あお日記

2002年10月22日(火) 『ラバーソウル』


 なにかと助言をくれた先輩が店を去る時にCDラジカセを置いていった。当時の私はNECのパソコンしか手元になく、今でこそパソコンでCDを聴くなど造作もないが、中学入学時に買ってもらったレコードプレーヤーはすでに前時代の遺物と化していた状態。高校時代も音楽は聴いていたほうだったが、今で言うJ−POPなど全く興味なし。そんなわけでCDプレーヤーを手元に置く必要性があまりなかったのでしばらくはカセットデッキだけで過ごしていた。

 初任給も貰ったことだし、CDを買うことにした。私がまず買ったのは当時本屋の店先に並んでいたビートルズの『ラバーソウル』という廉価版CDだった。もともと学生時分からビートルズはよく聴いていたが、あの多いタイトルを揃えるのに学生の分際ではお金が足りなかったのであきらめていたのだ。

 1枚のアルバムを聴き続けることに貪欲だった私の中であのアルバムはとても苦い味のこもったものだ。人間としての弱さや甘さ、責任の所在を他者に求めたがる意気地の無い自分。不幸にも、そういった自分の中にあったいい加減さや無気力がこのアルバムを聴いていた時期とシンクロしてしまったのだ。

 私の中のちっぽけな暗転を共に過ごしたこのアルバムは、今でも不幸な1枚である。この盤に針を落とすたびに私はそれを思い出して、何も気付かずに、ひとりで生きている気になっていたのだろうなぁ。



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