掛川奮闘記

2004年02月05日(木) 040205_観光カリスマの真髄

【新市建設計画策定小委員会第12回会合】
 新市建設計画策定小委員会のほぼ最終回が開催された。

 今回は今までの議論経過を最終に取りまとめたものと、特にそれらを実施
して今後十年間の財政が破綻しないかどうかを確認する意味合いの会合であ
る。

 事務局から資料と前回までまとめたものとの変更点などの説明を受けてか
ら議論開始。冒頭から委員の間からは、「財政計画における人件費の削減目標が甘いのではないか」という厳しい指摘が相次いだ。

 とりあえず事務局としては、合併後に一市二町の職員がそのまま新市に移
行する初年度から十年間に90人の人員を削減するという前提で財政チェッ
クを行ったのだが、委員からは「90人では甘いのではないか」という指摘
である。

 事務局からは、「支所をおいていて人口規模が我々の新市と同程度の市の
職員数を調べると、65人くらいの削減規模が平均的だが、それを踏み込ん
で90人と言う数字を仮においての算出とした」という説明があった。

 しかし他の委員からも「現在120名の職員がいる大須賀町役場を支所に
したときには職員数が80人になると言う噂を聞いたが、本当か。本当だと
すれば随分と人間が多いのではないか、という印象を持つがもっと減らせる
のではないか」という指摘があって、事務局はたじたじである。

 委員長からは「ここでこの計画書に数値目標を置くというのは本来ではな
いと思うので、文言表現の中に『なおいっそうの人件費の削減に努力をして
いただきたい』という一文を加えたり、さらには別途小委員会として意見書
を提出することでどうか、という提案があった。

 私からは「数字はいくらでも仮に置いた上でシミュレーションができるが
、ここでの新市建設計画は将来の人件費削減を決意したり拘束力を持つよう
な性質のものではないので、仮置きの数字にはあまり意味がないので、本委
員会の委員長の言うような、別途の決議文が良いのではないか」という趣旨
の発言をした。

 委員からは、さらに「起債制限比率がまだ安全目に見られているきらいが
あるが、もう少し借金をしてでも整備を促進したほうが良いのではないか」
という質問もあり、「その手の数字は結果としてあらわされるものなので、
はじめから目標を立てて事業を実施すべきではない。また財政を取り巻く環
境は年々厳しさを増している」という説明もあった。

 結局のところ、今日の委員会では事務局原案に対しておおむね了としつつ
、人件費の削減について小委員会としての要望や意見を本文や別途提出の形
で協議会に報告をすることで合意がなされた。具体の文言は委員長と事務局
にほぼお任せをするということになった。

 それにしても、人件費を削減しないと言うことに対する委員からの意見は
辛らつそのものである。役人の身分保障については新市に移行する、という
ことで保障されているのだが、そのことを当たり前に思っているようでは批
判的な市民からの共感は得ないと言うことだろう。

 以前にも増して効率的な仕事の推進と、職員定数管理の運用や職員数の適
正化に向けた積極的な取り組みが求められるだろう。新市の市長は最初から
大鉈を振るわなければいけないようだ。合併のすべてがばら色と言うわけで
はない。今後大幅な民間活用方策なども打ち出してゆかなくてはならないだ
ろう。昨日と同じ今日ではいけないわけだ。


【観光カリスマ近江長浜の笹原氏】
 午後は観光協会の実施事業として、観光カリスマとして有名な近江長浜の
黒壁スクウェアを成功に導いた立役者である笹原さんをお迎えしての講演会
に参加した。

 近江長浜市もその昔は中心商店街の元気が良かったのだが、ご多分に漏れ
ず郊外のショッピングセンターに客足を奪われて徐々に衰退を一途をたどっ
ていたのだと言う。

 「これをなんとかしなくてはならん」と考えるのはどこも同じだが、そこ
からの解決へのアイディアと実行力が一味違ったのが近江長浜である。

 長老から「ガラスでもやってみちゃどうかね」という提案を受けて最初は
馬鹿にしていたのが、「それでは先進地でも視察してみようか」と小樽北一
ガラスを訪ねたらしいのだが、視察旅行のついでゴルフも入れたりして、ち
ょっと適当な視察旅行であったようだ。

 で、北一ガラスの社長から「そんな適当な態度で視察に来るとは何事か!
」とすごい剣幕で叱られ、それが逆に「そこまで言われることもないだろう
。なんやただのガラスの土産屋じゃないか。ようし、それならもっと本格的
なものをやってやろうやないか!」と奮起する材料になったのだ、と言うか
ら面白い。

 黒壁がすごいのは、そのときからガラスをテーマとした商店街の話題づく
りを進めるのだが、「ガラスの土産物屋ではなく、ガラス文化を紹介する
町とする」という姿勢が明確であったところである。

 自ら古い建物を入手してこれも、古い元通りに復元をするのではなく、常
に古い部分を生かしつつ新しいものへとよみがえらせる方向での景観と雰囲
気作りを行ってきたのだ。単純に古い世界へ帰るだけが能ではない、という
のは厳しい指摘である。

 さらにはガラス文化を象徴するようなすばらしいガラス製品については、
第三セクターで雇用する美術短大での女性を前面に出して、ヨーロッパまで
買い付けに行ったり、優れたガラス美術館をはしごして目を肥やしてもらっ
たり、そうやって入手した作品を展示するのもすべて若い美術短大の女性た
ちにやらせたのだそうだ。

 笹原さん自らが手伝ったディスプレイはあっという間に変えられてしまい
、「私たちがやりますから、余計な手は出さないでください」と釘を刺され
るほどだったという。彼女らは自らが買い付けた製品を熱心に説明するし、
買ってもらうのが嬉しいのでさらにがんばると言うモチベーションも良い方
向に働いたと言う。

 なんとも聞けば聞くほどうらやましい成果である。その過程でこれらの町
並みにあった商店が年々改装をして雰囲気に合った建物作りが進み、現在は
180店舗のうち90店舗が改装をして独特の町並み景観を有するスクウェ
アになったのだという。

 最初に始めた15年前の訪問者が20万人くらいで、それでもすごいと思
っていたのが現在はリピーターが4割を超えて年間訪問者は200万人を超
える場所になったという。

 笹原さんは苦労談として、「こうやって人が集まると、そういう通過客を
狙った単純な土産屋が必ず出てくるんですわ。私は銭をとらないテキヤみた
いなもんで、しだいにそういう情報が必ず私のところに集まるようになりま
した。そうしてそういう土産屋は一切お断りという姿勢を断固として崩しま
せんでした。だから自分の店に誇りと自信を持った店ばかりが残っています
よ」とのこと。

 ガラスという最初のモチーフが上手に生きた好例だが、決して平坦で将来
が約束された道のりではなかったはずである。振り返れば笑い話みたいなこ
ともそのときは真剣に命を懸けた決断をしたはずだ。

 最後には観光カリスマになるくらいの人の存在が大きいようにも思うが、
どこか妥協を許さずに夢を追い求める断固たる姿勢がなければいけないのだ。

 集団による決断と言うのはある意味では全員の合意による責任分担制だが
悪く言えば誰も責任を取らない、曖昧性を持ち、指導力が発揮できない形で
もある。成功すれば観光カリスマで、失敗すれば独断専行のお山の大将とい
うことなのだろうか。

 周りの人たちの共感が得られるような独断は良いが、すぐに成果を待てず
に批判をするのも周りの人である。

 さすがに日本有数の復活した商店街成功事例だけのことはあるのである。
 

【お急ぎのところまことに…】
 黒壁講演会の最後を抜け出して新幹線で東京、羽田へ向かう。明日の講演
会のために今日からも札幌入りをするつもりなのだ。

 羽田から新千歳空港行きの飛行機はあらかじめ条件付きで、「新千歳空港
の視界不良のため、安全な着陸が不可能と判断されましたときは羽田空港へ

戻ることがあることをあらかじめご了承ください…」とのこと。

 ひー、これだから冬の北海道は心配なのだ。とりあえず、離陸は順調で、
飛行中も特に揺れることもなく新千歳に向かう。機長からは「新千歳空港の
天候は雪。到着時刻は20時55分の予定でございます…」とのアナウンス
があった。

 着陸時刻のアナウンスがあるということは、とりあえず視界不良は回避さ
れたのかな、とちょっと安心…していると、再び機長からのアナウンスで、
「え〜、ただいま管制からの連絡で、我々の三機前の飛行機が着陸時にオー
バーランをいたしまして、ただいま現地では飛行機を移動させるための措置
を行っているとの報告がございました。管制からの新たな指示がありますま
で、鵡川上空で待機するようにとの事ですので、大変お急ぎのところ申し訳
ございませんが、いましばらくお待ちいただきますようお願い申し上げます
」という放送が流れた。

 な、なんと!オーバーラン…。燃料はとりあえず一時間以上上空で待機し
ても大丈夫ですのでご安心を、という機長からのアナウンスがあったものの
、果たして降りられるのかどうか不安。

 そうこうするうちに、「ただいま、東滑走路上でのトラブルがございまし
たので、現在日本ある滑走路のもう一本の西側滑走路を除雪中との連絡が入
りました。大変お急ぎのところ申し訳ありませんが…」

 ひー、空港の除雪部隊の皆さん、がんばってください〜!と祈りが天に通
じたか、なんとか着陸の許可が下りて、飛行機は空港に侵入した。

 もう少しで着陸というときに、飛行機の窓の向こう側に吹雪のなかで黄色
いライトを点滅させた除雪車が十数台整列をしているのが見えた。なんとも
頼もしいことである。

    ※    ※    ※    ※

 空港から札幌駅まではJRで移動。あと3分で札幌駅と言うところで電車は
スピードを緩めて停止した。「お急ぎのところ、まことにご迷惑をおかけい
たしますが、ただいま札幌駅構内でポイントが動かなくなり…」ひー(-_-;)


 電車は結局4分遅れで到着をいたしました。今日はスムースに移動できな
い日の巡りだったようだ。


 それにしても、空港もポイントも、こうして我々の普段の生活は人知れず
維持されているのだ。これも御仏の指に通じるのかなあ、と思った。自分た
ちの仕事を一生懸命にすることはどこか人の知らないところで生活を安定さ
せているのだ。

 目立つ仕事ばかりをうらやむことはないのですなあ。 



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こままさ