2002年06月05日(水) |
映画「うつつ」を観る |
もしも、あなたが結婚7年目を迎えるサラリーマンだったとして、 奥さんが同窓会に出席していて留守のとき、見知らぬ女性が あなたを訪ねてきたら、あなたはどうしますか?
奥さんの友人だと思って部屋にあげたその女性から、 今、この瞬間あなたの奥さんと私の夫は浮気をしていますと 告げられたとしたら?
そんなことはないと否定するあなたに対して、あなたが出張で 留守にしていたとき、この部屋で奥さんと私の夫は愛し合って いたんです、と告げられたとしたら?
そして、その女性から、私たちも同じことをして仕返しを してやりませんか?と誘われたとしたら?
その女性が和服のよく似合う、妖艶な宮沢りえで、奥さんは 大塚寧々だったとしたら? あなたはその話を信じ、そしてその女性の提案を受け入れますか?
外は大雨の降る夜に、あなたがその話を受け入れたとき 異界への入り口は、すぐそこにあるかもしれません。
毎月第一水曜日は映画サービスデー、という事で、映画を見に 行ってきました。
今回見に行ったのは日本映画の「うつつ」。主演佐藤浩市。 池袋東武の8Fにある映画館、シネリーブルでやっています。 ネットの映画サイトで見に行く映画を探しているときに、ちょっと 気になったもんで、見に行ってみました。
映画料金半額のときは、まあ、損したとしても半額だって感覚が あるので、そんな冒険を時々したりします。
で、実際に見た感想は、当たり、でした。 そんなに期待していなかった<失礼>せいもありましたが、実際 観てみると、結構面白い。
主要な女優陣が、宮沢りえ、大塚寧々、小島聖と、豪華で綺麗な 女性ばっかりなのも、気に入ったポイントですが、 個人的に一番気に入ったのは、脚本でした。
具体的な事はネタばれになるんで書きませんが、この映画は、とても 演劇的なつくりになっているような気がします。 映像の切り取り方も、例えばカメラが寄っていくときとかも、自分が 演劇を見ているときに近いというか。
これは余談ですが、演劇を見る人だったらわかるかもしれませんが、 舞台を見ていても、自然と自分の頭の中の映像では、自然と役者さんに 目線が寄ったり、時には引いて全体を眺めたりしませんか? ってオレだけかなあ?
冒頭の話にもどると、鴻上尚史の戯曲「トランス」に こんなくだりがあります。 噂話は、人を傷つける。 それは私自身の想像力が、噂話を完璧にするから、私が傷つくんだと。
そう、人から自分のしらなかったかもしれない事を聞かされたとき、 その話を真実にしてしまうのは、自分自身の想像力なのかもしれません。 本当の所はどうなのかはわからない。
でも、一度その噂を信じてしまうと、たとえ事実が違っていたとしても 自分の心の中では、そっちの方が真実に思えてしまう。 この映画は、そんな人の心の弱さを描いた作品であるといえるかも。
この映画を観終わって、外に出るとそこは雨でした。 遠雷の聞こえる中、もしも自分に赤い傘をさしてくれる女性があらわれたら。 自分も異界へと足を踏み入れていたのかもしれません。
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