2003年01月22日(水) |
ジャパニーズドリーム |
今回の引退報道の中で、直接耳にすることはなかったが、前にこんな 事を言っていたコメンテーターがいた。
「貴乃花が引退して、朝昇龍関が横綱になると、外国人横綱だけに なってしまうという事態になってしまうわけですが、」
おいおい。自分がすごい事言っているって思わないのかな、と びっくりした。 まあ、かつては横綱になれるチャンスもあった小錦を昇進させなかった、 と揶揄もされた大相撲の世界の話ではあるわけだが。
確かに多くの日本人にとって、相撲の頂点たる横綱に日本人が一人も いないというのは、さびしいことであるには違いない。 とりわけ、それが国技と呼ばれるものであるならば。
でも逆に考えれば日本の伝統的な文化である相撲が、世界に受け入れ られていくという事でもあるわけで。
外国人力士と呼ばれる力士たち。 彼らは、日本の中でもおそらくはとりわけ厳しいはずの日本のしきたりを 学んでいる人たちでもあるとおもう。
ちゃんと日本語を話し、日本の伝統的な文化の中で相撲にとりくんでいる 彼らが活躍して、一体何がいけないんだろう。 要は日本の伝統文化を、日本人が継承しているか外国出身の人が継承 しているかだけの問題だろう。
たとえばアンディフグを見て、外国人が空手をしてK-1でチャンピオンに なったことに文句を言う人はいなかったと思う。 むしろ、日本人より日本人らしいそのスピリットが多くの人を感動させて くれたわけで。
もちろん外国人で大相撲に入門する人全てが、日本の伝統文化に憧れて 入ってくるわけではないと思う。 でも逆に言えば、彼らがそんなに大変なことをしてまでも相撲に入門 したいと思うだけの理由があると思うのだ。
それは彼らにとって大相撲は今でもジャパニーズドリームなんだと思う。 すなわち、日本でプロとして食べていくことが立派に夢たりえるのだ。
たとえば、松井やイチローにとってメジャーが夢であったように。
そしてそれは何も外国人に限った話ではないとも思う。 大相撲は日本のプロスポーツでちゃんと飯が食えるという、数少ない ジャンルの一つなんだし。
フランスのシラク大統領に限らず全世界に日本の大相撲のファンは多い。 あれだけの巨漢たちが、狭い土俵の上でぶつかり合うというソフトは、 日本語の壁を越えて、全世界に通用するソフトだと思う。
メジャーリーグは、米国内にとどまらず、そのマーケットを全世界に 広げようとしている。 それは松井などの選手の発掘にとどまらず、TVの放映権料やグッズの販売 そしてその国からくる観光客まで当てにするしぶとさだ。
大相撲にしたって同様に、少なくとも全世界で勝負できる日本発の稀有な ソフトビジネスになる可能性は大いにあると思う。 もしかしたら、大相撲目当てに日本を訪れる観光客だって増えるかも しれないわけだし。
かといって、たとえばカラー柔道着のようにグローバルスタンダードに 必ずしも染まらなければいけないわけではない。 あくまで日本らしさ、日本文化を発信していく方法だってあるんじゃ ないかなあ。
そう考えれば大相撲、まだまだ捨てたもんじゃないとも思うんだが。
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