パラダイムチェンジ

2002年06月17日(月) 成長し続けるチームが勝ち上がることができる。

そんなわけで、決勝トーナメントが始まった。
それぞれの試合がやっぱり面白い。
ドイツ対パラグアイでは、1チャンスをドイツがモノにしたし、
イングランド対デンマークでは、なぜかデンマークはいいところが
なく、大した印象も残さないまま、敗れてしまった。
やはり、初の日本で、イングランドのホームぶりに調子が
狂ってしまったんだろうか。

セネガル対スウェーデンは、延長になってもお互いの運動量が
ほとんど変わらなかった事におどろいた。
そして、昨日までの試合で、やっぱり一番面白かったのは、
アイルランド対スペイン戦だった。

アイルランドは残念ながら敗れてしまったが、最後まで、
アイルランドらしい試合を繰り広げてくれた。
自分の感じるアイルランドらしさ。それは、一言でいってしまえば
あきらめの悪さ、である。

アイルランドは、中心的プレイヤーのロイ・キーンがW杯直前の
キャンプで、監督と衝突して帰ってしまう。
普通、それまでのキャプテンがそんな形で離脱してしまえば、
精神的にも落ち込むはずであるが、アイルランドは違った。

カメルーン戦でも、ドイツ戦でも先制されても、彼らは最後の
最後まであきらめるということをせずにボールにくらいついて
いった。
ドイツの点をほとんど与えないゴールキーパー、カーン相手に
点を取ったのは、試合終了のわずか前だった。

そして、それは昨日のスペイン戦でもそうだった。
彼らが同点に追いついたのは、試合終了前、ロスタイムに
さしかかる時間だった。

後半、PKという絶好の得点のチャンスを外しても、
試合終了の笛が近づいてきてもなお、あきらめずに詰めてくる
アイルランドに対し、だんだんとスペインが焦ってくるのが、
自分にもわかるくらい、彼らはあきらめが悪く、結果として
PKを勝ち取り、最後の最後に同点に追いついた。

サッカーは最後の最後まで何が起こるかわからない。
よく言われることだが、格上の相手に対して、あそこまで
あきらめないで喰らいついていく姿は、それだけで格好いい。

明日は、いよいよ日本の決勝トーナメント第1戦である。
TV上では様々なサッカー解説者が、日本は必ず勝つと太鼓判を
押しているが、個人的な勘で言えば、結構厳しいような気がする。

もしかするとベルギー戦同様、先制されそうな気もするのだ。
でも、どんなに不利な状況でも、日本代表は頑張ってくれそうな
気もする。
日本にも、アイルランド同様、決して綺麗なプレイは出来ないが
あきらめの悪い選手がいるからだ。
そう、中山やベルギー戦の鈴木のような選手が、もしかすると
流れをガラリと変えてくれるかもしれない。

前回の日記で、予選で敗退したものと、勝ち残ったものの差に
ついて考えたが、それはもしかすると、あきらめの悪さ、なのかも
しれない。

Nakata.netの中のひでメールの中で、中田自身が、ベルギー戦で
同点に追いつかれた時に、怒っていたシーンについて、点を
取られたことに対して怒っているのではなく、選手たちが
ガクっと頭を下げていることに対して怒っていたのだ、と
書いていた。

点をとられたことで全てが終わるわけじゃない。
むしろ、点をとられて集中する気持ちが切れてしまう事の方が
問題になる。

もちろん、どんな選手でも、勝つためにプレイをしているわけであるが
点をとられた後の、早い気持ちの切り替え。
あきらめずに、最後の最後まで自分たちがどうすれば勝てるのかを
イメージすること。
これが本当に出来る選手は、たとえテクニックがなかったとしても
つよいプレイヤーであるといえるかもしれない。

そして今の日本代表には、その強さが備わってきたような気もするのだ。
このチームは進化し続けている。
彼らがあきらめ悪く、最後の最後まで詰めていけば、
ベスト8入りは近づいてくるかもしれない。

「成長し続けるチームが勝ち上がることができる。」
これは、今日発売のアエラの中にあった言葉である。
果たして日本代表は、同じく成長しているトルコ相手に
成長し続けることができるのだろうか。


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harry [MAIL] [HOMEPAGE]

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