あお日記

2002年09月21日(土) 季節が秋へ


 文化祭後はこれといったイベントはなく、周さんも銀さんも大学の授業が始まったこともあり、夏休みのように四六時中対面しているといった時間が急速に減っていった。週に1回のバスケットもこの頃には参加する3人だけで行くようになっていた。

 我々現役の高校生組とOB・OGとの橋渡しをしていたのがラザだった。彼が望む望まないを別にして、あの頃の彼には各方面からの情報や思惑が集中しすぎていた。彼が立派だったのは、そういったパワーバランスを融和させる方法として自分の信念を曲げなかったことだ。私がラザの立場だったら、きっとあの場所から逃げ出しただろう。まあ遅かれ早かれ、いずれそうなるのですが。


 文化祭が終わって、当面の問題があった。
 特にラザが憤っていた問題は、いわば「部外者」が持ってきたものだった。ともすれば昨年まで私もその一人だったはずなので、ドアに張られた一枚の紙を妙な心持ちで眺めた。

「部外者立ち入り禁止」

 個人的に思ったのは、この紙で根本の問題が解決する期待など誰もしていなかったはず、ということだ。そんなもので秩序が保たれると本気で思った我々は若かった。いや、結果としてこれ以上ないくらいの形で部室は平穏になった。それが自分たちの望んだ未来だったかどうかは別として。


 すっかり忘れていた「人間の無力」が日ごとに露出していった。生滅が自然であるように、悪循環が必ずやって来ることを私は学んだ。




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