日本で一番距離単価が高いという高速道路を使って、彼女の家に行った。 打ち合わせが本格化しているため、一日かける必要があったからだ。
濡れた路面が今朝の天気の名残を残していた。 家のチャイムを鳴らす前に、良く手入れされた庭が 雨上がりの後の春らしい匂いをさせていた。
打ち合わせた後、車で帰る途中でそれは少しずつやってきた。 そういえば、今日はクスリを飲んでいない。 騙し騙し家まで帰り、ゆっくりと薬を流し込んで一安心する。 落ち着いてくると、世界はとてもきれいに見える。 生きなければいけないね、と語りかけてきているようにも見える。
帰り際のフロントガラスの先に、白い花をよく見かけた。 多分梅の花だろうか。 梅は春を告げる花なのなら、桜は春を終わらせる最後通告なのかもしれない。 そんなことを考えながら、桜の下に埋まる死体に想いを馳せる。 僕の死体を埋める桜は、咲くのは潔く、散るは往生際悪く。 ばっと咲いてはらはら散るのがいい。
連絡先が分からない人の中には嫌いな人もいて、 そんな人の連絡先を探るのはちょっと疲れるなあ、と思っていたら またうっかりタバコを前後ろ逆に吸ってしまった。 フィルターの燃える匂いが鼻について離れない。 そして今日が終わった。
二月の余った一日は、おまけの一日だ。 本当に頑張った人にだけ与えられる特別な一日。 でもみんな頑張ってるから神様は今年も平等に与えたようだ。 僕はこんなふうに過ごしてしまったけれども。 ちと間抜けっぽいぞw
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