パラダイムチェンジ

2003年03月14日(金) 「ダークブルー」

今日見た映画は豪華?2本立て。
見たのは「ダークブルー」と「チョコレート」。
見た場所は、池袋の名画座「文芸座」。

文芸座は、ロードショーでは見たかったけど見逃してしまった映画を、
安い値段で、しかも2本立てでやってたり、オールナイトで昨年話題に
のぼった映画を一挙上映していたりしたので、自分が学生の頃、よく
通った映画館だった。

そして、もう一つ文芸座の思い出として印象に残っているのは、
コーヒーの香り、である。
せまーいロビーの突き当たりに売店があって、そこでは自動販売機で
なく、ホットコーヒーを売っているんだけど、その香りが建物中に
染み付いているので、ロビーや客席にいるだけでそのアロマに包まれた
ものだった。

そんな名物だった文芸座は、一時閉館し、その後同じ土地に建った
パチンコ屋の3階に復活。
今回は復活して以来、初めて訪れてみたことになる。

以前の記憶が色濃いだけに、新しい文芸座はどんな感じかなあ、なんて
思ったんだけど、以前の雰囲気は残っていたんでホッとした。
コーヒーの販売も、そのまま残っていたし。
ただし、建物がまだ新しいためか、広くなったからか、まだコーヒーの
匂いがロビーに染み付いている、というような感じではなかったけれど。

でも座席はとてもすわり心地がいいし、スクリーンも思っていた以上に
大きいし、これで2本見れて1300円っていうのは、結構お得なんじゃ
ないだろうか。
また見たい映画があったら通ってしまいそうな気もする。


さて、本題の見た映画。
「ダークブルー」 は、宮崎駿のスタジオジブリが劇場公開に際して、
初めて配給をしたことで少し話題にもなった作品。
うん、確かに宮崎ワールドに通じる魅力のある作品だったと思う。

そしてもう一つの作品「チョコレート」は、ハルベリーがこの作品で
アカデミー主演女優賞をとったことでも話題にのぼった作品。

「チョコレート」に関しての詳しい感想は、次回に譲るとして、
この2本、あえて共通のキーワードでくくるとすれば、「喪失」だと
思う。

「ダークブルー」は、第二次世界大戦中、ナチスドイツに祖国を占領され
てしまったチェコスロバキア人が、義勇兵としてイギリスと共に戦う空軍
パイロットたちの話。

人はなぜ自分の生死を賭けてまで、武器を取り、戦うのか。
それは祖国を取り戻すため?大切な何か、例えば彼女を守るため?

最初は、飛行機に乗って戦いたいのに、訓練ばかりをさせられて腐って
しまう主人公たち。

そして念願の出撃。
でも戦闘機に乗り、戦場に赴くということは、歌い、笑いあった仲間や
自分の命を落とすということでもある。

そんな中、一人の熱く純情で、祖国を離れる時から一緒だった若いパイ
ロットが、一人の女性に恋をする。
でも、そんな命を預けあっている仲間が好きだという女性から、本当
に好きなのは、あなたなの、と告げられてしまったら。
そしてどんなに熱く純真に思いつめても、自分の好きな人と、尊敬する
仲間が恋に落ちていることを知ったとしたら、あなただったら、一体
どうするだろうか。

そして、戦争が終わり祖国にも平和が訪れたとして、自分が守りたかっ
たものが、必ず手に入るとは限らない。そして祖国を守るために、必死
になって戦った結果が、必ずしも報われるとは限らない。

戦争について考えるとき、ついつい大局について考えてしまうけど、
どんな戦場にも、兵士の一人一人に、当たり前だけど一つ一つ、私たち
と同じ命があるんだよなあ、なんてことを考えてしまった。

あの純情でいたいけな少年、カレルは今もフランタの後ろを飛んでいる
んだろうか。
彼らには、せめて空を飛んでいるときは、伸び伸びとした気持ちで飛んで
いてほしいなあ、なんて気にさせてくれる映画だった。

「コレリ大尉のマンドリン」と同じく、機会があったらまた見たいと
思う戦争映画かも。


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harry [MAIL] [HOMEPAGE]

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