2003年04月16日(水) |
030416_日中二宮尊徳フォーラム |
【工場見学】 午前中に時間があったので、工業団地に進出して下さっている企業の工場見学を計画。今日は自動車の変速機を作っているジャトコさんの工場を訪問したのだ。
「ジャトコ(JATCO)ってどういう意味ですか?」 「ジャパン・オートマチック・トランスミッション・コーポレーションの略です」 「そのまんまなんですね」
こちらは、自動車のオートマチック変速機を作って注文のあった自動車会社に納めるという工場である。主力商品は、なんと言っても鈴木自動車の軽自動車の自動変速機である。
自動変速機にも種類があって、ステップ式変速機では3速か4速かの違いがあるし、無段階変速機というのもあるが、これにもベルト式とトロイダル式という主に高級車で使われるものもある。
種類はいろいろあれど、今とにかく一番たくさん作っているのは4段式のスズキの軽自動車用の変速機で、これを現在は一時間あたり98個という生産量だとか。スズキ以外にも富士重工、日産、三菱などにも納品しているのだ。
もちろん日産などは自社の変速機工場も持っているが、だんだん外注率が高くなってきているようである。あとトヨタとホンダは自社の工場があるらしい。
工場には職員が約300人で、年間の売り上げはここだけではなくて会社全体では3600億円という規模らしい。経済雑誌でも、元気のある企業ランキングの上位でランキングされているのを見ます。
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工場の中を見学させてもらったが、中は部品の搬入と、一時組み立てラインとメイン組み立てライン、最終組み立てライン、検査ラインなどに別れて、整然と部品が組み立てられてゆく。
見学のコースは決まっているのだが、床に白いテープが貼ってあって、たまにその上を無人の部品搬送車がディズニーのオルゴールをならしながら通過してゆく。
中には縦横に自動搬送コンベアーが立てられていて、これにディズニーの音楽とくれば、さながらスター・ツアーズの待合い部分のようである。
部品は、きわめて精度が高く作られていて、アルミの鋳造部品に穴をあける工程ではミクロン単位の精度の品質で製品が作られているという。
変速機が最後まで組み立てられた後には全品検査があるのだが、これも自動で運ばれて自動で検査される。工場の製品もすごいが、自動で検査する機械をつくる技術や工場もすごいと変に感心しました。
「中国に進出するという計画はないのですか?」と訊くと 「賃金単価だけ見ると安いのですが、アルミなどの原材料や電装部品などの調達を考えるとまだまだ国内でないと無理ですねえ」とのこと。 もうしばらくそういう状態でいて下さいねっ、と(^-^;)
【日本と中国二宮尊徳フォーラム】 午後には市内のホテルで二宮尊徳フォーラムを開催した。
昨日中国から全部で11名の日本文化などの研究者が来日して小田原で二宮尊徳思想学会が設立されたもので、そのまま返すのはもったいないと言うことでわが市にも立ち寄って頂き、中国の経済状況やら道徳の状況をおはなし頂いた。
経済発展を続ける中国が悩んでいるのが、人民の道徳の荒廃である。資本主義礼賛の考えが行き過ぎて、拝金主義が蔓延してしまっているのだ、という。
そこで、人民の道徳心をどう復興させるか、どういう思想哲学によってそれを行えるか、ということで日本の研究を進めてゆく中で発見したのが、二宮尊徳による報徳思想であるという。
中国には孔子による儒教があるではないか、という声もあるが、孔子ではもう今日駄目なのだそう。それは、孔子の思想では「道徳」と「経済」を考えたときに、「道徳」を「経済」よりも高く見て、経済を一段卑しいものだと見る考え方が今日的でないというのである。
それに対して報徳思想では「道徳」と「経済」は車の両輪で、お互いになくてはならないものだと考える点がきわめてユニークで合理的なのだという。
実際尊徳の行った言葉の中に、「経済のない道徳は寝言であり、道徳のない経済は犯罪である」というものがあるという。バブルの時代に拝金主義に陥った我が国を考えたときに耳の痛いものである。
このような思想を勉強して、これからの中国を立て直したいという方達に幸あれ、である。
ちなみに、フォーラムの中では壇上に7人の先生が上ってのパネルディスカッションがあったが、全員日本語を流暢に話してくださいました。
中国が日本をどう見ているか、という点については、ある先生から「60代以上と30代前後では美しいということと、戦争からくる残酷というイメージを持つ人が多く、10代〜20代ではドラマやアニメの影響から日本に違和感を感じていない層が増えている」という。
懇親会で横に座った女性の留学生に「日本のドラマでは何を見ましたか?」と訊くと「東京ラブストーリーが最初で、あとはその手の連続ドラマです」とのこと。
アニメではドラえもん、クレヨンしんちゃんの名前は出たけれど、「ポケモンは?」と訊くと「分からない」ということでした。いろんな流行があるものであります。
さて、この報徳思想、日本をもう一度立て直す精神的支柱になり得ますかどうか…。
【ゴミの行方】 さて、昨日の話ですが、環境保全課へ行って四方山話をしているうちに、「プラスチックゴミは基本的にリサイクルするようにと言われているが、汚れたものは燃えないゴミに出しても良い」となっているけど、汚れはどういう基準で汚れているとするのか、ということで問答となった。
汚れているプラスチックゴミをリサイクルしなくても良いようにしているのは、集める際に臭いやら汚れが集積場を汚して、周囲に迷惑をかけるから、ということのようで、それがないのならリサイクルに出しても良いのだ、ということらしい。 「じゃあ、今度から軽くふいてリサイクルに出すようにしますよ」と言うと、担当から「それはそれで結構なんですが、プラスチックリサイクルにも二通りあって、ひとつは溶かしてプラスチック製品の原料にする場合と、もうひとつは熱源として燃やすために再利用する場合があるんです。いつもそれは入札で決めるのですが、今年の場合は燃やす燃料にする業者が落札したんで、いずれにしても燃やされちゃうんですけどね」という答えであった。
へー、プラスチックリサイクルって全部溶かして再製品化することではないんですねえ。初めて知った。それなら多少汚れていたって良いわけだ。ふーん。でもそこまで市民に理解してもらおうというのも無理があるんだろうなあ。
ゴミ問題って複雑だということが改めて分かった次第。知ってました?
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