2008年12月07日(日) |
081207_足温器なんてどうでもいいんです |
先日、いつもの仲の良い体育系シンクタンカーのAさんと話をしていた時のこと。
彼は今、低炭素社会構築のための調査のプロジェクトマネージャーをしているのだそう。そこで学識経験者、役人、経済人などの専門家たちを集めて議論の場を設けていて、そこではものすごくハイレベルな議論が延々と続いていると言います。
Aさんとしては低炭素社会に関する調査業務は初めてで、勉強しながらその議論を聞いているのですが、あまりにハイレベルな単語や前提知識が飛び交うので、議論が終わった時にはもう疲れ果ててフラフラになり、しばしばリフレッシュのために畑違いの私を呼び出してはストレス解消をするというわけです。
ところが「最近はこうして関係のない話をしても、頭の中が低炭素で一杯になってしまって、ストレスが飛んでいかないんですよ…、なんででしょうかね」とこぼします。
そこで私が「それは、その話題がAさんにとって不得意な事柄で、脳が無意識のうちに『意識から遠ざけたら忘れてしまうのではないか』と不安がっているからですよ」と教えてあげました。
「Aさんが専門の体育の関係だったら、いつどんなことを訊かれたって頭の中の引き出しからいつでも答えを引き出せるでしょう。そういう安心感があるから脳は体育のことなんか意識の外に置いたって平気なんですよ」
「意識から取り除いてストレスを解消しようと思うのだったら、早く単語や考え方を自分のものにするしかありません。そして脳が『これならいつでも理解できる』と安心したときに始めて意識から取り除くことが出来るでしょうね」
するとAさんは膝を叩いて、「そうか!そうなんですね!ああ、今とっても納得しました。それでなんだか心の重荷が取れたような気がしましたよ」と目からウロコが落ちたように感激していました。
感激ついでに、「ブログにもそう言うためになる話を書いてくださいよ。足温器を買ったとか身内ネタなんかどうでもいいんですよ…」とはいかに。
折角アドバイスをしてあげたのに、ブログネタで文句を言われてしまいました。とほほ…。
※ ※ ※ ※
ストレスはしばしば自分を成長させてくれる壁として現れるものです。そしてストレスに対しては、立ち向かうか逃げるかのどちらかしかありません。
乗り越えた時には一回り大きくなった自分に達成感を感じることでしょう。人生は前向きに参りましょう。
−−−−−−−−【おまけ】−−−−−−−−−−
麻生総理、今週は長崎県諫早市で講演だそうですが、いやはやお忙しいことです。
ネットでは麻生さんが「(1億円あっても)さもしく1万2千円欲しいという人もいるかも知れない」というセリフで、【さもしく】という言葉狩りをしているようですが、全体を通してみると、日本という国をよく見ていて進む方向がしっかりしているという印象です。
なにしろ麻生さん、総裁戦に敗れて一時無役になった昨年の秋くらいから今年の7月までの間に日本中を見て回って、(これは不況だ)と実感したのだそう。そこで「当時、不景気なんて書いた新聞なかった」というセリフにもなって行くのですが、官僚が作ったお経を読んでいるのではなく、政治家としての現状認識と対応の考え方がつぶさに現れています。
やっぱりこの人、面白いんです。
【麻生首相の講演詳報】(1)「当時、不景気なんて書いた新聞なかった」(6日夜、長崎県諫早市) http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/081207/plc0812070039001-n1.htm
以下、全部で(1)から(5)に分けて講演の概要が掲載されています。ぜひご一読をお勧めします。
さて、そのうえで、(3)の「記者が定額給付金もらうのおかしい」をちょいと引用いてみるといたしましょう。
(以下講演詳細を引用)
【金融機能強化】 「従って、この年末にあたって、改めて決意を新たに景気対策を含めたものでやらなければならない。従って1次補正予算を組ませていただきました。これによって、今、中小、小規模企業の借り手側の、お金を借り手側の信用は間違いなく今、回り始めていると思います。営業日数でまだ30日にもなっていませんが、間違いなく信用保証枠は4万4000、5000件、総額約1兆円になるかと思いますが、9兆円の枠があるんですから、間違いなくこの点は十分に対応できると私たちは今の段階でそう思っております」
「貸し手側の方は、金融機能強化法というもので、どういうわけだか民主党の方は反対しておられますけれども、この金融機能強化法をきちんと通していただいたら、われわれは貸し手側の銀行、第二地銀とか信用金庫とか信組とか、いろいろありますけれども、そういったところが銀行として企業にお金を貸す。自己資本比率という言葉がありますが、こういったもんが十分に貸せるようになるような形、これをしないと、銀行も自分がつぶれるかもしれないという気になれば、信用保証として、政府から来た1000万円の金がくれば、自分が貸した800万円返して、行って取り上げられた企業は、差し引き200万円しか使えなくなる。それじゃ意味ないでしょうが。従ってこういった部分をきちんとやることによって、次に雇用が安定してくる」
「今、雇用というのは非常に大きな要素です。企業が倒産したら雇用はなくなります。だから、企業というものは大切なんだということを申し上げている。雇用、雇用というのは生活の基本ですから、雇用が安定して、イコール収入があるということを意味します。その意味では、雇用の安定のために中小企業対策、ましてや貸し手、借り手、双方の金融は必要なんだと思っております」
「そしてもちろん、自分の生活もあります。従って、今は近々ですから、おかげさまで石油は安くなったよ。今日、五島に行ったら150円したけれども、ここでは115円ぐらいかな。ここに自分で運転したことがない顔をしているような人がいるからわからんと思うんだけど、自分で確認してみなさい。123円になってるよ。そういうことになって、まだ、離島は40円高い。この問題、昔から谷川(弥一)先生やら久間先生が、いろいろ言われている話なんですんで、この問題は年末、いろいろ検討していかなきゃいかんとこだと思っております。そういう意味では、これは国防上も、離島っていうのはすごく大きいですから、そういう意味では、きちんと考えてもらわねばならん大事な問題の一つだと思っています」
【定額給付金は哲学、矜恃で判断】 「いずれにしても、こういったものが安くなったとはいえ、生活を考えたときには、われわれは今、ただいま、そうかねがね言った。私どもはということで、低額所得者用に給付金ということで、低額所得者用の支援というのを決めて、まあ、これ、えらく、あっちゃこっちゃで評判が悪いというようなこと、今日、五島の市長さんたちがあんなにいいものはありません。みんなが反対だと言うけれども、インターネットで調べてみると、「さあ受け取りますか」、「はい、喜んで」が88%。これは、新聞がいっぱい、そら何か言って、記者がもらうっておかしいだろと。私はそう思います」
「あの時は定額減税と聞いたら、それは減税をされるということは、しかし、税金を払っている人が安くなる。しかし、税金を払ってないぐらい貧しい人もあるんだから、そういったところを考えたら、これは全所帯に行くべきなんじゃないのと私が言ったら、金持ち優遇と来た。あのねえ、人の言葉じりつかまえて言うけど、じゃあ、こちらの貧しい人々にやるのはどうするかって言えば、全額、全所帯に渡します。全額、税金はわずか。しかし、私はそんな金をもらいたくないという人はもらわなきゃいい。また、1億円あっても、さもしく1万2000円欲しいっていう人もいるかもしれない」
「そりゃ、その人の哲学、矜恃、考え方の問題なんだから、それをいちいち、調べて細かくやっていったら、それだけの手間でも大変ですよ。だからご自由にされて、あとは自分でしてください。市から振り込んできたら、寄付するもよし、どこに寄付するもよし。自由にされたらいかがです。というのが私の出した案です。いずれにしても、こういったものが、3月から4月くらい年度末にもでてくると思いますけれども、ぜひ、そういったのを毎年やっているのではありませんからね。これ間違えないでください。毎年やったら、そんなことは一回も言っていない。今が緊急だから、と言ってんだから。そういったことをぜひ今やらしていただきたいと思って、これが個別の話でもあります」
「高速道路、全部ただにするなんて勇ましい話してた方がいらっしゃった、まだいらっしゃいますが、正直申し上げて、年間2兆円くらい入ってくるお金を全部ほうりだした場合、あのメンテナンスする金、ああいったものはいったい、どなたがどうされるんですか。というのは、そりゃ税金でやるの、っていうことになるんですから、われわれはそりゃ、ちょっとおかしいんではないですか、と。現実問題として、少なくとも今、休日だけはいくら乗っても1000円です。これくらいが、われわれが申し上げる限度です」
「申し上げておりましたら、今年11月3日、淡路島の人がきいたら普段より3割くらいっぱい人が来た。言ったせりふがみな同じ、え、まだ1000円じゃないのか、て。あのね、まだ早いって、法律がとおっていないんだから、ね。そういうような話っていうのは、われわれはすくなくとも、今いろいろな対策をやらねばならぬ、というものの一つです」
(続く)(引用終わり)
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笑わせるツボもあったりして面白い。ライブで聞きたかったですね。
ここでも総理は確かに「さもしい」という単語を使っていますが、その人の「哲学、矜恃、考え方の問題」ということを前提にすれば、一億円ももらっていてなお給付の1万2千円を受け取るのは常識的にはそういう感情も持とうというものです。
批判をする記者の皆さんたちはなにを批判しているのでしょうかね?そして「役に立たない」という批判をしておいてなお給付金を本当に受け取るんでしょうかね。だんだん分からなくなってきました。
どうせなら受け取りを辞退した人には後々証拠になるような辞退証明書を役場から発行して欲しいものです。
国の財政を心配してその心配を自ら実践した人の証です。収入の高にかかわらずそういう奇特な行動を顕彰することで、ついつい遊惰に流れる人心が目覚めるかも知れません。
特に社会のリーダーたる人たちは率先して推譲の心で辞退をするべきでしょうが、アンケートでは受け取る人が88%とか。
さて蓋を開けた時に日本人の矜持が試されますね。
期待と落胆の気持ちが半々です。
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