掛川奮闘記

2003年04月26日(土) 030426_小さな町の世界企業

【保育士会総会】
 当市とその周辺の郡部の保育士さん達で構成される「掛川小笠保育士会」総会が開催され、市長代理で挨拶に行った。

 挨拶のはじめに「皆さんこんにちわ」と言ったのだが、なんだか元気のない反応だったので、「もう一度言います。こんにちわ」と言ってみた。

 今回はちゃんと挨拶が返ってきたので良かったが、保育園の生徒さんみたいである。

 普段は子供達に「挨拶は元気よくしましょう」と教えているんですよね?

 挨拶のなかで、保育も社会化がどんどん進んできたので、役割は重要です、頑張って下さい、という趣旨の発言をしたが、見回すと男性の保育士も少なからずいました。そういう時代なんですな。

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 来賓挨拶が終わって、控え室でお茶など飲んでいたら、担当の方が「総会後にお話をして頂く講師の方がおられますが、お会いになりますか?」と訊くので、そういう機会を逃してはなるまいとばかり、「会いたいですね」と答える。

 そこでお会いしたのは、この近傍の小笠町と言うところに本社のあるお菓子屋さんで「たこ満」という会社の二代目の奥さんであった。

 このたこ満、従業員教育がしっかりされていて、お客さんが帰るときには全員が深々と見えなくなるまで最敬礼をしてお礼の気持ちを込める、というので有名なのである。今日の講演のテーマも、「接客のマナー」ということらしいから、保育士さん達の心を大いに動かして欲しいものである。

 折角お会いしたのでいくつか質問をしてみた。「たこ満さんは、なぜ『たこ満』などというお菓子屋さんらしくない、たこ焼き屋みたいな名前を付けたのですか(^-^;)」と訊いてみた。

 すると、「『たこ満』という名は、まだ92歳で存命していますがうちの先代が付けた名前です。先代は、満足に進学もできず、学問はなくても一生懸命働くことで世の中を生きてゆこうときめたそうです。そうしてお菓子屋になろうと、東京浅草のお菓子屋さんへ丁稚奉公に入り、入ったその日の夕食に蛸酢が出され、そのおいしさに感激し、「自分も菓子屋として一生を賭けるなら、この蛸酢のおいしさに負けないくらいおいしいお菓子を作り、多くのお客様の心を豊かに満たしたい。」と心に決めました。そしてこの初心を忘れることのないように、店名を「たこ満」と命名し創業したんです」とのこと。

 なるほど、お菓子の味にも従業員教育にも心がこもってはる!

 面白いのは、お店のキャッチフレーズが「清らかな遠州からの贈り物」としているために、静岡に支店を出さないこと。大井川の東側は「遠州」ではなくて「駿河」なので、出さないのだそうです。面白いこだわりですな。

【宝寿司、みっけ】
 区画整理で街中のお店から、郊外へ移転計画中と聞いた宝寿司だが、先週はがきが来て、「22日から営業を始めます」とのこと。

 お店の位置がやっと分かったが、保育士会から家に帰る途中の道すがらで、時間も3時くらいで暇だろうと、冷やかしに覗いてみることにした。

 「こんちわ」と入ってゆくと、丸顔に目がでかい主人がいて電話で話をしていたところ。 

 電話が終わったとたん、「助役〜!まいった、もう!」と泣き言。うーむ、郊外にしたら途端に客が減ったかなあ…と思いきや、「お客が来て来て、もう大変!ぶっ倒れそう!」だってヾ(^▽^*。

 「あなたね、今日び、お客が来て文句を言う店もないものですよ」
 「そりゃありがたいんだけど、店を前より広くしたために、一度に入るお客が増えちゃったんよ。そしたらもう、一日1600個くらい握らされちゃってさあ!」

 「お客も待ってたんでしょ、この店が開くのを」
 「そうみたいね、開店前から『いつ開けるんだ〜』という電話が多くてさ」

 「メニューも増えたんですか?」
 「それがねえ、開店までの一ヶ月の間、オレも食べ歩いてさ、インターネットを見て探したりしてね。いろんな店のいろんなメニューを勉強した!結構良い食材にも出会ったしさ。今度世話になった部長共々呼ぶからさ、来てよ!」

 相変わらず元気の良い大将で、スタートも順調なようである。記念にもらった開店祝いの湯飲みも結構良いものです。
 
 呼んでくれたら行くからね。食材もパワーアップのようです。

【選挙応援】
 いよいよ今日が街頭での選挙活動の最終日であります。

 まちなかの某議員さんから「総決起集会をするので是非来て欲しい」と依頼があり、7時前に会場へ向かう。
 
 会場はスーパーの前で、すでに支持者らが200人くらいは集まっている。

 私からは市政上の課題と候補への期待などをひとくさり述べて、「明日は良いニュースを聞かせて下さい」と締めくくりました。

 締めくくって壇上から降りたら、なんと私の後に柳沢伯夫前金融大臣がいて、前大臣の挨拶が始まりました。こりゃびっくりだ。

 前大臣もこの候補の方への期待をさんざん述べて、次の会場へ向かわれました。お忙しいのにご苦労さまでした。

【変な飲み会】
 なにやら訳が分からないが、見知った仲間で飲もうじゃないか、というお誘いがあって参加した。

 選挙応援演説のために少し遅れていったが、会場にはもう7人が待っていた。大体が見知った方だったが、一人外人の女性がいた。

 「この方は?」
 「Sさんが小笠山で拾ってきた人で、名前はキャサリンさん」
 「…???」
 
 よくよく聞けば、この女性は市内で企業相手に昨年8月から英語を教えている方らしいのだが、いわば街中の有力な人たちの目に触れずに今までいたらしい。

 この連中とお見知りおきになれば、もう力強いというか大変というか…(^-^;)。まあいずれにしても、悪いことはあるまい。日本語も大学で専攻したり、アメリカの家に留学生が住まいしていたことなどもあったりして、それなりに日常会話には事欠かない様子。

 日本語と英語のチャンポンの会話の中で、自分が家族を札幌に残して単身赴任していることを伝える。

 「大変ですね(的なこと)」と言うので、
 「ま、少しは離れてみると返って仲が良くなることもありますよ」と言うと
 「そうですね、英語でもAbsence makes heart grow fonder って言いますからね」

 どうやら英語でも離れていると心が温かくなるという心情があるようである。

  ※     ※     ※     ※

 同じ席に、藤田鉄工所の二代目がいて久々に会ったので、「どうですか最近、そもそも鉄工所って今日どんな商売をしているんですか」と訊いてみた。私自身、鉄工所と言えば中学校の時に、自転車通学の途中で鞄を入れる籠を取り付けた支えの棒が折れてしまい、それを鉄工所へ持って行って電気溶接をしてもらった思い出しかないので、鉄工所というところがどういう商売をしていて成り立っているのか不思議だったのである。

 そうしたら、「いえね、うちはね特別なんですよ。エンジンのシャフトとピストンの間をつなぐ、コンロッドという部品があるんですけどね、2サイクルエンジンのコンロッドでは日本一なの。納品はヤマハは全部うち、あとはホンダとかね」
 「え〜〜???本当ですか。あんなもの(と言っちゃあ失礼だが)エンジンメーカーならどこでもできるのじゃないんですか?」
 「そうは行かないんですよ。これは鍛造の世界で、鉄を叩いて鍛え上げる加工が必要で、単純な鋳物なんかじゃもたないんですよ。昔ながらの鍛冶屋がトンテンカンって叩く加工があるでしょ?あれそのまんまなんです」

 「へえ、すごいんだ」
 「イタリアにねマペ社って、私もよく知らない会社があって、そこが『自分のところ(マペ社)がヨーロッパでは一番だ。我々の世界でのライバルは日本の藤田鉄工所である』って言っているらしいんですけど、うちは全然知らないんですヾ(^▽^*」

 「世界企業じゃないですか」
 「掛川じゃ工業団地の企業ばかりが有名ですけど、うちみたいに特定の部品に関しては他に絶対引けを取らないって会社もあるんだってことを覚えておいて下さいよ」
 
 普段何気なく会っていた人だったのだが、実はすごい会社だったのである。うーむ、侮れない、人生我以外皆師だなあ。
  

 今日も今日とて、またいろんな出会いがありました。これが人生のエネルギーだ!


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こままさ