2年の大会でおバカな反骨(?)で散々な目にあったこともあって、この年は普通に走ろうと心に決めていた。何故かスタートラインにはタケダと並んで立っていたのだが(笑)。
秋の彩り濃い湖の周回コースを、女子→男子の順で走るのだが、男子のスタート時刻が迫っても彼女が帰ってこないことに気がついたのはタケダだっただろうか。コースの中途で一生懸命走っているハマちゃんを私も確かに確認したのだが、どうも帰ってこないらしい。
で、我々のスタート。3周の周回で最後の周でスパートをする作戦は前年と変わらず。これは明らかに私の走行ペースなのだが、付き合ってくれたタケダには悪いことをしたはずだ。私は運動の中でも長距離だけが得意であり、それをさとってからずっと追い込み一辺倒の走り方しか出来なかったのだ。要は気力の問題で、いかにそれをゴールまで持続させるかを考えると、私の場合はそれが最良だった。けっこうすぐ投げ出しがちなもので(笑)。
マラソン大会の閉会式も終わり、部の1年生たちにハマちゃんのことを聞いてみるも「知らない」「わからない」といった返事で、結局行方知れずのままその日は終わった。
後日部室に顔を出すと、ハマちゃんと松葉づえと痛々しい片足のギプスと笑い声。どうも走っている最中に転倒してそのまま病院に行ったらしい。しばらくは自由の利きそうにない彼女が、無邪気に私の腕を取ることも出来なくなるだろう日々が少し残念だった気もする。「絵」のなかで彼女はとても絵になりそうな子だった。「自分」という物語を為すエッセンスとして、私にとって彼女は格好の存在だったはずだ。
上手には言えないが、私が求めていたのは「絵」だけであり、実質的な人間関係の深まりを望む気持ちにはならなかった。それはいっちゃんの時も同じであったろうか? 自分でもどうすれば良いのか分からないまま、時間だけは過ぎてゆく。
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