| 2005年08月17日(水) |
050817_夏のすみか、冬のすみか |
夏休みの充電を終えて職場へ復帰。夏休みで静かな職場にあって話題は駒大苫小牧の快進撃。 運も味方につけて、夏の連覇を果たして欲しいものです。
さて今日は ■夏の住まい、冬の住まい の1本です。
【夏の住まい、冬の住まい】 北海道新聞に、国土交通省の来年度調査要求として、北海道への長期滞在を誘導するための方策を検討するという記事が出ていた。
2007年に団塊世代がリタイアする大余暇時代が到来するといわれているが、特に都会に住むこの世代をターゲットとして、地方がレクリエーションや新たな生き甲斐を提供し、結果として地方経済に良い効果をもたらそうという取り組みのように見える。
基本的な問題意識は過疎問題に端を発している。過疎に悩む地方部では【定住人口】の減少によって、商店や病院などが成り立たなくなりつつあるところが多く、この定住人口の減少を【交流人口】の増大で補おうという発想である。
この手の取り組みはだいぶ昔から行われていて、例えば私もかつて携わった北海道オートリゾートネットワーク構想もその一つで、オートキャンプ場という宿泊施設を交流拠点として、地域で買い物などをしてもらうということをねらいの一つとしている。
しかし実際にはキャンパーは自分の住んでいる地域で安い食材を購入して持ち込み、現地にはゴミが置かれて行くばかりという悲しい現実もある。
私も今回天塩中川町でキャンプをして、キャンパーの多くが一泊で次の場所に移って行くのを見て、改めて『安い宿泊施設』でしかないキャンプ場の実態を見せつけられた思いだ。
根本的な間違いは、来訪客を単なる経済単位としか見ていないことだと思う。多くの制度は利用者をホモ・エコノミクス(経済のヒト)としか見ていない。
ホモ・エコノミクスは、同じ条件ならば安いものを買い、より安くてより便利、よりメリットのあるものを追求するという経済学上の仮想の存在だ。
しかし実際の我々にはホモ・エコノミクスの一面は有しているものの、より大きなところでホモ・サピエンス(考えるヒト)なのではないか。
「考えるヒト」は快楽を求めるが、悩み、笑い、感動し、共感し、時には銭にならないことに情熱を傾ける性向を有してるのだ。多くのお役所の仕事は、このヒトとヒトとのつながりの部分に対して平等の名の下に冷淡であるか、考えるべきではないと決めつけているかのようである。
しかし多くの成功している商店や商売を見てみると、顧客を単なるホモ・エコノミクスではなく、大事な縁として感謝の心で接していることはもはや常識である。
顧客満足(CS = Consumers Satisfaction)を求める姿勢は「行政の言い訳としての平等」からは出てこない行動だ。お役所も平等という基本理念は理解しつつ、目の前の住民の満足を優先する姿勢が必要な所以である。
だからこの手の「交流」をキーワードとする政策には、現場でのつながりを大事に出来る人材の登用というあまり書かれることのない、そして実現が保証されない要素があることを知っておかなくてはならないのではなかろうか。
* * * *
さて、しかし今日はここからが本題である。それは今回の調査が求める内容はいま上記で述べたような、単純な交流をねらったものとは全く違ったものだからである。
今回調査の発想は、北海道では顕著なのだが、集落の中で一軒一軒の距離が離れている散居集落にあって、昨今の地方財政の緊縮と相まって独居老人が増加することで特に除雪などの社会維持費用の効率化を図る必要に迫られているという問題意識から出発しているのだ。
その可能性を調べてみたいと思っているのは、独居老人などに対して冬期の間まちなかの集合住宅に移住をして共同生活をして、除雪などの苦労から解放される一方で親しい知人たちと助け合いながら暮らすということができないか、という問題だ。
そのためには長期宿泊も出来るための施設が必要になるのだが、プライバシーが保たれる個室と集会施設や風呂なども有するようなものになるというイメージだ。
もしこういう施設が出来て住民からの支持が得られれば、冬の苦労の大きな部分を解放されることになるし、暖かくなればまた自分自身の家での生活を送ればよいのである。
そうすると夏の間に宿泊可能な施設が余るので、ここに都会からの滞在者を招くことが出来れば交流経済効果も期待出来るのではないか、というのが冒頭の記事になったタイトルというわけ。
実はポイントは、集落における「夏のすみか、冬のすみか」という二地域居住が可能なのかどうかという点にあるのであって、都会と田舎という大きな交流を求める二地域居住が主眼ではないのである。
もちろん問題や課題も多く、冬期の間家を明け放しても安全面や物理的に大丈夫なのかということや、行政が集落再編を強制することに繋がらないかという懸念もあるだろう。
お年寄りの中には頑固一徹で、死んでも自分の家から離れたくないという思いを持っている方も多く、そういう思いは大事にすべきだろうけれど、あまり家に固執せずに苦労から解放されたいという社会ニーズがどれくらいあるのかもポイントになるだろう。
道産子が雪かきをしない時代が来るんですかねえ。うーん。
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