卒業と同時にタケダと私は前述の通り新聞奨学生となり予備校へ、ラザとミルは揃って遠くの専門学校へとそれぞれ進んでいったのだが、そのうちタケダを除く3人が次の年の9月の時点で地元に戻ってきていた(笑)。そんな訳で暇を持て余していた3人で会う機会が多かった。発案者は決まってラザで、誘われた私がミルに連絡をするといったパターン。 結局はタケダも目標を成就しないまま戻ってくるのでカルテットな訳だが、1年間の契約で新聞配達をやり終えた点では遥かに私なぞより根性持ちである。何回も彼の下宿先へ遊びに行ったが、夜は彼女の所へ行って不在がちなタケダの部屋やそのマンションの屋上で夕闇に染まる新宿の副都心を仰ぎながら心はチクチクとしていた。それは自分の置かれているべき場所であり環境であったからだ。その後なんの解決にもならない日々を自分が送っていたことを知っていたからだ。
暇といっても毎日会うわけにもいくまい。それでかどうかは分からないが、この時期の私にはもうひとつ地元でよく会うメンバーがいた。中学まで一緒で高3時にバイトを紹介してくれた勝くんと幼なじみのFだ。 勝くんは就職し自動車免許も在学中に取ったらしく、私と比べるととてもしっかりしている人だ。Fは我々の母校の伝統でもある「卒業→浪人」という道を当然のように歩んでいた。なので彼らと会うのは決まって夜だけだ。 勝くんに久々に会った時、私は彼に平謝りをした。前年の夏にバイトを紹介してもらったのに他の楽しみを見出したおかげで無責任に行かなくなってしまったからだ。彼はちょっと難しい性格だが何故か私とは馬が合う。素直に謝ったのが良かったか、この時も勝くんは簡単に許してくれたのだ。
タケダ以外はどいつもこいつも女性の香りを運んでこないヤツばかりだった(笑)。
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