掛川奮闘記

2008年11月18日(火) 081118_処世の術は謹倹譲

 報徳について話をしてくれませんか、という依頼があって、二宮尊徳先生の本を慌てて読み返しました。今日は「二宮翁夜話(上)」をパラパラとめくります。

 「処世の術は勤倹譲」という一節がありました。前文をご紹介しましょう。

 【処世の術は勤倹譲】
 翁の言葉に、世間一般に貧富・苦楽といって騒いでいるが、世の中は大海のようなものだから、波があるのは仕方がない。ただ、水を泳ぐ術が上手か下手かの相違だ。

 船を使って便利な水も、おぼれ死ぬ水も、水に変わりはない。時によって風に順風があり逆風があり、海の荒い時があり穏やかな時があるだけのことだ。

 だから水死を免れるには、泳ぎの術一つであるように、世の海を穏やかに渡る術は、謹と倹と譲との三つにつきる。

    ※    ※    ※    ※

 資本主義には経済の急速な拡大というバブル現象はつきものですが、経済という海を役に立つものとして泳ぐか、おぼれてしまうか、の違いだけで経済が悪いわけではない、と言い換えることも出来そうです。

 さて、そんな世の中の海を渡るには「謹倹譲」の三つに尽きる、と尊徳先生は断言します。

 謹(きん)=よく働くこと、
 倹(けん)=つましく倹約して生きること、
 譲(じょう)=人に、次に、世の中に譲ること

 この三つの考えを心に持ち続けることが良い世の中を作るもっとも大事なことなのです。

 バブル経済は不可避とはいえ、大きな被害を被ってしまった人たちにはこの間、倹と譲に難があったのではないでしょうか。

 別の段で尊徳先生は「謹倹譲はかなえの足」とも言っています。『かなえ』とは三本足の器のことで、一つでも欠けてはならないということ。

 今だからこそ心に響きますね。


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