| 2003年09月08日(月) |
030908_名古屋で営業 |
【部課長会議】
長野県上田市にある、戦没画学生慰霊美術館「無言館」の館主である窪島誠一郎氏が掛川を訪れて講演会を行って下さった模様が紹介された。
この無言館は、画学生達が絵を描きたいという思いを断ち切って戦地に赴き、そのまま帰らぬ人となったその遺作を集めた美術館である。
わが市には桑原喜八郎さんという画学生がいた。この方は大正９年(1920)掛川市高御所で生まれ、掛川中学校卒業後、昭和15年(1940)に東京美術学校日本画科に入学したのだが、昭和18年(1943)学徒出陣をしたのであった。もし生きていたら、必ずや日本を代表する画家になっていただろうという評価なのである。
そしてこの方の遺作がこの無言館に飾られているという縁があって、今回の講演会になったのだ。
講演会のお話の中で市長が印象的だった話は以下のエピソード。
お母さんと娘の二人連れがこの美術館に入ってきて、母親の方はやがて出てきたのに対し、娘さんの方は二時間も館の中の絵に見入っていたのだそうだ。そうして美術館を出てきた娘がぽつんと「私、生きます」と言ったという。
実はこの娘さんは世の中に絶望して、何度も自殺を図ったのだという。そんな「死にたい」とばかり思う娘に対して、本当は生きて帰ってきたかった何人もの学生の姿がどう映ったのだろうか。この美術館の絵には、そういう思いがひしひしと伝わってくるのだ。
※ ※ ※ ※
実は私も松本在住時代にこの美術館をお訪ねしたことがあった。よりによって当日は雨で、細かな雨に煙るコンクリート打ちっ放しの美術館は寂しげにたたずんでいたものである。
しかし中の絵は、鬼気迫ると言った風ではなくてむしろ淡々とした絵であって、それでいてやはり生きて帰って来ることが出来たなら、今度こそ思い切り絵を描きたいという思いが伝わるように感じられたものである。
単純な戦争反対ではなく、画学生達のエピソードでつづられた悲劇の人生模様を表すことで、彼らが命を賭して守ろうとしたものが何であったのか、それが今我々がのうのうと生きているこの社会と国であったのか。
今の我々が、これらの画学生に対して胸をはって「安心して下さい。皆さんが命をかけたものは我々が守っています」と言える世の中を作れているのだろうか。
ただの美術館ではない。どうぞ機会があったら一度お訪ねすることを真にお勧めします。
最後に、現在掛川美術館では9月15日までの期間で桑原喜八郎さんの展覧会が開会されている。こちらも見逃すわけにはいきませんぞ。
【名古屋で営業活動】
昼一番で名古屋へ向かう。まずは中部地方整備局で情報収集という名の営業活動を行う。
まずは再来週に体育館の完成式典に出席して頂く皆さんにお礼と事前顔合わせの挨拶をする。これはそれだけ。
続いては河川部へ行って、大井川の盗水問題のその後の様子をうかがう。私が目にした資料では国の役人様が随分と高飛車な態度で「水は即刻止めてもらう」と言っているように感じたので率直にそう伝えたが、担当の方は「そういうことではなくて、現在県に是正案を作ってもらっていて、それを見てからの答えになると思います」とのこと。
「過去に遡っての損害賠償の可能性はありますか？」
「国交省としては、違法状態が解消されればそこまで強くは打ち出さないと思いますが、その水利権を一時的に付与されている県がどうするかではないでしょうか」
「農業用水が余っていて、転用するのが問題だとすれば、農業用水利権から工業用水利権に転用するということはできませんか？」
「大井川用水事務所としては、『農業用の水は一滴たりとも余っていない』という原則ですから、そこの立場が転換できるかどうかですね。また、農業潅漑用の施設も、『他目的使用』という申請を行っていれば使うことは可能なのですが、それをしていなかった点も問題でしょう。ただ他目的に使う場合はおそらく有償が本来なので、それもただでやっていた自体はどうやって納めるでしょうか。それも県の問題です」とのこと。
現在、代替水利をどこに求めるかと言うことも含めて県が検討を重ねているということなので、その推移を見守りたいものだ。いずれにしても、国が法律を盾にして何が何でも水を止めるという姿勢なのではなくて、まずは方向性を見定める柔軟性を示してくれていることが分かったのでちょっと安心した。
いずれにしても、マスコミに大きく報道されてしまった今、早急な解決が求められている。「まずいなあ」と思ったことは露見したときのショックが大きいなあ。
※ ※ ※ ※
最後に道路部へ。日曜日の朝刊に「国交省、バイパス無料化」という大きな見出しが出されて、そのあたりの真偽を尋ねなくては。
ご担当の方と話をして、「こちらも寝耳に水なんですよ」とのこと。ふうむ、どういうことかな。
「国としては、道路公団民営化推進委員会の答申を踏まえて、道路公団が所有する一般有料道路を、�々眤�道路と一体となって機能する路線と��単独に機能する路線（バイパス型）に分類しようと考えています。そして、このバイパス型は原則として、国、地方公共団体等に譲渡すること、とされています」
「はいはい」
「国土交通省としては、バイパス型路線については地方公共団体の意向を踏まえつつ、�〕�用しやすい料金体系の導入を検討した上で、有料道路として公社に有償で譲渡するか、�¬砧粗始�として本来道路管理者へ有償で譲渡することについて、『幅広く検討しているところ』というのが公式の見解です」
「となると、わが掛川バイパスの即時無料化というのは…」
「まだ検討の最中ですので、個別の具体路線や譲渡価格などについては議論の対象にもなっていないところですね」
「記事がややフライング気味だと言うことですか？」
「本省からの足で稼いだ記事だとは思いますが、見出しのとらえ方がセンセーショナルでしたね」
…とのこと。なるほど聞けば、中部地方整備局の道路部長も寝耳に水だったとのことで、具体的検討はまだ先のようである。しかし、何も考えもしなかったときに比べると、少しずつでも前に進んでいる印象である。
こうやって叫んでいればいつかは良い日がくるものだろう。がんばろう。
【福井議員の講演会】
かつて掛川の先輩助役として人気のあった、Ｆさんは今や高知一区の衆議院議員として活躍中である。
そこでこの福井さんがかつて中部地建やわが掛川市にいたご縁を大事にして、地元で年に一度や二度話を聞く応援の会をつくろう、ということになり、その設立総会を行う。
この会は名古屋では高知での票には結びつかないし、政治的活動を行う政治団体ではないので、純粋な精神的応援の会として設立されるのである。会の役員では元中部地建の局長が代表となることが決まった。
福井さんも総会の最初から出席してくれていて、会の後の講演会では外交問題や年金問題を熱く語って下さった。なかでも「土木出身で良かった」と言ったのだが、その真意は「国全体をＡ4一枚の紙に納めて、その地理的スケールと時間スケールで『ここを道路で結ぼう』とか『ここの新幹線は通したい』という構想を考えられるのは土木の人間だけだ、ということが他省庁の人間とも接して改めて分かった」からだそうである。
高知は元々野党の強いところであって、そこに若手が突然飛び込んで当選を勝ち得たのだから並大抵ではない。いよいよ選挙が近いと言うこともあるのだが、金帰月来で地元へ入って活動を展開しているとのこと。
高知の方は特に女性がお酒が強いことで有名なので、体をこわさないようにほどほどにしてご活躍をしていただきたいものである。
【Ｍ氏と飲む】
福井さんとの会合の後で、親友のM氏と久々にあって飲む。
四方山話に花が咲いたが、夏休みに大変な体験をしたとか。
「夏休みに長野へキャンプに行ってさ。車を走らせていたら、インパネの時計がだんだんくらくなるんだよ。」
「それって、オルタネーター（発電機）の故障だったんじゃないの？俺もデリカで経験あるよ。ワイパーが動くとその間だけラジオが聞こえなくなって、終いにはウィンカーもつかなくなったけどね。
「そうなんだよ。でもディーゼルだとエンジンは止まらないだろ？こっちのはガソリン車でプラグがあるから、発電機が故障するとバッテリーで電気が供給できている間は良いけれど、それが切れたらエンジンが止まるんだぜ」
「あ、なるほど」
「今の車って、エンジンが止まったらどうなるか知ってるか？」
「うぷぷっ！ハンドルとブレーキが異常に重くなるだろ？」
「そうだよ。しかも走っている最中にそうなってみろ？大変な思いをしたよ」
「ははは、そりゃ災難だったな。修理はどうした？」
「それがさ、発電機の故障だってことが想像も出来無くってさ。近くのガソリンスタンドに頼んで、適合するバッテリーを買ったんだよ。それに付け替えると、何の問題もなくまたエンジンはかかるんだ。そりゃそうだよな、バッテリーが生きてる間は電気がくるからな」
「長野からじゃ、東京まで帰ってこれないじゃん」
「そうなんだよ。それが分からずに、走っている途中でまた止まっちゃって、必死になって喫茶店の駐車場に滑り込んだよ。そしてまた近くのスタンドでバッテリーを買う羽目になったんだ。こりゃたまらんな、と思ってマツダの工場を探して飛び込んだら、『発電機の故障ですね』と言われたよ」
「原因が分かればなんとかなったの？」
「それがさ、部品はこの工場になくて、あるところは今日は休みで明日にならないと開かないと言われて、仕方なくその日は家族は宿に泊めて、俺は車中で野宿さ。翌日になんとかその工場へ行って、適合する部品をつけてもらってほうほうの体で東京まで帰ったよ」
「そりゃ本当に災難だったな」
「おかげでおれの車庫には充電すれば立派に使えるバッテリーが二個もあるんだ！ちきしょーそれも田舎なんで高い買い物についちゃったよ、トホホ（;´_`;）」
※ ※ ※ ※
そんなわけでさんざんな夏休みだったよう。ちなみにこの時は息子がラグビーの合宿で、試合の最中に右足の靱帯を二本切ったとかで、今ではリハビリの毎日だとか。
本当に大変な夏休みだったようだ(-_-;)
※九月六日の奮闘記がおかしくなっています。現在原因を究明中。
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