あお日記

2002年10月20日(日) 夜の帳


 先輩の助言どおり、予備校が始まると夜は自習室に通うようになった。タケダと私は別の予備校だったのだが、生徒一人紛れ込んでもわかりゃしないような学校だったので、毎晩のように彼と部屋で待ち合わせをした。

 今思うととてもタフな時間の使い方をしていたと思う。街は夜でも動いている。その光景がとても無機質で自分には関係のないような喧騒であるはずなのに、気がつけば簡単に呑み込まれてしまう世界だった。勉強後、きまってそこへ誘うのがタケダだったか(笑)。いや、自分も日々のシステマチックな生活の連続でハメをはずしたくなる夜もあったのだろう。

 あの頃は夕食だけでは物足りず、自習室からの帰宅途中、早稲田通りの牛丼屋に寄って特盛りを平らげてから家路に着くのが日課だった。おかげでアベレージが48キロだった体重が54キロまで上昇した。かといって太った感じはなく、ほとんど筋肉になっていたのだと思う。タケダに指摘されてはじめて、自分の二の腕が立派になっていることに気がついたはずだ。

 ゲーセンに寄る日も多かった。高校の頃よく周さんやタケダのやっていたアウトランという自動車ゲームに遅まきながらハマってしまった。初月給も入ってふところはあたたかかった。健全なのでそれ以外で金を使う発想など無かったが(笑)。

 そんなこんなで結局部屋に着くのが0時を過ぎる日が多くなっていった。 



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