たちと並びの席 で、これから始まるショーを楽しみにしている感じ。
で、そのステージも本当に様々な趣向に富んだ振り付けで、見ていて 飽きないのである。 例えば(もしかするとネタばれ?もし気になる人は見ないで下さいな)、 犯行現場での、ロキシーの歌に台詞というか現実のシーンがうまく絡む ところとか、刑務所に収監された初めての夜とか、 初めての記者会見のシーンとか、そしてビリーのタップシーンとか。
一つ一つのミュージカルシーンが、巧みに私たち見る人をひき付ける ので、見ていて飽きさせない。
これは、今回初の監督作品でありながら、今まで数々のミュージカルの 演出を手がけてきた監督、ロブ・マーシャルの手腕によるところが大き いと思う。 なぜなら画面構成というか、舞台の作り方と明かり作りが、 とにかく上手いのである。
これは本来なら、平板なスクリーン上の映像を見ているだけだから、 あんまり広さというか奥行きは感じないはずなのに、映画という事で 逆にステージの大きさや、カメラのアングルの制約を受けずに自由に 撮影できていることが大きいのかもしれない。
しかも基本的にはその目線の高さを、観客席からの光景に合わせてい るような気がするのだ。 だからこそ映画を見ているはすなのに、まさに目の前で生身の人間が アクトしているかのような、臨場感が得られているのかもしれない。
で、もう一つの懸念事項だった、出演者たちのダンスと踊りに関して も全然問題なし。 もちろん個々の踊りは、かつてはダンサーの経験を持つ、キャサリン ゼタジョーンズにしたって、キレといい、姿勢といい、どんなに頑張 ったって、現役バリバリのトップダンサー達にはかなわない。 もしもこれが生の舞台だったら、ちょっと失望したかもしれない。
でも映画の画面を通して見ると、やっぱりその踊りには華があるのだ。 それは、レニーゼルウィガーも一緒。金髪のちょっと頭の足りない ファムファタール?を上手く演じている。
リチャードギアにいたっては、初老の気のいいおっさんにしか見えない し、歌う声も細いとは思うんだけど、やっぱり存在感がある。 歌っているときの顔の表情や、手の表情のつけ方が上手いと思う。
そしてそれは他の脇役の人たちも一緒。 なんかみんなで一つの舞台を作り上げていくような、一体感あふれる 感じが、見ていて気持ちいい。
肝心のストーリーも法廷サスペンスというか、先が読めないからドキ ドキしながら見られる展開なので、あっという間に見れてしまう。 かといってシリアスではなく、まるで一つのおとぎ話を見ているよう な、そんな気分にさせてくれる内容だった。
最後、幕が閉じた後、カーテンコールがほしかった位、一つのショー としての完成度が高いと思う。 これはアメリカ人は手放しで好きだろう。作品賞をとったのも頷ける。
昔「ショウほど素敵な商売はない」って曲があったけど、ブロードウェ イの底力を見たような、そんな映画だった。 DVD、安かったら買っちゃうかもしれない。 ついでに今度、舞台も日本でやるんだよね。ちょっと見てみたいかも。
あ、ちなみにリンクしている公式サイトを開くと、オープニングナンバーの ”All That Jazz”が流れますので、ご注意を。
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