| 2003年05月21日(水) |
030521_東海市長会と視察 |
【東海市長会総会】 朝からひたすら市長会総会である。東海地方から、各市の市長のお歴々が続々到着する様は壮観である。
テレビによく出てくる有名市長さんもおられて、「掛川市の助役です」と自己紹介すると一応「どうぞよろしく」と向こうも言ってくださる。それはそれで嬉しいものである。
総会は時間通りに始まったが、主催者挨拶、来賓挨拶に熱が入って、進行がどんどんと遅くなっていった。 さて、議事では、この東海市長会として先の三位一体改革に対する強烈な異議と抗議の文を決議した。すなわち、「国から地方への税源移譲の早期実現を求める決議(案)」である。
これは、地方分権改革推進会議において、国と地方の関係における補助金、交付金、税財源の委譲という「三位一体改革」に対して、意見書の試案が示されたのだが、これがなんと地方への税源移譲を先送りして、地方交付税の財源保障機能を実質廃止するという内容になっていることから、「何のための改革なのか、絶対に受け入れられない」という姿勢を明確にしたものである。
なにしろ、地方に税財源を委譲しない理由として塩川正十郎財務大臣は、「今回の改革ではまだ他省庁が権限を地方に移管しない。移管しないと言うことは地方はまだ事業を地方のものとして行うことができない。だからまだ税財源は委譲しない」などというようなことを、いけしゃあしゃあと言っているのである。
にわとりと卵の議論であって、とにかくできることを先にやればよろしいのに、やれない理由をとうとうと述べて先延ばしにしようというのは、既得権を話したくないということそのものなのだろう。
それでいて、改革に名を借りて税金を集めておきながら、国も苦しいので地方への配分は止めたいというのだから、これではまさに地方にとっては改悪にしかなっていないのである。
そこで今回の決議文の中には末尾に「…よって、国におかれては、税源移譲を基本とする『三位一体改革』の実現に向けて特段の配慮をされるよう強く要望する」という言葉が表現されました。
国と地方の改革。まだまだ国は既得権益を手放したくないものである。それは私も非常によく分かる。しかしそろそろ、それらが変わり始めている時代の足音も聞こえてきている。
ゆっくりだが確実に変わる。倦まずたゆまず、時代は新しくなっているのである。
【市内視察〜宮城まり子さんの吉行淳之介文学館】 市長会の午後の視察は、幼稚園と保育園を合同にした幼保園と、宮城まり子さんの吉行淳之介文学館である。
宮城まり子さんに関しては、「ねむの木学園」の方が有名だが今回は時間がなかったので、市長さん達には吉行淳之介文学館の方を視察して頂くことにした。
吉行淳之介は、女優吉行和子さんの兄で、芥川賞作家である。
吉行淳之介は結婚していたにもかかわらず、宮城まり子さんに惚れてしまい、ラブレターを何通も送り、まり子さんの方も愛してしまった、という今日で言う不倫の関係になってしまったんだな。 しかし淳之介の奥さんも決して別れなかったために、とうとう二人は結婚することなく恋人という関係でお互いの一生を過ごしたのである。
この吉行淳之介文学館は、そうした37年間の間にまり子さんがためにためた愛する人の思い出の品々を飾るというそれだけのための文学館である。ある意味ですごい怨念と情熱の固まりみたいなものである。
今日の市長会の視察に当たって、私が担当したのがこの文学館での市長達のお出迎えなのだが、着いてみて待ちかまえていると宮城まり子さんご本人が現れて、子供達の書いた絵の図録ができたので、市長さん達にプレゼントしたい、と言って下さり、本を用意して下さった。
さらに、バス五台に分乗して時間差で現れる市長さん達に対しても、にこにことご本人自らが出迎えて、館の中の展示物などの言われも説明して下さった。
「吉行の思い出の品々です。女に惚れられると、ここまでやられますから、皆さんあまり強く惚れられないようにして下さい」一同爆笑。
「そうそう、そこの角には彼からのラブレターが展示してあります。ひどいですよね、私信のラブレターまで公開されちゃうなんて。でも文学者ですから、そういうものも公開される覚悟ができていたと思うんです」さらに爆笑。
ラブレターそのものは確かに展示されていたが、文学者特有の癖文字でなかなか判読ができない。そこで、それらをワープロで打ち直したものが壁に掛けられていて、これは読みやすい。
壁に掛けられたものを見ると、日付がおよそ二日に一通のペースで送られた手紙の数々である。
おまけに、日本にいる吉行氏からはどうもヨーロッパにいるまり子さんに当てられた手紙のようである。毎日国際郵便で出したかと思うと、その熱愛ぶりがよく分かるというものである。
「せめて21世紀を見てみたいものだなあ…」と言っていた吉行は1997年の没。あと三年が生きられなかったのですねえ。
【窪野課長の通夜】 窪野課長のお通夜に出席する。北海道のお通夜のイメージと違って、こちらでは自宅で通夜を営むのですね。
こちらの慣習を訊くと、通夜は簡単に済ませるのが普通だという。挨拶をしておしまい、というきわめて簡単なもので、服も平服で構わないそう。明日の本葬では黒い服にしないといけないらしいが。
部長の一人と一緒に向かうと、玄関に列ができていて、一人ずつ家に上がり中に入って行く。いわゆる死に水というものを初めて取りました。
明日は委員会なのだが、議会の配慮もあって、11時から13時半まで休憩として下さった。葬儀へ参加することができるご配慮に感謝します。突然の仲間の死はつらいものがある。
今でも窪野課長の明るい笑顔と声が思い出される。 合掌
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