掛川奮闘記

2003年12月10日(水) 031210_軍事のセンス

【市議会一般質問】
 市議会の一般質問が今日から二日間の日程で始まった。

 しかしながら、今日の午後は市長が委嘱されている国土交通省による国土審議会が午後に開催されると言うことで、一般質問は午前の二人だけで、残りの七人は明日に持ち越して流会となった。

 市長曰く、「三千あまりある市町村の代表として選ばれているのだから、それなりの責任もある」ということで、地方小都市の首長として地方都市の問題意識を発表してくれることだろう。

 明日は一日で七人の質疑応答をこなさなくてはならない。これはこれで大変である。


【小川和久さん講演会】
 午後に地元の経済懇話会で講演会が開催され出席する。
 
 今日の講師は軍事評論家の小川和久さん。こんなときにこんなところにいて良いのかな、と思うがなんとか来て頂けたらしい。

 自衛隊のイラク派遣や北朝鮮の問題が聞き所である。

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 小川さんは1945年熊本県生まれで、陸上自衛隊に入隊し、その後同志社大学へ進むもこれを中退して地方新聞の記者を経て、日本初の軍事アナリストとして独立されたのだ。

 自衛隊の経験と人脈が今の立場を支えていると言っても過言ではない。

 私もかつて公務員研修で小川さんの講演を聴いたことがありましたぞ。なつかしいね。十五年ぶりくらいかな。

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 小川さんは現在政府で自衛隊のイラク派遣に関する基本計画の策定に関わっていて、大きな絵姿を描いて小泉総理の相談にも乗っているのだそうである。

 小川さんの描く自衛隊派遣の意味というものは、イラク復興の全体を100とすれば自衛隊派遣はそのうちの10くらいに過ぎないのだという。しかしこれは必ず行われなければならない最初の重要な10だという。

 以下小川さんの言葉から印象的な発言を拾ってみる。

 「自衛隊が行くというのは、骨折をした後に添え木をするような段階であって、いずれは必要なくなるが今はどうしても必要な段階ということだ」

 「イラクは現在無政府で治安が不安定な状態なので、このイラクを安定させるプロセスを経ない限り、テロ根絶に向けてのプロセスは実行できないと思うべきである」

 「自衛隊が行くか行かないか、ということだけがシンボリックに語られているが、行く自衛隊の実像を知らずしてどうして問題が認識できるのか。自衛隊は普通科、航空科、施設科、通信科、衛星科…など全部で13の部隊に別れている。そのなかで今回行くのは施設科であり、これはグランドを作ったり学校を作ったりと言うことに特化した部隊である。占領政策を行うのとは全く違うのである。それを知らずしてどうして自衛隊が行くことだけを問題視するのか」

 「テロリストがイラクを活動の拠点にすることを防ぐために自衛隊が行くのだ。『暴力の連鎖は断ち切らなければ駄目』とは口先だけで言われるが、その連鎖を断ち切る営みは誰がやるのか。誰かがやらなくてはならないのだ」

 「イラクではチグリス川とユーフラテス川の源流域にかつて湿地帯があったのだが、サダム・フセインが反政府勢力を一掃するために上流にダムを造ってこの地を干上がらせてしまった。この地を元に戻すための土木、農地改良事業を日本の手で行い、合わせて現地の雇用を生み出すということができれば、安定化を図れる、と言うのが現段階での大きな絵姿である」

 「さらにはウンムカスルという港のおける沈没船の回収で、港湾機能の復元など、イラク側がやって欲しいことは幾らでもあるのだ」

 「日本の政府、特に外務省は軍事や外交戦略に極めて弱いと言うことが改めて分かった。島国根性だから仕方がないかと思うが、世界第二位の経済大国に相応しいとは言えない」

 「今回の奥参事官(殉職後二階級特進で大使)と井上三等書記官(同、一等書記官に昇進)の二人があんな軽装でイラク国内を移動したという軽率さが残念だし、警備をつけなかったことも悔やまれる。さらに言えばそれを許した上司の責任と言うこともある」

 「イラク侵攻に反対したカナダ政府でさえ、イラクには軍用機を送り込んでその役割を果たしている。日本が世界における立場を理解しないことには本当に笑いものになるし、立場を失うことになるだろう」

 「政府内でも、とにかくイラクに自衛隊を送り込みたいのは外務省だが、隊員を守れない状況で送り込みたくない防衛庁は渋っているのが本音だ。なによりも行って国民から尊敬を受けないのであれば行きたくはない。それはひとえに総理がどれだけこのことに思いをかけているか、という発言にかかっている。昨日の記者会見ではそのことを十分に考えた発言をしてくれたので、誇りを持って隊員も行くことだろう」

 やはりもっとしっかりとした軍事知識や外交知識を知らなくて、雰囲気だけの判断をしては行けないと言うことだろう。マスコミが決して言わない、あるいは能力がなくて報道できない裏にこそ真実があるようだ。

 我々にも勉強が必要なのである。

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 次は北朝鮮の問題。小川さん曰く、「世界における国力の違いを考えれば、彼我の差は歴然としている。それなのにどうして、科の国の言動や行動に我が国は一喜一憂するのか」

 「木を見て森を見ず、ということわざがあるがまさにその通りで、北朝鮮は世界という森のはずれにある枯れかけた木である。どうしてそれを我々が気にしなくてはならないのか」

 「北朝鮮が日本を200発のノドンミサイルでねらっているなどという断片的な情報ばかりであたふたしているが、現実にはアメリカ軍の第六艦隊だけでも北朝鮮に227発のトマホークを打つことが出来る体制になっている」

 「さらに言えば、他の艦隊からも支援が呼べるので、北朝鮮をねらっているミサイルの数は千発以上なのだ。そう言った情報をどうしてマスコミは伝えないのかと思う」

 「アメリカが日本を見放すのではないか、という恐れがある、ということをよく聞くが冗談ではない。アメリカにとって日本は同盟国の中でも一等図抜けた存在で、逆にアメリカこそが日本が安保同盟を破棄しないかと冷や冷やしているのだ」

 「それはハワイからアフリカの喜望峰までのエリアをまかなっているアメリカ艦隊の重要な拠点が日本であり、アメリカの持つ高性能な武器兵器をメンテナンスして補給できるだけの技術レベルの高い国は日本以外には存在しないのだ」

 「だから日本がアメリカの同盟を破棄すると、アメリカは大国の中でも数ある大国の一つに成り下がってしまうと、恐れているのである。そう言う我が国の立場を理解して国際情勢を語らなくてはならない」

 「日本人は周辺を海に囲まれたことで、安全な歴史を刻んでくることが出来たが、これからはしっかりとした大国に相応しい外交能力を身につけなくてはならない」

 …などと言ったお話。

 聞いていて非常に小気味よかったが、国民の常識を信じつつも、マスコミの一方的な情報に左右されずに事実をしっかりと把握する能力も身につけたいものである。

 戦争の仕方はビジネスにも通じるものがある。改めて勉強するのも良いね。


【岡本富士太さん講演会】
 12月4日から10日までは人権週間と言うことで、その最終日に人権講演会が開催され、今日の夜7時から講演会が催された。

 今日の講演者は俳優の岡本富士太さん。岡本さんは中学生日記というNHKの番組の先生役を長くやっていたのだ。
 
 中学生日記は、実際の中学生を使っていると言うことだが、一応オーディションはするのだそうだ。

 しかも募集するのは名古屋周辺で名古屋放送局から40分以内で通える子供達に限られているのだそうである。

 名古屋からの40分以内というのは、各中学校からクラブ活動を終えてから集まれて二時間の収録を終え、さらに8時半までに家に帰ることが出来るぎりぎりの距離なのだそうである。
 当時は中学生は夜8時半までしか働くことが出来なかったのである。

 また名古屋での片道40分であれば、商店街から、住宅街、農村から漁村までと言った、さまざまな環境の子供達が集められるということもあったとか。

 へえ、知らないこともあるもんだ。

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 実は岡本さんも娘さんが中学校一年から三年まで学校に行けない状態になったのだそうで、そのときの親としての思いや失敗談を話してくれた。

 我と我が身に照らして納得できる話が多かったけれど、ちょっとオーバーアクションだったので、もう少し詰めた話が聞きたかった気もする。

 岡本さんは中学生日記の先生役をやっていることからそれなりに講演依頼が来るのだそうだが、子供による事件などが起きて
世間的に問題意識が高まると呼ばれる回数が増えるのだそうだ。

 人間は悲しいな。問題が起きなければその問題の重要性に気づかないんだな。

 世の中の多くの問題点に真剣に取り組みたいものだ。それも世間のはやりすたりに関わらずね。
 
  


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