貴乃花が引退を表明した。 今日の未明には刷り上がっている各紙の朝刊には、もうすでに 貴乃花引退へ、という文字が躍っていたから、今日引退を表明する という流れはすでに見えていたのかもしれない。
様々な物議を醸し出しながらも、この10年間、常に角界の話題の中心 であり続けた男。 おそらくは、相撲道というものに身体を捧げた人であるのかもしれない。
思えば千代ノ富士を破り、彼に引退を決意させたときから、貴乃花の 身体には、相撲の神様が移り住んでいたのかもしれない。 そんなさえ感じさせるような大人びた物腰と、そして天にも届きそうな くらい、高くあげた四股の足が印象的な横綱だった。
マスコミというメディアは、人々がそのカリスマ性に惹かれると、こぞって 持ち上げる代わりに、少しでもその中に少しでもほころびが見えると こぞって、その人を地平まで落とそうとする。
彼が横綱というカリスマの仮面を取り去った後、例えばお兄ちゃん のように人としての仮面をかぶるのか、それとも相撲協会という 閉じた空間の中で、人の仮面もカリスマの仮面もかぶらずにすむ 世界で生き続けるのか。
いずれにせよ、これからは第二の人生の始まりである。 しばらくは、のんびりとした時間を過ごしてほしいなあ、と思う。
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