2003年04月13日(日) |
030413_蕎麦打ち放浪記 |
【キャンプ場桜祭り】 市内山奥のキャンプ場で桜祭りをやるので、まずはそれを視察に行く。
桜は一週間遅かったようだが、ソフトボール場を開放してフリーマーケットを行っていて、これが人気で活況である。地元の人たちも総出で出店をしている。
会場で、この四月に市役所を退職した方に会って、元気そうなので安心する。
秋にはここ、「ならここの里」に温泉施設ができあがるので、もっとたくさん訪れる人が増えると良いな。
【蕎麦打ち放浪記(1)〜佐久間町Fさん宅】 その場所を10時45分に離れて、蕎麦打ちの旅を誘ってくれた緑化技官のSさんとの待ち合わせの場所へ向かう。待ち合わせの場所は、天竜川川下りの船着き場であった、船明ダムの近くである。
途中道を間違えて焦ったが、無事にSさんに会うことができた。
ここで車を乗り合わせにしてまず向かったのは、佐久間町のFさんの家。このFさんの奥さんがSさんとの植物観察の仲間であって、Fさんの奥さんが十割蕎麦を打つという話が出たときに私に話が及んで、「今度つれてくるから」ということになったらしい。
Fさんの家は、天竜川上流の林業の町である佐久間町でも特に山の奥で、切り立った斜面の中腹に家が建っている。
窓からは沢をはさんだ雄大な斜面が見えて、素晴らしい景観のところである。
ここの奥さんのT子さんが、山菜を食する趣味を持っていて、お宅を訪ねると早速山菜料理の山によるおもてなしを受けた。
ミヤマイラクサ、ギボウシ、ニリンソウ、ギンバイソウなど、「本当に食べるの?」と思うような植物もあって、びっくりである。我ながら、ギボウシを食べるとは思わなかった。
※ ※ ※ ※ さて、こちらの奥さんの十割蕎麦を見せてもらおうと思ったが、恥ずかしがって自分ではやらずに、私にやってください、と言うので仕方なく私が打つこととなった。
私も十割蕎麦は初めてだが、「水加減は適当です」「手の感触で分かります」と言われて、加減を教えてもらいながらの蕎麦打ちとなった。
「お湯ではやらないんですか?」と訊いてみたが、「やりません」とのこと。うむむ、考えていたのとはちょっとイメージが違うなあ。
「粉はどこのものですか?」と訊けば、 「これは昔っからここでおじいちゃんが栽培して、その種をまた翌年植えるということをずっと続けてきたここの地の蕎麦です」とのこと。それもまた驚きである。
「うちの蕎麦なんか、ぶつぶつに切れる短い蕎麦ですけど、おじいちゃんはこれが一番うまいと言って、他の蕎麦を食べないんですよ」とか。
結局最後まで私が打って、できるだけ長く蕎麦を切ってみた。
「茹でまでやって下さるんでしょ?」と言われて、仕方なく茹でるところまでやってみた。
茹であがった蕎麦をざるの中でもみ洗いしていたら、「うちではそこまでごしごしはしませんよ。そっとなでて水を換える作業を5回くらいしますけど…」とのこと。
ふーん、いろいろなスタイルがあるものだ。
※ ※ ※ ※
できあがった蕎麦をSさんと私と、Fさんご夫婦で食べようとしたら、来客があって、この方にも食べてもらうことになり、5人で蕎麦を囲んで食べた。
汁は奥さんの手作りだが、鰹と醤油だけで砂糖やみりんは入れないそうで、これはこれでシンプルな味わいである。 蕎麦は、十割だと結構堅くて最後が薄く伸しきれずに、厚い蕎麦生地になったために、長くはなったのだが細い蕎麦になりきらなかったのが残念。 ところで、一緒に蕎麦を食べた来客の方は、農協の方なのだが、このT子さんの山菜料理を高級食材として浜松のホテルにだそうと企画している方だとか。実際、浜松のホテルの料理長からもある程度の量を欲しい、というオファーが来ているらしい。
山菜が本当の珍味として見直されつつあるのだ。
家の前の桜の大木がきれいだった。また一つ勉強になってしまった。
【蕎麦打ち放浪記(2)〜くんまの里へ】 そこを辞去して、次は天竜市の「くんまの里」へ向かう。途中の車の中では眠くて完全に気を失っておりました(^-^;)。
「くんまの里」は、「熊」という字を書いて「くんま」と読ませるのだが、「どういうところから来ているのですか?」と訊いてみると、「昔は、端の方にあるというので、隈と呼んでいたみたいですよ。それがいつか熊という字をあてるようになったんですけどね」とのこと。
さて「くんまの里」に到着。ここは林業構造改善事業で作った、林業振興のための物販体験施設で、道の駅にもなっているらしい。
閉館時間が5時までだというのに、到着時間が4時45分であった。駄目ならあきらめようとも思ったが、ここでもSさんの知り合いがいるとかで、お願いしてみたところ「良いですよ」と言って下さったので、二人で蕎麦打ち体験に挑戦した。
指導して下さる方の話を聞いて、与えられた水を粉に加えてみたが、どうも堅い感じがする。
「もう少し水を足させて下さい」と頼んだが、「ええ?ちょうど良いですよ」という問答を何回か繰り返して、ちょっとだけ水を足してみる。しかしそれでも気持ちとしてまだ堅い感じがする。
伸しに入ってみたが、やはり堅めで最後まで薄く伸しきれない。技術がまだ甘いな。
「水を足すと、柔らかくなって伸しやすいんですけど、食べたときに水気が多いとやっぱりコシがなくなりますから、適量の水加減の方がよいと思います」と言われ、自分が今まで水を多めに与えて、いわゆる「ずる玉」でやる傾向にあったことに改めて気づいた。
柔らかい玉で伸せば、楽に薄く伸せて細い蕎麦が簡単にできるのであるが、それでは美味しい蕎麦につながらない、と言うことである。
反省しなくちゃ駄目だな、これは。
切る方は、こちらのくんま流では駒板を使わずに手で切るというので、それではあまり細くは切れなさそうである。それに体験者に指導する上でも危ないように思えた。
私の持参した駒板には感心して、「これだと細く切りやすいだろうね、危なくないし」という意見であった。ここ天竜は木材の町なのだから、駒板やらのし棒などを作ってここで売れば少しは売り上げに貢献しませんかね、とお話をして帰りました。
両方の蕎麦を打ち終えての感想ですが、我が静岡県には麺文化がない、と思っていたのだが探せばあるものだ、ということがわかりました。
Fさん家のそば粉なども実に美味しいもので、本当に美味しいものと消費者がまだ結びついていないんですな。
こんな宝物みたいな食材にあたるには、人をたどって捜し歩かないといけないのだが、世の多くの消費者にはそんなことは不可能なんだな。IT社会でもどうにもならんものなのでしょうね。真に追い求めなければ、本物には出会えないのだ。
ああ、蕎麦は奥が深いなあ。
【選挙結果】 夜に、選挙結果が出ました。
応援する人がいる選挙って負けたときのショックが大きいね。はー(--;)
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