あお日記

2002年10月15日(火) 帰宅


 なんだかんだ私は日曜になって朝刊を配り終わると、自宅への家路についていた。結局自分が選んで進んだ居場所にすぐに馴染めず、与えられた部屋にいることはほとんど無かった。部屋は専売所のすぐ近くの築2年ほどのアパートだったが、部屋を無理ムリ4畳ほどに仕切ってあって壁が薄く突貫な感じの建物だった。そこが落ち着かないといった理由だけで居場所に出来なかった訳ではないが、自分が何故そこに存在していることを考える時、その部屋はただの「寝場所」それでよかった。

 「週末になったら、お前に会いに帰って来るよ」

 もう一つは、私自身がそう呼びかけていたロンの存在が大きかった。すでに家族はいながらにして四散状態、恥ずかしい話だが私は家族の中で最も重要な存在がロンだと思っていたのだ。家を離れるにあたって最も心残りだったのがロンと離れねばならないことだった。

 そのロンは高校卒業の数日前に死んだ。それでも私は週末になると何かに取り付かれたように自宅へ帰り、夜が更けるとまた「寝場所」へ帰るのだった。


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