掛川奮闘記

2003年05月27日(火) 030527_名古屋にて〜市町村ゼミナール

【名古屋へ】
 名古屋で開催される市町村相手のゼミナールで、「スローな公共事業」についてお話をして欲しい、と言う依頼があって参加することにした。

 ゼミナールは午後なので、とりあえず中部地方整備局を訪ねて、いろいろと事業のご相談に伺う。

 公園やら街路事業やらだが、ちょっと行かない間に知っている人はいなくなっていて、ちょっと寂しい思いをする。

 もっとも、それならそれで、また違った知人も増えるのでこれもまた良しとしよう。物事は良い方向に考えるべきだな、うん。

【スローな公共事業市町村ゼミナール】
 名古屋市内の会場に午後一時近くに集合して、市町村ゼミナールに講師として出席する。

 今日は報告者は二人で、一人は私なのだがもうお一方は三重県藤原町の伊藤町長さんである。

 実はわが市とこの藤原町は、昨年11月のNHKクローズアップ現代で「スローな公共事業」というタイトルの番組が放送されたときに、共に紹介された町なのである。

 わが市の方は、生コンやトラフなどの原材料を地区の人たちに提供して、作業自体は地元の方にやってもらうという事業が紹介され、一方藤原町では農業公園を作るのに、設計・施工・監督まで全部を地元のかつて腕に覚えのあるお年寄りにやってもらうという事業が紹介されたのである。

 ゼミナールは、伊藤藤原町長さんからのお話で始まった。藤原町では何しろお金がない、ということと、お年寄りの生き甲斐・やり甲斐のためにこの事業を始めたとのこと。

 町長さんは元は小野田セメントの営業マンだったとかで、事業の無駄には殊に厳しい姿勢で職員にも向かっているという。

 開口一番、「皆さんは市町村の方だと思いますが、一時間2千円の単価くらいで働いていると思います。この方が100人集まっていると言うことは、一時間で20万円以上の価値あるお話をしないといけない、ということです」と来た。

 「皆さんは、明日の仕事が保障されていると思っているかも知れないけれど、そんなことはないんだ、という危機感で仕事をしないと駄目ですよ」

 「市役所職員も、いつでも首の切れる契約職員でないとあかんと思うんですわ。私なんか、4年間の契約職員でしょ。4年ごとに継続されるかどうか決まるんですわ」と厳しい。

 議員とも最初のうちは随分喧嘩をして、14人の議員のうち町長派はたった二人という時があって、「不信任案を出す」というところまでいったこともあったらしいのだが、「『結構ですよ、でもその前に一度帰って奥さんとご相談されてからにしたほうがよいですよ』と言ってやりましたわ」と屈託ない。要は奥さんと相談して、そんなことをして次の選挙で当選するかどうか確認してからにしはなれ、という意味だったらしい。

 「首の皮一枚で繋がってますけどね」最後まで厳しい内容のことを面白く話してくれたのだが、最後に問題点として合併のことがあげられた。

 「わが町も合併を選択しました。しかし寂しいのは、最近やっと育ってきた職員が、合併でまた紛れてしまうと言うことです。いままで頑張ってやってきた制度がご破算になるちゅうことです。これが残念でたまりません」ということであった。

 合併は、しなければ次にくる時代の荒波を市町村が越えられないために行うべきである。しかしその陰で、こういった特徴ある行政が埋もれてしまうのも残念な話である。

 もって他山の石として、わが合併を考えなくてはなるまい。


【友人と一杯】
 夜に、この3月に名古屋へ単身赴任で転勤してきた友人と飲む。おまけとして仕事上の知人まで着いてきて、それはそれで面白かったのだが。

 酒を飲んで酔っぱらううちに、現在本省でわが部隊として一番えらくなっているMさんに話が及んで、「Mさんは、今度時期が来て引退することになったら、天下りはしない、と言明したそうですよ」とのこと。

 「格好良いねえ」と一同。

 私の卒業するときなどには天下りなんぞ無くなっているにちがいないのだが。

 地方行政をやってみると、公園・緑化の分野がいかに地方にとっては小さな興味でしかないか、ということが分かる。

 市民の一番の関心事は健康と財産で、それらがあって初めて次なる事柄に関心が移って行くのではないか。

 市民の関心事の幅は実に広くて、特定の一分野での突出した政策では、多くのニーズに応えきれない、と言うのが実感である。

 そういうことが分かっただけでも市の助役なんぞにさせてもらった価値があるというものだが。

 

 今日は件の友人の娘の誕生日だったそうな。オメデトウ。
 


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こままさ