掛川奮闘記

2008年12月23日(火) 081223_東京タワーの思い出

 今日は75歳になられた天皇陛下のお誕生日。少し前に体調をお崩しになられたようですが、無事に今日もお姿を見せていただき良かったです。
 日本経済も、一刻も早く陛下の憂いから回復して欲しいものです。

 そんなこの日の出来事が、東京タワーの開業50周年記念日。営業開始を今上天皇のお誕生日に合わせたのは偶然なのか、それとも意図的なのか分かりませんが、お目出度が重なったようです。

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 東京タワーには20年くらい前に一度しか上ったことがありませんが、上から見た時に周囲が低い建物ばかりだったのに驚いた記憶があります。こんなに都会のど真ん中なのに、高い建物がないんだなあ、という思いです。

 それでいて、東京は人たちの住まいがどんどん遠くなっていて、満員電車に長時間揺られて通勤する人たちが実に多いもの。都会の土地利用とは何だろうか、と考えたものです。

 友人にそのことを話すと、「そうなんだよ。特に都内にはリタイアしてもう動くことがない人が多くて、子育て真っ最中の通勤世代は都内には住めなくて郊外の遠くから通うことになる。これってものすごく時間とお金の無駄に思えるんですよ」とやはり憤慨していました。

「そうは言っても、今いる人にどいてください、とは言えないでしょう」と私。
「そこに日本人の家に対する棲家感が強くあるように思うんですよ。つまり、自分の家というものを所有したいという思いが非常に強くて持ち家志向が強いんです。マンションだって、昔は仮の住まいだったのが手放したり住み替えたりということをしなくなって終の棲家になってしまいがち。住まいはいつの時も柔軟に考えて、資産としても流動化が進めば売ったり買ったり住み替えたりがもっと自由になるのに」

「それがいいのかね」
「もちろん持ち家を持ちたいという日本人的欲望はそれはそれとして、問題は土地や地域に執着が強すぎて、新しい道路や周辺開発を行おうとすると、ここを移るのがいやだというので反対運動になりやすいんです。そこで問題なのは、確かに土地や家は個人の資産ですが、都会の土地というのは私的財産の側面が強いのか、それとも多くの人にとっての共有財産として有効に使うべき公的財産の面が強いのか、という問題です」

「今はやっぱり私的財産の側面が強いですよね」
「そう、そのために土地を譲り受けようとすると土地の移転には地権者さんと建物の所有者と借家人の三者の同意を一軒一軒取り付けなくてはならず、これにものすごくて手間と時間がかかるんです」

「それは仕方ないのではないですか」
「土地の私有制が日本では強すぎるような気がしますね。土地は公有で使う権利だけが渡され、それは公共的な利用がなされるときには全体の利益が優先というところが多いですからね。日本の都市はもっともっと有効な土地利用がなされて良いように思いますけれどね」

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 こんな会話をしたのがもう20年くらい前のこと。その後、バブルが弾けて、不況になりまた実にバブルが続いたあとに現在の世界大不況が押し寄せているというわけ。

 土地の好不況は十年単位で繰り返すなあ、というのが実感でもあります。

 そして都市は少しずつ成長を繰り返して今に至っています。今東京タワーの上から眺めたら、少しは周りに高い建物ができたのでしょうか。

 (東京タワーのある)芝のあたりはあまり変わらないかも知れないなあ。


■やっぱりかっこいい東京タワー


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こままさ