掛川奮闘記

2003年08月15日(金) 030815_終戦記念日と鰹節

【戦没者追悼式】
 また今年もこの日がやってきた。先の大戦が終了してから早58年という月日が経ったわけである。毎年この日は、掛川市での戦没者1958柱に対する追悼式典が、生涯学習センターで行われるのである。

 外は雨。遅刻しそうになって予定の一時半ぎりぎりに会場に到着。今日の式典では開式の辞を私が担当することになっているので、遅れてしまっては始まらない。

 会場で席に座ると、今日の司会の課長が近くへ寄ってきて「助役さんに開式の辞をお願いします」と囁く。「はいはい」と答えるが、この課長、実は一ヶ月ほど前にソフトボールで足をねんざしていていまだに松葉杖をついている。
 松葉杖をつきながら黒い服でひょこひょこ歩くので回りからは「傷病兵だ、傷病兵」とか「傷痍軍人だ」というヤジがひそひそ飛んで、下を向いて苦笑する者多し。

 緊張の中の冗談はここまで。

    ※    ※    ※    ※

 拝礼と国歌斉唱で追悼式が始まった。

 開式の辞は私の役回り。ご遺族、ご来賓への感謝と共に、「戦後58年が経過して、大戦の記憶も薄れがちな今日この頃ではありますが、今日の我が国の反映の礎となられた諸英霊、ならびに志を半ばにされた多くの御霊に対する感謝の気持ちを、なお私たちは忘れてはならないと思うのであります」との一節。

 市長からの式辞、ご来賓各位からのご挨拶をいただく。遺族も高齢化していて、もはや孫の時代になろうとしている。

 昨年もこの式典には参加したのだが、昨年のこの段階ではまだ市民の皆さんの多くを知らなかったために、ただ開式の辞を述べたにとどまったのだが、こうして一年経って多くのかたを知ってみると、市内の様々な役をやって下さっている方が遺族として多く参加されているのに気づく。

 大戦の反省から平和が絶対的な状態で、絶対善であるという思想を長く持ち続けてきた我が国だが、ここへきて様々に世界の状況は変化をしている。

 この世界の状況変化から我が国有り様は当然今までとは違って変貌せざるを得ず、そのことがひいては市町村合併を求める要因になっているのだ、ということに気づいている人は少ないだろう。

 大きな国の枠組みを支える日常生活としての地方自治体。我々はもはやそのことを改めて認識せずにはいられない状況になりつつあるのだ。

 式典の最中に市長から
 「助役さんは昨年もいたっけか?」
 「いました。今日と同じく開式の辞を述べました」

 「この戦没者追悼式で雨が降ったというのは、僕の記憶では初めてのことだよ」
 「そうですか」

 「毎年この日は暑いんだ」

 今年は夏のない年になりそうである。

【鰹節の世界】
 明日は大須賀町の納涼祭へ蕎麦を打ちに来て下さい、と頼まれているので、またまたその気になって、汁を作ろうと思った。

 ところで、私の手元には祖母の形見のような、鉋をひっくり返して箱に乗せたような鰹節削り器があるのだが、市販の鰹節で試してみても粉になるばかりでどうも調子が悪い。

 そこでやはり「餅は餅屋」ということでプロに訊いてみる気になり、一度家まで帰って削り器を持参して市内の伊藤鰹節店をお訪ねする。

 早速ご主人にお会いして、「助役です」と告げてかくかくしかじかと事の次第を述べたところ。「どれどれ」と削り節器を見て下さる。

 「それほど悪くもありませんが、刃が薄いかなあ。それと角度がちょっときついかな」とのこと。そして店先に置いてあった、お店の削り器を取り出して、店の鰹節を削り出す。

 うーん、見比べてみるとやはりお店の削り器の方が良く削れていますぞ。ちらちらとお値段を見てみると5,300円とのこと。おぉ、ほとんどアイフルのコマーシャルで犬を抱いて犬の正装に生唾を飲み込む男性の状況に近くなっておりました。

 しかし、いかんいかん、ここで余計な出費をしてはいかん、とかろうじてこらえました。

    ※    ※    ※    ※

 結局、上手に削ればなんとかけずれることが分かり、それではとお店の鰹節を調達することに。

 店内を見ると、「男節(おぶし)」、「女節(めぶし)」、「亀節」というのが売っていますぞ。うーむ、なんじゃろ?
 
 「鰹節は、鰹を三枚におろしますが、鰹が小さくてその三枚おろしのままでつくるのが『亀節』です。なんとなく亀に似てるでしょ」
 「ほほう」

 「で、鰹が大きい場合は、右と左に分けた亀節をさらに測線から背中側と内臓側に二つに分けるんです。そうして背中側を『男節』、内臓側を『女節』と呼んでいるんですよ」
 「へえ、どちらが美味しいんですか」

 「同じ鰹節ですから、味は同じだと思いますが、男節の方は全体に固くて最後まできれいに削り出せるのに対して、女節の方は内臓に近いところが粉になりやすいんですな。それで男節の方がちょっと好まれる、という訳ですね」
 「なるほどねえ、宗田鰹というのはどうですか?」

 「宗田鰹は鰹の種類が違いますが、料理人の方などは宗田の方を好む方もいますよ。でも最後は好みですからね」
 
 なあるほどねえ。いろいろと鰹節について教えてもらいましたよ。

 最後には「削り器の刃が切れなくなったら持ってきて下さい。研いで差し上げますよ」とのありがたいお申し出。
 「いいんですか」と訊くと
 「打ちは機械で削っていますが、ドラムに鉋の刃が何枚もついているようなやつで、私がその刃を研いでますからね。いつでもどうぞ」とのこと。

 こういうところが地方都市のスローライフじゃないかな。やっほー、鰹節のプロみっけ!

 また上等な蕎麦づくりに一歩近づいたぞ。
 
【背中が…】
 背中が痛い。そろそろ一度整体にでも行かないと耐えられなくなりつつある。どこがいいのかなあ。
 


 < 過去  INDEX  未来 >


こままさ