掛川奮闘記

2003年07月16日(水) 030716_アパート経営、地震防災、どっちもリスク

【3セク役員人事】
 朝から市の区画整理保留地処分のための3セクの役員人事会議。一応理事が9人集まって、理事長、専務理事を決めるのである。

 3セクの理事のうち理事長と専務理事の任期切れに伴っての会合だが、大方の予想通り、理事長には市長、そして専務理事には私が前回に引き続き推薦を受け、承認をされた。

 もちろん、職責から来る当然の人事であり、この責任を逃れられるものではないので、一生懸命勤めを果たすつもりである。
 
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 この3セクは、区画整理地で売らないと事業費が出ないという保留地を買い取って、組合を解散させ、変わりにこの土地を処分するのが目的で設立されたものである。

 全国にこの手の3セクができる例は極めて稀で、それはむやみに設立すると、当局に対して、区画整理事業の失政の尻ぬぐいだ、という批判を招きかねないからである。

 それでもわが市の場合は、その恐れを超えて、組合を適切に解散させないことの影響の方が大きいと判断したのである。

 実際、保留地が処分しきれないといつまでも組合が解散できず、組合員にとっては金利などの負担が次第にかかってくるので大変なのである。

 しかし、こうやって区画整理組合を救済するのはある意味諸刃の剣である。

 他でまだ事業中の組合にしてみれば、「今後の事業で保留地が売れなくても、ああやって市が救済してくれる」という気持ちになりがちで、そのような自分たちの事業に対する真剣さが薄れることは、モラルハザードを招きかねないからである。

 それにしても、この3セクの土地がうれなければやはり困るのである。デフレと少子化の問題はこうして顕在化するのである。

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 会議を一応終了させたところで四方山話。

 農協の代表である理事に対して、市長から「最近区画整理地に宅建業者に勧められた地主のアパートがどんどんできるが、どう思うか」と問うた。

 「それは大変な問題ですよ。区画整理地の地主と言えば、大抵は農民な訳で、換地で得た土地をどう活用しようかと言うことになるとそのやり方が分からなくて、つい宅建業者に勧められてアパートを建ててしまうんです」

 「そうでしょう」
 「しかし、最初のうちこそ『入居者は保証します』と言うけれど、早晩そんな約束の期間は過ぎて、空室率が上がってくる。そうなると家賃収入が入らないので月々の返済が滞る。それを避けるために高利の資金を借りて返す、などというバカのことをしている人もいるわけです」

 「それじゃ財産を食いつぶされちゃう」
 「そのとおりです。だからもう農協では、そういった投資の相談には乗るな、ということにしています。財産を守ることもさることながら、融資としてもリスクが大きい案件になりますからね。農民の皆さんには、相続対策ならこう、財産の活用ならこう、といった指導もしていますよ」

 とのこと。特に、区画整理事業が始まった頃の地主さんの中にもアパート経営をしたかたがいたが、そういう方達の話としても、貸した部屋を10年くらいでリフォームしようとしたら、一戸あたり百万円くらいかかって、それまで得た家賃が全部パーになってしまうという話も紹介された。

 要は、こういう話はやはりリスクの大きいビジネスだと言うことである。数年先が本当に心配だ。


【東海地震〜明日起きてもおかしくない】
 昭和51年に当時東大助手であった石橋克彦さんが「東海地震、明日起きても不思議ではない」と言って、世間が俄然、すわ東海大地震が近い、と騒ぎ、その後の地震対策はやがて地震予知連の誕生や、地震観測網の増強などの社会的動きになって今日に至っている。

 この間、27年になるが、いまだに東海地震は来ない。口の悪い元官僚などは「あれは大規模な詐欺にあったようなものだ」と発言したとかしないとか言っているが、この間の猶予があったおかげで、建築基準法が改正強化されて個人住宅も耐震性が大幅に増したし、なにより観測網が密になり広がったことや、GPSなどのハイテク技術が大幅に進歩したおかげで土地の変動データが増大したことは大いなる成果と言えよう。

 その石橋(現在は神戸大学)教授をお招きして、今日の午後に地震防災リーダー人材養成講座として講演会を開催した。

 石橋先生からは、これまでに分かってきた地震研究の最先端情報が紹介された。

 その中で、先生は駿河湾から四国の足摺岬までを五つのゾーンに分けて、そのゾーンにたまったプレートのひずみエネルギーがいつの地震で開放されたか、という研究の結果、やはり駿河湾から御前崎までの五つのゾーンのうち最も東の部分のエネルギーがここ150年ほど開放されていない、という考えを示された。

 もっとも、そのことがすぐにでも地震が来る、ということを示すわけでもなく、もしかしたらあと50年だってもってしまうかも知れないのだという。
 
 「やはりここは、観測網が充実したところで一度地震が来て、そのことで前兆的情報を把握するということしかないのでしょうか」と尋ねると、笑っておられたが、そう言う面だってあるだろう。

 最新の観測では、スローライフならぬ、「スロースリップ」という現象も観測されたという報告があったようで、これは歪んでたまるはずのエネルギーがゆっくりと開放されている現象だという。

 一気にエネルギーを開放するのが地震なのだが、ゆっくり開放してくれれば地震にならずにすむというものである。地震のスローライフだったら、良いのだが。

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 先生はそのような研究を続ける中で我々の生活のありように対する提言もまとめられた。

 すなわち、「震災軽減を図ることは、我々の暮らし方を根本から振り返ることである」、「我々の現代知識を過信してはならない。ただし、長年の知恵に支えられた技術もバカにはできない」、「日本列島は自信と共存せざるを得ない」、「価値観、ライフスタイルの転換、社会経済システムの変更が必要だが、それが震災軽減の根本に通じる」、「未来世代の震災リスクを高めない節度を持つ必要がある」などといった提言である。

 話の延長で浜岡原発にも触れて、「一度のマグニチュード8の地震には耐えられても、余震でM7が来ると言うことを想定しているのか。現在の知識におぼれてはいけない」という発言で原発には批判的な考えを示された。

 我々自身がライフスタイルを変えずにこのまま突っ走るようなことがあると、地震の被害は増大する方向にしか働かないだろう。それにはやはりスローライフかなあ。


【ユージン訪問団打ち合わせ】
 いよいよ8月のユージン訪問まであと一ヶ月ということになり、今日は参加者が一堂に集まっての顔合わせである。

 今回の参加者は、私の家族も含めて全部で20人丁度。なかには参加に向けて圧力をかけてくださった方もいるようで、ありがとうございました。

 始めに自己紹介から行って、団長である私が挨拶をしました。一通り自己紹介を終えると、次に旅行会社の担当者から少し細かい日程の説明。

 細かい話はいろいろあるけれど、あと一ヶ月なのでそろそろ真剣になろう。

 外国旅行の経験が豊富な参加者からは、「英語を位置から勉強しようったって、無理。それよりは知っている単語を大きな声で言うだけの度胸があるかどうかですよ」という極めて現実的などバイスをいただいた。

 この方はブラジルで山賊に遭遇してパスポートから服まで全部取り上げられて、眼鏡とパンツだけで帰国したという経験もあるとか。

 「パスポートがなくても帰ってはこれるんだと分かりましたよ」と豪語するあたりさすがである。副団長をよろしくお願いします。

 この後は、八月の出発一週間くらい前に壮行会を行い、そこで最終的な打ち合わせを行うこととした。現地ではレポートを書く準備もしておかなくてはならない。

 さあて、いってきますか。そろそろ本気になろっと。


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