| 2003年11月30日(日) |
031130_弓道と外交官の殉職 |
【弓道大会挨拶】 今年出来たばかりの体育館、サンリーナで掛川支部秋期弓道大会の挨拶に行く。
この大会は、掛川市弓道連盟が主催する大会で、この体育館に近的と遠的の弓道場が出来たこともあって、体育館の開館記念イベントの一環として行われたものである。
会場に到着してみると、参加者一同が弓道着と袴で勢揃いしている。なかなかの壮観だ。今日の参加者は当初予定の二百人を超えているそうだ。盛況です。
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私からは今日の大会の盛大な開催を慶ぶと共に、関係者のご苦労に感謝すること。
体育館も二ヶ月で四万人の利用者を迎え、ますます地域の健康と体力づくりの拠点として利用して欲しいこと。
弓道は市が進めるスローライフイベントの一つに合致する我が国の伝統的な武道であるので、これからのますます普及発展することと、今日の大会で皆さんが日頃の練習の成果を発揮されますようお祈りをしました。
挨拶の後に少し時間があったので、せっかくだからと言うことで少し大会の様子を見学することにしました。まずは儀式として射手による試射があります。
最近は時間短縮でこの試射を行わない事も多いのですが、今日はこの体育館の弓道場開き的な意味も込められているのでやることにしたそうです。
射るのは弓道連盟掛川支部のNさん。腕前は六段とのこと。しんとした会場で、参加者は弓道場の隅っこの方に移動して、じっとその動作を見守ります。
射手の後ろには二人の介添えが付いて、一連の動作の補助をします。
ゆっくりとゆっくりとした動作で日本の矢と弓を持ち、儀式にかなった所作で弓を引き的をめがけて矢を射ます。
打ち終わったところで全員が拍手。最後まで礼を忘れない道の姿を垣間見ました。
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ここからはいよいよ大会です。射手はそれぞれ矢を二本ずつ持ちこれを的めがけて放ちます。
聞けば一巡目は二本で、次が四本で全部で六本の矢でもって順位を決めるのだそうです。
選手達には女性も多く混じっていますが、男性と同じ距離で全く同じ条件で矢を射ます。
弓の強さを変えることで自分にあった弓で望むことが出来るので、全く男女にハンデはありません。究極の男女共同参画武道ですな。
スローライフでいつもお世話になっているSさんは実は弓道連盟の重鎮で、私と同行の教育長さんに弓道についていろいろと説明をしてくれました。
曰く、「弓道はスポーツと言うよりは礼と道の世界なので、民間であれば道場には必ず神棚が飾ってあって、これに一例をして入ってくるのです」
「そして、全員必ずこの神棚に向かって正対して弓を射るもので、これは左利きの人でも同じです。神棚に向かって背を向けて射るということはないのです」
「へえ、知りませんでした」 「最近はスポーツ化している面もありますが、もともとはそういうものなんです」
公設の体育館であるために宗教的なものとして神棚を置くことは許されないのだが、こういう形で日本の伝統の姿が少しずつ形を変えざるを得ないという状況はどう考えたらよいのだろうか。
ここが武道とスポーツの違いなのだが、日本人自身がこのことを忘れかけているのではないだろうか。
【外交官の犠牲】 イラク復興に尽力していた外務省の奥克彦参事官と井上正盛三等書記官の二人がテロと思われる襲撃を受けて命を落とした、という報道で騒然としている。
大変悲しい出来事で、ご家族の気持ちを思うと伝えるべき言葉もない。警備をもっと十分に出来なかったものか、という後悔の念もあるが詮無いことである。
しかしこのことと、イラクへ復興への日本の参加を止めると言うこととは全く別のことと思うべきである。
今日世界でも指折りの経済力を持った国である日本として、疲弊した国に対する援助事業は断じて行われなくてはならないし、現地が紛争の危険がある場所に置いてはそのような事態に対処することに慣れた部隊を派遣するのも極めて当然だと思う。
聞けば、亡くなられたお二人は生前から、イラク復興に日本も参加しなくてはならず、その際には自ら命をかける覚悟が出来ている、と話していたとのこと。
聞くも涙の物語だが、公務員たるもの多かれ少なかれ、いかなる形であろうと公に奉仕する精神を持ち合わせているもので、こういう覚悟のないものは公務員たる資格がないとも言える。
公務員とは決して身分と給料が保証されて、やらなくても良いお役所仕事を退庁時間までだらだらと続けている存在なのではない。
最後の瞬間に公のためには逃げることが許されない立場であるのであって、今公務員である方にもあるいはこれから公務員になろうとする人たちにもその「覚悟」を求めているのである。
私が掛川へ来たのも紙一枚で来た形だが、これとて「おまえが行け」という明確な国の意志なのであって、「なにを好きこのんで」と言われるような軽いお話ではないのです。
目の前の仕事に全力を尽くすことが求められているのであって、常在戦場なのである。
世の中には行財政の効率化のためには公務員の削減で経費節減と気楽な文言を語る人が多いが、そんな言葉に「そのとおり」と思われるようではいけないのであって、普段の仕事ぶりでそういう安直な物言いに逆らわなくてはならないのだ。
なくなった二人の分まで生きて、身をもって範たらねばなるまい。そういう覚悟を改めて思い出せてくれる二人の外交官の殉職でありました。
お二人のご冥福を心よりお祈りします。合掌。
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