掛川奮闘記

2004年04月03日(土) 040403_土井酒造の見学

【土井酒造】
 朝一番で、知人のTさんに連れられて大東町にある土井酒造という酒蔵をお訪ねする。

 土井酒造は「開運」という縁起の良い名前のお酒を造っているのだが、このお酒は週刊誌などによる地酒人気ランキングでも常に上位にランクされるお酒で有名なのである。

 以前長野県松本に住んでいたときに、大町の有名な酒蔵を訪ねて感心したことがあったが、気温が高いと思われる静岡県で美味しいお酒が出来るというのは意外である。そんなわけでお酒造りを勉強してみよう。

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 土井酒造さんは、入り口の門のそばに大きな桜の木があり、黒い板塀に漆喰の白壁と瓦屋根という、純和風の門構えである。てっきり昔ながらの酒造りをしているかと思ったのだが、その実態は科学の粋を極めた装置のオンパレードであった。

 聞けば社長の土井さんは大の機械好きなのだそうで、いろいろとメーカーと機械開発をするのもしょっちゅうなのだとか。

 門の外にある大きな蔵の屋根には太陽光発電機が備えられていて、これで60kwhの能力があるのだそう。半分は国の機関の補助金をもらった、と言っていたが、補助金だけで約三千万円とはすごい。

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 こちらがお酒造りに使うお米は兵庫県の山田錦というお米だそうで、コシヒカリのような粘りけはほとんどなくて、同時に胚乳の真ん中がでんぷんの組成の特徴として空隙があって白く濁っている。この空隙に酵母が作用して美味しい酒になるのだそうだ。うーん、難しそう。

 ここで日本酒が世界に冠たる素晴らしい点を一つご紹介しておきましょう。お酒というものは糖を酵母が分解して二酸化炭素とアルコールに変わるという反応を利用しているのだが、糖からアルコール化する発酵は単式発酵と言われるらしいのだが、これは技術的にはかなり優しい部類なのだそう。

 たとえばワインは、ブドウから作られるがブドウの果汁には既に糖が入っているのでこれを発酵させればよいだけ。またビールは麦芽を麦芽糖に変えてから、これを発酵させれば良いというもので、これも比較的簡単。

 日本酒が凄いのは原料がお米というデンプンだということで、デンプンを糖に変えるためにはまず麹(こうじ)を使ってお米を甘くするのだ。この甘さで飲ませるのがもともとの甘酒。

 そうしてデンプンを麹で糖に変えつつ、同時に酵母菌の働きでこの糖を発酵させてお酒に変えているのである。普通は糖が2%でアルコールが1%に変わると言われているようなので、醸造酒で20%(度)もの度数が出ると言うことは糖が40%なくてはならないということである。

 ところが最初から40%の糖の中に酵母菌を入れても、これでは糖が濃すぎて、糖圧迫という現象で発酵がされないのだそうだ。だから、温度管理によって少しずつデンプンを糖化して、これによって出来た糖を同時に酵母がアルコール発酵するという調整をしているのである。

 どうです伝統のこの技術。日本が世界に誇っても良いというのはこういうことなのでありますぞ。

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 ここではお米をとぐところからかなりの工程が全自動で行われていて、経験を機械がサポートしているのである。

 「木の樽は使わないのですか?小布施ではセーラ・カミングさんという若い女性が木の樽での伝統的な酒造りを復興してブランド化しているように聞きましたが…」
 「小布施の桝一さんですよね。昔は樽を作る材料は木しかなかったからそうしたけれど、今ではステンレスの良い樽が出来ているからその方が品質が安定しますね。木の樽ではいちいち洗浄をするのが大変で、醤油や塩などの醸造ならば腐ることもないのですが、お酒だと雑菌が木の隙間に入り込んで悪さをするので管理が大変なんですよ」とのこと。へー。

 「おいしいお酒を造るのには何が必要ですか?」
 「まずは美味しい酒を造ろうという志でしょ、それから良い材料、良い設備…、それらが調和して始めて美味しい酒が出来るというものです。幸いうちは早くから東京の市場開拓をして多くのかたに味わって頂いているので、名が知られているのかな、とは思いますけどね」とのこと。

 美味しいお酒に必要なものの最初に「志」が出るとは思いませんでした。お見それしました。

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 さんざん見学させてもらった後に「開運」の大吟醸をおみやげにいただいた。杜氏さんの名前は「波瀬正吉」さんだそうである。うーん、楽しみだ。


【大須賀町三熊野神社祭交歓会】
 土井酒造の見学を終えて次は大須賀町の三熊野神社のお祭りに合わせた交歓会に出席。知った顔もそれなりにあって、楽しく過ごせました。

 明日蕎麦を打つ方が今日から来ていて、「明日ですよね」と訊くと、「今日から練習しておこうと思って」とのこと。

 明日も来られて、蕎麦が打てると良いのですがね。


【市制施行50周年記念屋台祭】
 大須賀からお昼にとんぼ返りで掛川の街中へ。

 今日一日は掛川市内の三十余台の屋台が街なかを練り歩くイベントが催されるのである。これは市施工50周年記念事業としてまちづくり株式会社が行うものだが、普段は町の中へは出てこずに、地域だけで練り歩く人たちも多く、一生に一度のことかもしれないと、ぐいぐいと揺らしながらねりを繰り返していた。

 町に久々に活気があふれて、訪れる市民も楽しそうである。こういうイベントが毎日あって楽しい空間になればよいのに、と思うがなあ。

 今日は天気が良くて最高だった。屋台イベントは大成功、である。
 


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こままさ