掛川奮闘記

2003年10月03日(金) 031003_畜産業と水

【久々東京出張】
 久々に東京へ出張。

 この間にいろんな直轄調査費をいただいたこともあるし、またいろいろと情報を仕入れたいこともあるので、一日かけて霞ヶ関界隈を巡る。

 しかし東京が霞ヶ関だけというのもなんだかなあ…(^-^;)


【北海道の畜産被害】
 市長からの宿題で、北海道の十勝沖地震では人への被害は少なかったものの、畜産関係に大きな被害が出ていると聞いているが、助役さん何か調べておいてくれませんか、と言われている。

 そうなれば旧北海道開発庁を訪ねてみよう、ということでやってきました。

 よく知っている人事担当者がいたので、まずは地震のお見舞いを。

 「しかし人的被害は思いの外少なかったですねえ」
 「そうだね、改めて分かったけど、北海道の家は地震に強いんだね」

 「へえ、どういうところがですか?」
 「まず瓦屋根ではないから屋根が軽い。地震でも大きな力がかからないんだね。それから冬寒くて断熱材を入れるために壁が厚い。だから揺れにも強くなるってことらしいよ」

 「なるほどねえ、本州の家とはまさに対極ですね」
 「気をつけた方が良いよ、あなたも」

 …と最後は激励を受けました。

 北海道の家は地震に強いそうです。そう言われれば確かにそうですし、今回は同時多発火災も発生しませんでしたね。このあたりもちょっと調べてみたいものです。

 消防署の方がよいのかなあ。この問題はそちらのルートをたどってみましょうか。

    ※    ※    ※    ※

 お次はいよいよ畜産被害。北海道局の農政の企画官さんをご紹介頂いて、

 「私北大の農学科なんですが建設省に入りまして…」と自己紹介をすると、「園二だね。僕は食作ですよ」というお返事。

 ちょっと説明をすると、北大農学部の農学科には五つの学科があって、食用作物学講座(食作)、工芸作物学講座(工作)、育種学講座(育種)、果樹・蔬菜学講座(園芸第一。通称園一)、そして花卉・造園学講座(園芸第二、通称園二)と呼ばれていたのである。

 紹介して頂いたのはこの食用作物学講座の卒業生の先輩であったのでありました。途端にタメ口(^-^;)。

 「うちの市長から地震による畜産被害の実態を調べて欲しい、と言われまして…」とご相談すると、すぐに担当者を呼んでくれて話をしてくれました。

    ※    ※    ※    ※

 「今回は確かに畜産業に大きな被害が出ています。それは地震によって停電が続き、そのために水が出なくなったせいです」
 「水がないとどう駄目なんですか?聞いたところでは搾乳機の洗浄が出来なくて乳が搾れないと聞きましたが」

 「搾乳機はそれほど大きな影響ではありません。むしろ、牛というのは完全に乳を出すことに特化した家畜なので、とにかく牛乳を出します。出した乳は別に捨てればよい話。しかし乳を出すからにはそれだけの水分を補給しないと脱水症状で死んじゃうんです。今回はそれが大きな被害になっているようです」

 「そうですか」
 「しかしね、これは昔ながらの小さな牧場だったら回避できているところもあるんですよ」

 「それはどういうことですか?」
 「牛乳というのは絞った後に冷やす必要があるんです。絞り出したお乳は温かいのでそのままにしておくと成分が分離するんです。

 「はい」
 「そこで昔は牧場は川のすぐ近くにつくって、金属の容器に入れた牛乳を川で冷やしていたんです。だから昔の牧場だったら川の近くにあるはずで、そういうところは牛の飲み水も確保できるわけ」

 「はあ」
 「ところが最近は牧場の規模が大規模化して、農業用水も川からパイプで奥の大牧場まで引けるようになったので、牧場がどんどん川から離れて奥地へいってしまっています。そういうところはまさに水が生命線で、それがないと牛が死んじゃうんです」

 「牧場の水というのはそう言う意味でしたか」
 「まだ詳細の被害状況などは断片的にしか上がってきていないけれど、担当者に適当なところで情報提供するように指示しておきますよ」と言って下さった。

 なるほどねえ。市長も地震対策で今までは人的被害の軽減だけを考えてきたけれど、畜産業にも気をつけないと駄目なのかなあ、と言っておりました。

 地震対策でやることが多いねえ。

【知人と一杯】
 懐かしい知人と帰り際に一杯飲みました。

 ばかばかしい話も多くて笑ってしまいますが、こういうストレス解消も大事ですな。


 久々の東京でした。



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こままさ